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SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話⑤AI駆使、韓国企業に発注

 1000人を超える仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話の5回目です。

 前回までは、洗車に嵌った僕がよりよい洗車用品に出合うために情報を求め、SNSで1000人ほどの仲間を得て、情報交換するうちに「探すのでなく、みんなで作ってみよう」となった

 そして、ではどんなものにするか、ワックス作りの流れを学んでプロセスを分析し、Web3ツールを駆使してDAOによる投票で「平等な意思決定」をしていったところまでを書きました。



1000人→約200人のコアメンバーが残った

 「自分は知識がある」と自負している人も、「全然わからないけどやりたい」という人も同じ発言権を持ってもらう。

 そして、いわゆる「声の大きい人」の発言も忖度しない「平等な意思決定」をすると、どうなるか――。

 当然、全員の意見一致は難しいので、プロセスの途中で「いや、もうそれだったらいいや」という人はどんどん抜けていきました。

 最終的に、「共創」活動に残ったメンバーは当初の1000人から、200人強になりました。コミュニティにおける「平等なモノの決め方」という社会ルールのようなものに、適合できた人だけがコミュニティに残る……。

 こういうのを、ダーウィンの進化論でいうところの、適者生存というのだな、という体験をした気分です。


「炎上」の特効薬とは

 この200人に絞れていく過程で、意見が衝突し「炎上」して荒れることが多々ありました。

 僕は「荒れる」度に、仲裁に入りました。共創の運営にここまで苦労するとは……。僕は仕事もしているわけでして、24時間コミュニティ発言を追えません。

 気が付いた時には炎上している、ということが何度もありました。「AIで自動監視し、炎上したらAIが発言して炎上を納めれたらなぁ」と思うことも度々…。

 この「炎上」の特効薬を、ある日思いつきました。それは「リアルでの顔合わせ」です。

 ネットで匿名で議論を続けていると、どんな人かわからずにはなすことになります。いい面も悪い面もあるでしょうが、「炎上」の1つの理由に、お互いの、人としての基本的な信頼関係の醸成が欠けていることがあるのではないか、と感じました。

オフ会に50人集まった

 そこで、関東で会える人を中心にオフ会を呼び掛けたところ、50人が参加することになり、食事会をしました。

 「あれ?洗車太郎って、こんな人だったの?仕事もろくにせず、毎日洗車ばかりしてる人だと思ってたよ~」

 など、顔を合わせせて、話すことによってお互いの人物そのものを見ることができ、仲間意識が芽生えました。

 それ以降「炎上」はなくなりました

真のOMO(Online Merge Offline)に気づく

 よくOMO(Online Merge Offline)といいますが、まさにこれが真のOMOだと感じました。

 基本はネット上のコミュニケーション。でもときにはリアルな場所で会えるイベントを開催する。ネットとリアルの絶妙な組み合わせが、コミュニティの運営に欠かせない……。

 それを今回の「炎上」とオフ会で学びを得たことも、僕にとって大きな経験になりました。


半年かけて最終仕様が決定

 こうして、コミュニティ分裂危機を乗り越え、半年かけて、ようやくワックスの最終的な仕様が決まったのです。最後3案作成し、投票してもらって多数決で決めました。

 最終的に、多数決で決定した内容を僕がまとめて仕様書を作って、それをまた「洗車太郎」のTwitter上に流して、「この仕様でこの価格でメーカーに作ってもらいます」というところで合意しました。

 僕は元々商社出身なので、海外のメーカーとの交渉や輸出入の関税処理などについてはノウハウがあり、個人輸入は簡単にできました。

AI翻訳を利用して韓国メーカーに発注

 さて、この仕様に従って、どこの国のメーカーに使ってもらおうか?と考え、コミュニティで話をしたところ、韓国のワックスメーカー数社が、天然ワックスのカスタマイズ製品を作っていることがわかりました。その数は世界一です。

 そこで、活用したのがAIです。

 chat-GTPなどの流行りのAIツールを駆使して、要約、整理、英語、及び、韓国語に翻訳して、正式な「仕様書」を完成させました。

 この「仕様書」をメールで韓国メーカー4社のカスタマーセンターに送ったところ、2社から「入札希望」の返信がありました。

「メールを見ましたが、非常に面白い企画だと思うので、ぜひやらせてください。ご希望の値段で、ご希望の仕様のワックスが作れます」といった内容です。

 この返信を再びAIツールを使って日本語に翻訳して、コミュニティメンバーに対してアップして「どっちだったら買う? 投票してください」と。これも多数決です。これで、発注内容と、発注先のメーカーが決まりました。

 いよいよ発注です。

 「この仕様で発注します。買いたいと思う人は意思表示を。無理に買わなくても結構ですよ」と投稿したところ、203人から意思表示がありました。



入金はチケット販売サイトを利用

 コミュニティはTwitterで繋がっているだけの、基本は匿名の世界ですから入金をどうするか。ここは、ネット安価に使える、eチケット販売サイトを利用して、先に入金してもらいました。

 さらに、ここで、ひと工夫しました。

 「共創」の体験価値の向上を狙って、メーカー側へは、「作成工程を細かくビデオ撮影して、送ること」、を仕様書の条件に入れたのです。メーカーは毎週のように経過報告動画を送ってきてくれたので、それをTwitterに流して報告しました。

 僕のような、たとえワックスのセミプロであっても、その製造現場を見た人は誰もいません。通常見ることができないものが、今回は見ることができるのです。


体験価値を仲間と分かち合う

 こうした自分たちの製品がどのようにして出来上がるか、その工程を動画でリアルに見るという体験は、想像以上に、コミュニティのメンバーにとっての喜びだったようです。

 コミュニティはものすごい興奮に似た盛り上がりを見せました。まさに体験価値、ここにあり、ですね。
 
 こうした製造プロセスまで楽しみながら、ようやく2ヶ月後に製品が完成して、僕の自宅に発注分のワックスが無事届きました。早速、僕は、メンバー全員に発送しました。めでたし、めでたし。

 ・・・と思いきや、話はここで終わらず、想像していなかった方向に進んでいきます。

SNS仲間と[理想の洗車ワックス]を製品化した話
①    愛せる洗車製品が見つからない理由
②    Twitterに仲間が集まってきた
③    1000人との「共創」開始
④    Web3で「平等な意思決定」
⑤    AI駆使、韓国企業に発注
⑥    まさかの仕事依頼
⑦  [共創]を通じての気づき-買い手主体のモノの買い方-


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