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仏教書を読む

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仏教に関係する本を書評した記事を掲載します。
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#上座部仏教

『ブッダが教える執着の捨て方』#スマナサーラ長老 #仏教書 #心理学

『ブッダが教える執着の捨て方』#スマナサーラ長老 #仏教書 #心理学

仏教で説かれる執着(upādāna)に関する分かりやすい解説と、執着から自由になる(遠離)ための練習法を教えてくれる本です。特色としては、仏教用語として定義された「四つの執着(四取)」を正面から取り上げていることが挙げられます。

四つの執着とは、①欲(五欲)への執着(kāmupādānaṃ)いわゆる物への執着、②見解への執着(diṭṭhupādānaṃ)自分の意見にこだわるということ、③儀式・儀

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アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『対談本をぜんぶ読む』後編【最新アップデート版】

アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『対談本をぜんぶ読む』後編【最新アップデート版】

特別連載 アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる
『対談本をぜんぶ読む』 佐藤哲朗
(パティパダー2018年4月号)※2023年1月30日アップデータ

⑫『ブッダの贈り物』瀬戸内寂聴、養老孟司、宮崎哲弥 『ブッダの贈り物』学研ムック、二〇一一年一月 主要目次:1スマナサーラ長老の世界(瀬戸内寂聴対談、識者の寄稿、特別インタビュー、ブックガイド等)/2初期仏教の世界(養老孟司対談、宮崎哲弥対

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アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『対談本をぜんぶ読む』前編

アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『対談本をぜんぶ読む』前編

特別連載 アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる
『対談本をぜんぶ読む』 佐藤哲朗
(パティパダー2018年4月号)

このたび、映画監督・想田和弘氏とスマナサーラ長老の対談『観察 「生きる」という謎を解く鍵』サンガが上梓されました。その記念として、二〇〇四年の『希望のしくみ』(養老孟司氏との共著)を皮切りにこれまで刊行されたスマナサーラ長老の対談本19タイトル(アンソロジーやムック含む)を

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アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『パーリ経典解説を読破する』【最新アップデート版】

アルボムッレ・スマナサーラ長老の著書をたどる『パーリ経典解説を読破する』【最新アップデート版】

はじめに2003年から2022年までの20年間に出版されたアルボムッレ・スマナサーラ長老のパーリ経典解説本を網羅して紹介します。もちろん長老の書籍はすべてパーリ三蔵の教えに基づいて執筆されており、本のなかで経典の言葉が引用されることもしばしばです。ここでは経典の解説、特定の経典にちなんだ法話を主軸とした書籍のみを扱います。仏教に馴染みのない人も手に取りやすいやさしい法話から、パーリ語の原文を引いた

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スマナサーラ長老ベストブックガイド 100冊から厳選!これだけは読んでおきたい【書誌情報アップデート版】

スマナサーラ長老ベストブックガイド 100冊から厳選!これだけは読んでおきたい【書誌情報アップデート版】

※初出:学研ムック『ブッダの贈り物』2011年1月刊

月刊ペースで出版され続ける長老本。どれを読めばいいのか、読者としては悩ましいところだ。5つのジャンルに分けて、ガイドしてみよう。※追記:リンク先は2023年1月現在の最新版(文庫化に伴う改題,増補改訂を含む)とした。

初期仏教と出会うブッダ――大人になる道

筑摩書房(ちくまプリマー新書)2006

埼玉県にある私立自由の森学園高等学校で行

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「仏壇」に吹き込んだ新しい風 日本仏教に「原点回帰」を促すブックガイド

「仏壇」に吹き込んだ新しい風 日本仏教に「原点回帰」を促すブックガイド

変化する「仏教書」――長老と青年僧
最近、大型書店の仏教書コーナーに顕著な変化が起きている。まずは、スリランカ出身の僧侶アルボムッレ・スマナサーラの本が大量に置かれていること。店舗によっては、まるまる棚一つ分を占拠していることもある。また、小池龍之介という青年僧侶の著作が平積みされていること。仏教書棚のみならず一般書の新刊コーナーにも果敢に進出しつつあるこの二人に共通するのは、「初期仏教」「気づき

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ウパーシカー仏教の誕生 在家女性信者のこれから

ウパーシカー仏教の誕生 在家女性信者のこれから



【書評】天野和公『ブッダの娘たちへ: 幸せを呼びさます「気づき」の仏教』春秋社

寺づくりから信仰そのものへ
「一緒に、お寺をつくらない?」
それがプロポーズの言葉でした。

ラブコメ漫画のような書き出しに驚いた前作『みんなの寺のつくり方 ~檀家ゼロからでもお寺ができた!~』(雷鳥社)からはや一年。仙台の単立寺院「みんなの寺」で坊守(寺嫁)を務める天野和公の新刊が出た。

一般家庭に育った天

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改訂『キリスト教か仏教か』

改訂『キリスト教か仏教か』



【書評】中村元監修,西村公朝挿画,釈悟震訳注、改訂『キリスト教か仏教か』

本書は一八七三年八月、大英帝国の植民地支配下にあったスリランカ(英領セイロン)で、仏教とキリスト教の間で行われた、いわゆる「パーナドゥラ論戦」の全記録である。韓国出身の釈悟震師の手で一九九五年に訳出され大きな反響を呼んだが、このたび改訂版が出版された。

当時のスリランカ仏教を代表する論客であったグナーナンダ長老と、キ

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