新規事業の創出が課題なのはGoogle, Facebookも同じ
「第二の収益の柱を立ち上げなければ未来は無い」「新規事業立ち上げこそが最重要課題」といった言葉は、日系企業によく使われるフレーズに思えるが、イノベーティブな企業として認知されている米国テクノロジー企業にとっても当てはまる言葉のようだ。
少し古いデータだが、2018年第2Qにおいて、Facebook, Twitter, Snap, Amazon, Spotify, Netflixといった企業のほとんどの売上高(90%程度)は、単一のセグメントから生じるものである(以下グラフご参照)。
Facebook, Twitterは業歴が長いが未だに広告一本足打法。SnapはまだIPOから日が浅く、事業拡大にフォーカスしていたので、売上の多様化はこれからの課題かと思われる。Amazonに至っては、マーケットプレイスのみならずクラウド事業が大きな貢献をもっとしていると思っていたので、この数字は驚きであった。SpotifyやNetflixは一言で語れるほど知らないのでノーコメント(ちなみに、ここでは記載されていないが、収益源に最も成功した企業は上述B2Cテクノロジー企業ではなく、B2Bに特化したマイクロソフトなのでは無いかと思っているが、その話はまた後で)。
ではここに記されていないGoogleはどうか。リンク先の記事に記載のグラフ(以下ご参照)を見る限り、レベニューソースの分散化にある程度成功しているようにも見える。
Googleについては「第二の柱は育てている最中だが、当期利益への貢献は道半ば」と言えそうだ。Googleの売上はメインの検索広告に加え、Googleクラウド事業、ハードウェア事業、さらに"Other Bets"の中にあるNestや"X"事業から構成される。広告事業が大きな売上を占めておりかつ年々成長が見られる一方(上図赤棒グラフ)、他の事業は横這いで推移している。2014年に32億ドルを投じて買収したNestについても、Other Bets事業の6割程度の売上を占めているようだが、(残り4割はWaymoなどのX事業)、売上貢献はまだごくわずかに過ぎず、利益貢献に至っては引き続き赤字が続いているようだ。少し古い記事だが、2年前のRecodeの記事にNest事業の黒字化はまだ先であろう様子が記載されている(以下は記事から抜粋したグラフ)
ただし、重要なの点はリスクを抑えた新規事業投資を行っている、という点だと思う。2019年のGoogleの当期利益は$34,343M(約3兆5千億円)。年間数百億円の損失を出すNest事業やX事業など、トータル当期利益で十分吸収される数字であり、社運をかけた一大プロジェクトでもなんでもなく、ただのR&Dコストの一部に過ぎない印象だ。莫大な投資をして、失敗できない事業を作るのではなく、多くの新規事業に分散して小額投資を行い、その中でいくつかが成功すれば良い、という考えがGoogleの新規事業から読み取れる。まだまだ新規事業が成功しているとは言い難いGoogleであり、その点は苦戦していると言えそうであり、そこは新規事業創出を叫び続ける日本の企業と同じ苦しみを共有しているのであろう。だが、そこに対するアプローチ(小額で複数のプロジェクトに分散投資)の手法はとてもスマートなやり方だと思われ、またここが日本企業とは異なるアプローチだと考えている。日系企業で新規事業というと、社長直轄プロジェクトとなってで力を入れ過ぎ、巨額の資金を投下し、絶対に失敗にできないプロジェクトに仕立て上げ、無謀な事業計画を立てて派手に失敗する事例が多い印象を受けるので、Google的なやり方を取り入れるのも一案だと思う。
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