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パフォーマンスが低調のまま終わってしまったPE /VCはどうなるか

パフォーマンスが低調のまま終わってしまったPE /VCはどうなるか

もう数年前の話になるのだが、投資のパフォーマンスが低調なまま解散・清算を迎えたPE /VCの最後をLPの立場から見届けた案件が複数あった。

ファンドに対する出資当初は大々的なプレスリリースに始まり豪華なディナー付きLP年次総会等、華々しいイベントばかりであったが、その後10年超が経過し、パフォーマンス低調に終わったファンドの最期は極めて寂しいものであった。

PEやVCは、一度出資したら基本的に

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アンドリーセン・ホロウィッツのAmerican Dynamism Fundが技キャピタリスト育成講座を創設

アンドリーセン・ホロウィッツのAmerican Dynamism Fundが技キャピタリスト育成講座を創設

かつて、というか10年前まで、ベンチャーキャピタル及びテクノロジー系のスタートアップは権力を持つ為政者に対する挑戦者であった。

明確な法律やルールが出来ていない領域で事業を展開し、民意(顧客のニーズ)を味方につけ、その後の法律やルール作りを主導していた。

創業当時のUberは未だライドシェアに関するルール、ドライバーを個人事業主とみなすべきか社員と明確なルールがない中で事業を開始し、その後国に

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AI関連スタートアップの売上高マルチプルはおおよそ25倍である、というレポート

AI関連スタートアップの売上高マルチプルはおおよそ25倍である、というレポート

2022年のOpenAIによるChat GPTのリリース以降、急速にその市場を拡大させつつあるAI関連スタートアップ。

AI関連スタートアップの資金調達の件数・調達額が共に拡大傾向にある現在、ポーランドのワルシャワにあるM&A助言会社であるAventis Advisorsが上述のレポートを公表している。

ChatGPTをはじめとする革新的な生成AIモデルの発表は世界に衝撃を与えた。生成AIの登

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Mistral AIがバリュエーション(pre-money) 60億米ドルで資金調達

Mistral AIがバリュエーション(pre-money) 60億米ドルで資金調達

MetaとGoogleのDeepMindの卒業生によって設立されたフランスの生成AIスタートアップ、Mistral AIが640百万米ドル(デット・エクイティ調達合計額)を企業価値60億米ドルで調達したとのこと。

シリーズBでこの大規模な調達額及び企業価値は業界の中央値と比べても完全に外れ値である。下記のAI関連スタートアップのバリュエーションがまとめられたレポートによれば、同分野におけるスター

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Y Combinatorの登壇企業を見ながら、優れたビジネスアイデアとは何かについて考える

Y Combinatorの登壇企業を見ながら、優れたビジネスアイデアとは何かについて考える

https://www.youtube.com/watch?v=_Kmgj9MAEN0&t=84s

元野村證券の営業マンで今はプルデンシャル生命で完全成果報酬型の営業マンである人気YouTuber、宋世羅氏の動画が好きでかれこれ3年近く観続けているが、この度大変共感した動画を見つけたため共有しておきたい。

「起業センスの無い者ほど妄想のビジネスプランを語り、起業センスのある者ほど地に足ついたビ

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ベンチャーキャピタルの仕事は「外れ値」に投資をすること by マーク・アンドリーセン

ベンチャーキャピタルの仕事は「外れ値」に投資をすること by マーク・アンドリーセン

以上はシリコンバレーの大手ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツの創業者であるマーク・アンドリーセンがその昔、スタンフォード大学で行った講演の一部抜粋である。

なぜ、「チェックボックスが全て埋まった企業は凡庸な企業」になるのか。おそらく、チェックリスト方式のスクリーニングは「損をしない」企業を探すためには有効だが、「10倍、20倍に成長する」企業を探すためにはあまり役に立たないからだ

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VCによるスタートアップ評価方法

VCによるスタートアップ評価方法

過去3年半、自分自身がシリコンバレーのベンチャーキャピタルに出向していた経験、及び著名ベンチャーキャピタリスト、著名アクセラレータの著書・講演会から学んだことを、まとめておきたい。

スタートアップのステージ(創業期〜レイターステージ)に関わらず、大きくサマライズすると、評価ポイントは「1. チーム」「2. プロダクト」「3. 市場」に集約される。それぞれ、主要チェックポイントは以下の通り。

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ベンチャーキャピタルから見た良いビジネスアイデアとは?

