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前十字靭帯損傷

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前十字靭帯損傷について生理学的、解剖学的に記事にしています。
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ACL Rehab(前十字靭帯)系まとめ:ACL Rehab Series

ACL Rehab(前十字靭帯)系まとめ:ACL Rehab Series

Twitterにて投稿しているACL Rehab(前十字靭帯)系のまとめを作成しました。

皆様のトレーニングの一助になれば幸いです。

女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめるには(プライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上、着地にかかる力を低減、外反および内反トルクを減少させる)

女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめるには(プライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上、着地にかかる力を低減、外反および内反トルクを減少させる)

前十字靭帯損傷を最小限にとどめるには 解剖学上、神経筋上、あるいはホルモン上の差異のみによって、女子のACL(前十字靭帯)断裂発生率の高さを説明できるわけではなく、Hakkinenらは、準備期に行われるトレーニングの総量やタイプにおける違いも、男子と女子の間に認められる下肢筋力とパワーの差異をもたらす可能性があると主張しています。

実際、このような差異が、女子におけるACL断裂の主たるメカ

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前十字靭帯損傷とレジスタンストレーニング(ACLの歪み{膝関節の外反と股関節の内転を減少}を減少させるハムストリングの共収縮{膝関節の屈曲角を増大させる}が果たす役割を考えると、筋力増大は重要な要素になる)

前十字靭帯損傷とレジスタンストレーニング(ACLの歪み{膝関節の外反と股関節の内転を減少}を減少させるハムストリングの共収縮{膝関節の屈曲角を増大させる}が果たす役割を考えると、筋力増大は重要な要素になる)

運動とは
運動とは、骨格系、特に関節に作用する筋の力が、トルクやモーメントを生み出して、回旋、ひねり、曲げなどの動作として現れたものになります。

これらの動作は、筋が受ける刺激の強さと筋における力発揮の大きさによって左右され、筋によって生み出される力の最大量がその筋の筋力であり、筋力はトレーニングによって変わります。

女子アスリートと外反モーション
Malinzaらは、女子アスリートはすべての

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前十字靭帯損傷と股関節の動き(股関節の内転角の増大、股関節の屈曲角の減少、そして内旋角もACL損傷リスクを高める可能性のある動きになる)

前十字靭帯損傷と股関節の動き(股関節の内転角の増大、股関節の屈曲角の減少、そして内旋角もACL損傷リスクを高める可能性のある動きになる)

膝関節傷害
膝関節傷害には性差が認められ、特にACL(前十字靭帯)損傷では、男子より女子に傷害発生リスクが高くなります。

この理由として、男子より女子のほうが関節の緩みが大きく、筋力が弱く、固有感覚受容器機能やコーディネーション能力も低いと指摘されています。

従来、非接触型ACL損傷は、ジャンプからの着地時やランニングの減速時に膝関節の屈曲動作が不十分な場合に発生し、その際に膝関節への外反スト

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ランディングとカッティングの女子アスリートパターンと前十字靭帯損傷(着地中のアライメント不全は、膝関節過伸展、脛骨内旋が起こり、膝関節最大屈曲角が10.5°減少する)

ランディングとカッティングの女子アスリートパターンと前十字靭帯損傷(着地中のアライメント不全は、膝関節過伸展、脛骨内旋が起こり、膝関節最大屈曲角が10.5°減少する)

神経筋的側面とバイオメカニクス的側面
前十字靭帯(ACL)、特にピボット、減速、カッティング、ジャンプ、ランディング中に発生するものには、バイオメカニクス的因子と神経筋系因子が関係するとみられています。

第一に、運動中の下肢のアライメントが、ACLを含む膝関節の支持機構にかかる負荷の量に影響を及ぼすと考えられています。

下肢のアライメント不全はACLへの負荷を増し、やがて構造的損傷をもたらすか

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思春期における前十字靭帯損傷のリスク因子(思春期の筋骨格系の成長がそれに相応する神経筋の適応を伴わないことにより内的ACL(前十字靭帯)損傷リスク因子を助長する)

思春期における前十字靭帯損傷のリスク因子(思春期の筋骨格系の成長がそれに相応する神経筋の適応を伴わないことにより内的ACL(前十字靭帯)損傷リスク因子を助長する)

性差による成熟と前十字靭帯損傷リスク
男子は、実年齢を重ねるとともに、成熟段階と相関してパワー、筋力、コーディネーションの増大示す一方、女子は、思春期を通じて示す変化が有意に小さいことが示されています。

女子は、男子にみられる身長、体重、神経筋パフォーマンス間の相関関係は、思春期には存在しないとされています。

例えば、バーティカルジャンプ高(全身のパワーを示す数値)は男子においては思春期に着実

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