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全盲の旅カメラマン!?見えないプロのhappy life 大平 啓朗

 「あの時こうすればよかった」と後悔するよりも
 「あの時のおかげで今の幸せがある」と、
 過去のどんな事でも、プラスに変換する心が大切
 ゲッターズ飯田@getters_iida

ゲッターズ飯田Xより

ある日、Facebookに「いいね」があって友達リクエストがあった。
それが、「おーちゃん」こと大平 啓朗(ヒロアキ)
彼と出会うきっかけになったnote記事。

おーちゃんとは歩(髙橋歩)つながりで共通の友達も多い。共通の友達、かで(加藤大地)のvoicyラジオ対談を聴いたおーちゃんは大爆笑したらしい。

そのおかげでvoicyラジオ出演が決まったのだ。

おーちゃんと加藤大地。カンボジア・アンコールワットにて
カンボジア・シェムリアップからそのペアントム村に向かう途中。加藤大地の作った村へ

おーちゃんは、クラファン挑戦中のため緊急放送した全盲クライマー、コバちゃん(小林幸一郎)とも繋がっていた。

「目が見えていた」24年間と、「心で感じてきた」17年間を、1冊の本に!
それが、出版するまでに10年近くかかった「全盲ハッピーマン」。

大平 啓朗(著)「全盲ハッピーマン」

オビには女優、水野美紀さんの推薦文、「完全に、私より人生を謳歌してるじゃねぇか」。おーちゃんは水野美紀さんと出版記念対談もしている

全盲の旅カメラマン、おーちゃんが開催するのは、「写真展」じゃなくて「写心展」。趣味:視覚障害、特技:全盲という彼とは「旅」、「仲間」、「出版」と興味の対象が一緒で話が弾んだ。1,162回目から1回10分、全9回のvoicyラジオ対談、フォローして聴いてほしい

おーちゃんの暗闇イベント

彼の幼少期の話から惹き込まれた。
おーちゃんは、生まれも育ちも北海道森川町で現在43歳。2人の姉とたくさんの従妹に囲まれ、幼少期は川で釣りをしたり、牛や馬と遊んだりした。小学生の時は森に秘密基地をつくり外で遊ぶのが好きな少年だった。小学5、6年生になった彼はイジメにあって辛かったという。だから虐めはされたくない、したくないと強く思うようになった。

中学ではヤンキーが着る短ランやボンタンが流行っていて札幌より10年遅れている田舎だった。おーちゃんは、負けず嫌いだったから勉強はやっていたが、ヤンキーにも友達がいて常に中間的なポジションにいた。

荒れた中学から高校は進学校に入学した。一人の女子を見た時、時が止まった。一目惚れした「みんなのアイドル」の女の子とつき合うことになった。彼女の「スゴイ!素敵!」って一言で、写真部を復活させ部長になった。もう一つ夢中になった部活、バトミントン部では楽しさと難しさを学んだ。

小学生の頃から大学に行くことは決めていた。それは、小6の時の担任の先生の言葉が決定打になった。
「大学は自分が勉強したいことができて、夢を見つけたり、やりたいことができる。いい経験になるから、行けるんだったら大学に行け!スゲェー楽しいぞ!」って。選択基準は、「国公立大のある、住みたい街に暮らすこと」。何かを選ぶ時って、自分だけの基準があると、自分らしい生き方ができると思う。そこで日本全国から選んだのは山形大学だった。居酒屋に行くと「山大生?」と言われるくらい小さな街だった。大学では写真部に入部した。当初、大学の暗室を使っていたが、自宅の部屋を暗室にしバスタブで現像するほど写真の世界にのめり込んだ。大学生と街の人をマッチングさせるイベントも主催した。

パリ大学にて

24歳、大学院時代の彼は、突然失明することになった。ある日、飲み会に誘われた彼は、研究室からエタノール(エチルアルコール)を500㎖のペットボトルに移して参加した。コーラやジュースで割って呑みカラオケに行った。翌日はおーちゃんの運転でドライブした。2日後、気持ちが悪くなって目もかすんだ。
「病院に連れて行ってくれ!」後輩に言うと、その場で倒れ10日間意識を失った。

血液検査をすると、メタノール中毒になっていた。
北海道から駆け付けた父が
「まだ、生きていたのか?」
おーちゃん自身、自分の身に何が起こったのか訳がわからなかった。
メタノールは80㎖で致死量なのに500㎖飲んでいたのだ。生きているのが奇跡だった。原因は、後輩が間違えてエタノールの瓶にメタノールを入れていたのだ。体中点滴だらけで、唯一動かせるのは右手だけの状態から、ゆっくりといろんなことができるようになっていった。