ベンチャーキャピタルから見た良いビジネスアイデアとは?

前回からの続きで、今回はビジネスアイデアについて概要を説明したい。テーマは題名の通り、「VCにとって良いビジネスアイデアは何か?」である。

注:この「良い」の基準はあくまで投資家(ベンチャーキャピタル)の観点によるものであって、スタートアップ創業者の思い・動機付け等が考慮されていない点についてはご留意いただきたい。あくまで資金の出し手はこう見ていますよ、ということだけご認識いただければと思う。

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解決したい課題は安易なものよりも困難なものが良い by Sam Altman (Y Combinator)

解決したい課題は安易なものよりも困難なものが良い by Sam Altman (Y Combinator)

以前の記事で良いスタートアップの特徴として、「解決したい課題は困難な内容か(安易な課題設定よりも困難な課題の方がビジョン・取組意義に共感する有能な人材が集まりやすい)」というSam Altmanのコメントを記載した。この記載に関し、詳しく述べられたブログをちょうどSam Altmanがアップしていたのでこの場で共有しておきたい。心に残ったコメントは以下の通り(参考和訳付です)

・Easy sta

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実力・能力はあるけれどコネ・知識がなくて困っている起業家向けのファンドをa16zが設立

実力・能力はあるけれどコネ・知識がなくて困っている起業家向けのファンドをa16zが設立

題名のコンセプトのファンド、Talent × Oppotunity Fund (TxO fund)をシリコンバレー著名VC、a16zが設立。

従来のa16zファンドではシード以降のシリーズがほぼ大半であったがこのファンドの対象はさらにその前段階のプレシードのステージ。対象スタートアップのステージとしてはY Combinatorと一緒で、さらに両者共に、スタートアップ創業者に対して数ヶ月のトレーニ

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新規事業の創出が課題なのはGoogle, Facebookも同じ

新規事業の創出が課題なのはGoogle, Facebookも同じ

「第二の収益の柱を立ち上げなければ未来は無い」「新規事業立ち上げこそが最重要課題」といった言葉は、日系企業によく使われるフレーズに思えるが、イノベーティブな企業として認知されている米国テクノロジー企業にとっても当てはまる言葉のようだ。

少し古いデータだが、2018年第2Qにおいて、Facebook, Twitter, Snap, Amazon, Spotify, Netflixといった企業のほと

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スタートアップアイデアの作り方・テストの仕方 How to get and test startup ideas by Mike Seibel

スタートアップアイデアの作り方・テストの仕方 How to get and test startup ideas by Mike Seibel

https://www.youtube.com/watch?v=vDXkpJw16os&t=235s

YコンビネータのCEOで元Justin TV(後にTwitchに名称変更しAmazonへ企業を売却)の共同創業者、Mike Seibel氏による6分くらいの動画です。スタートアッププロダクトをゼロから作り始める際の留意点・アドバイスが非常にコンパクトにまとまっていてわかりやすかったので以下、メモ

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なぜハードウェアビジネスはハードか

なぜハードウェアビジネスはハードか

かなり前のMedium投稿だが、Hardware Founders: (When) Should You Try To Raise VC Money?という記事が、表題の問いを考える上で参考になったので内容の要旨を以下にシェア。なお、著者は元Pebble(スマートウォッチを製造、2017年Fitbitにより買収)の創業者で、現在Y Combinatorのパートナーを務めるEric Migicovs

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米国で拡大するVenture Debtについて概要をまとめてみた

米国で拡大するVenture Debtについて概要をまとめてみた

Bloombergの記事で、2022年に入ってから米国でベンチャーデットによるスタートアップの資金調達が増回傾向にあるとの記載があった。記事によれば、2022年上半期でベンチャーデット組成額は前年同期比で7.5%増の171億米ドルとのこと(ちなみに同期間でベンチャーキャピタルからのエクイティ調達額は8%減の1477億米ドル)。

エクイティ調達に比べればベンチャーデットの調達額はまだまだ規模は小さ

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