「いつ歩けるようになりますか?」医師に尋ねると、
「前例がないからわかりません」。

一番最初に思ったのは、
「親に申し訳ない」ってこと。
「オレってカッコ悪いな、ダセイなぁ、笑えない」。

長い葛藤の中、
「でも、世の中見えない人って、いっぱいいるよな。みんなどうにかなってるなら、自分も何とかなるだろう」と勝手に想像した。

ドイツのオーバーハウザー。国際平和村で子供たちと交流。手裏剣(折り紙)を教えた

「仲間ができて武器を手に入れ『もう1回やりたい!』と思うドラクエやFFシリーズのRPGのように、人生に例えるなら、新しいゲームが始まったと思えばいい」。起きてしまったことは仕方ない。おーちゃんは、生かされた意味と未来を考えて、「これから」にフォーカスした。

障害者が一人で自立した生活ができる施設に入所した。
仲間たちが毎日面会に来て「行列のできる病室」になった。

「視力の回復は見込めません」と山形大学病院の医師に告げられてスッキリしたが、
「ヒロアキ頑張れよ!」と父親に言われた時は、切なくなり申し訳ない気持ちと、この先どうしていいかわからなかった。

医師から途中で失明した人のために支援する人を紹介された。
がらりと変わった生活になり、自分のやることなすこと過剰な反応をする親の存在が煩わしくなった。本田こーちゃん(本田晃一)の本で読んだ言葉、「愛しい=理解していることにならない」が腑に落ちた。
支援する方が母親にアドバイスした。
「お母さん、何も手は出さなくても大丈夫ですよ」で楽になった。
彼は「困っているのは障害者ではなくて、どう接していいかわからない障害を持っていない人」だと思った。

北海道盲導犬協会、函館視力障害センターで白杖の使い方、点字、料理などを学んだ。視野が狭く低視力の「弱視」の人が9割で「全盲」の人は少なかった。まず思ったのは、「好きなところに一人で行きたい」。そして「どうやって食っていくか」。鍼灸師、マッサージの資格を取っても、自分らしい本当に好きなこと、やりたいことをやっていきたい。2008年に思いついた。「47都道府県を周ろう!ホテルやゲストハウスを使わずに、全て人の家に泊めてもらおう」。

『47都道府県すべて地元の家に泊まり歩いた一人旅』ダイジェスト

mixiしかない時代、沖縄波照間島からスタートして1年。友達の紹介の連続で2009年から2010年、障害のことを知ってもらうこと、写真を撮る目的で旅をした。いろいろな人と出会う中、自分の考え方、マインドが変わった。写真をプレゼントしながら周ると、宿代、食費、交通費などがかからない旅ができた。

2012年、友達に高橋歩を紹介されて出会ったことが出版に繋がった。ただし2021年の出版までの道程は10年近くかかった。

「全盲ハッピーマン」POP

歩に「おーちゃん、文章長いな、半分にしよう」と2度も書き直し削除した。20万文字あった内容は最終的に6万5千文字になった。文字を削ることができたのは「心のど真ん中だけを書こう。読み手を信じて、書いていない行間さえ読んでもらおう」と思ったからだ。
途中、「ピースボートに乗って世界一周に行こう!」という話になり、再び出版が遅れそうになるも、2020年2月、ピースボートが運航中止になり、3年前、2021年クラファンで550人の支援者を集め出版した。再び47都道府県を周り、お世話になった人に本を届けようと試みたが、コロナ禍もあって15都道府県に終わった。

その後、ヨーロッパをはじめ、世界9カ国24都市50日間の旅の報告会を開始。今年6月から全国35都市(放送時)の報告会が決まっていた。おーちゃんは、今も新たな視点を学び、日本中を旅して心の視野を広げている。

 オーロラシャッター&ヨーロッパ&東南アジア旅プロジェクト2022

視力を失ったからこそ見える世界がある。ネガティブに考えれば、どこまでも凹む。人はつい複雑に考えてしまう。でも複雑に考えれば考えるほど悩みは深く大きくなってしまう。だから、おーちゃんは起こったことを受け入れ、全てをポジティブに考えている。「本当にやりたい事は何か?何をやらないか?」常に自問自答し行動している。すると人生はシンプルになっていくように思う。パレートの法則「80:20の法則」にもあるように、人生に大切なことは2割しかない。彼はその20%に全力投球している。

その行動が多くの人に影響を与えている。「やり方」じゃなくて「あり方」を示すおーちゃんは素敵だ。重い荷物を背負い続けるのではなく、楽しく軽やかに歩んでいるように見える。これからも、多くの人と心で繋がりながら、良い化学反応を起こし、ハッピーな気持ちを循環させていく。

人生を謳歌するおーちゃんの旅は、これからも続く。リアルで会えるのを楽しみにしているよ。

スペイン・バルセロナ サグラダ・ファミリア(聖家族教会)

おーちゃん出演CM 長友佑都選手「しなきゃ、なんてない。」

 あなたは上弦の鬼と戦って生き残った。
 これは すごい経験よ。
 実際に体感して得たものは
 これ以上ないほど価値がある。
 5年分、10年分の修行に匹敵する。
 今の炭次郎君は前よりも
 もっとずっと強くなってる。
 「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編

「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編より

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