『ミッション』『ビジョン』『バリュー』は企業経営の羅針盤
何を実現するために、どのような価値観で企業を経営してるのか?
究極的に重要です。
👉ミッション:使命、存在意義
ビジョン:目ざす姿
バリュー:価値観、行動指針
「企業理念」「企業ビジョン」として定める企業も。
👉企業理念:存在意義、あり方
企業ビジョン:目ざす姿
「理念」や「ビジョン」を明確に定めて行動している会社とそうでない会社。さまざまです。
理念は、企業行動を選択するときの「拠り所」「羅針盤」になります。
一方、理念を定めても、社内に浸透させ、日常的な行動規範となるまでには困難も伴います。
「企業理念の浸透」で最も重要といわれるのは、「トップマネジメントのコミットメント」。
👉コミットメント:責任を持った関与、公約
社内外のあらゆる場所、場面で「理念」と「理念に基づく行動」を訴える。
しかし、トップマネジメントのメッセージが強力であっても、それだけで理念は浸透しません。
理念の浸透を先導する「コアリーダー」の育成・配置、評価が大切。
コアリーダーの育成も「座学」だけでは不十分、実体験が欠かせません。
「hhc:ヒューマンヘルスケア(患者さまとそのご家族、生活者のみなさまの喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する)」という経営理念。
浸透にあたって、管理職のポジションにあるリーダー100人を選抜、20人を1チームとし、1期〜5期までの育成プログラムを実施しました。
プログラムの編成・実行にあたっては、3人の先生がブレーンに。
「西垣 克先生」(当時、東京大学大学院医学系研究科助教授)「奥村昭博先生」(当時、慶義塾大学大学院経営管理研究科教授)「大塚宣夫先生」(当時、青梅慶友病院院長)」
コアリーダーの育成プログラムは、
【第1ステージ】
「座学」:経団連ゲストハウスでケーススタディ、テーマディスカッション、講演受講など。10日間職場を離れて実施
【第2ステージ】
大塚先生の青梅慶友病院で「介護実習」
【第3ステージ】
東大西垣先生のコーディネートによる「患者さん志向の全国医療機関、地方自治体等に出かけての実地研修(2〜3人ずつ分散)」
【最終ステージ】
プログラムを通じての「気づき」と「決意」を1人ずつ、先の3先生同席で社長にプレゼンテーション。
このプロセスを20人ずつ、1期から5期まで。
こうして、研究開発部門・生産部門・営業部門、本社から選抜された100人のコアリーダーが誕生しました。
そして、コアリーダーを中心に『日常業務を通じてのhhc実現』をテーマとしたプロジェクト活動が研究所、工場、支店、本社で展開されます。1年に1回、本社で活動報告、経験知共有の総会も。
最初、営業部門の支店でhhc(真の顧客は患者さま)の話をすると「それで業績が落ちたら、誰が責任を取るんだ!!」と詰め寄られたことも。
当時、顧客は「自社製品を処方してくれるドクター」という認識でした。
「顧客を患者さま」と定めると「治療に最適な医薬品は他社品でも薦める」ということになり、売上が下がるという理屈。
その後、トップがこれでもかというほど社内外各所で理念についての強力なメッセージを発信。
あわせて、コアリーダー100人がそれぞれ『日常業務を通じてのhhcの実現』を目ざすプロジェクト活動を先導しました。
👉ビジネスの目的:「真の顧客」の問題解決、ベネフィットへの貢献
👉ビジネスの結果:業績
理念が浸透してくると、このようなビジネスの「目的と結果」についての考え方が日常的に語られるように。
いまでは、社内で「hhc」はあたりまえに。
TVコマーシャルにも登場する「ナイチンゲールの自筆文字」を使用した「hhc」の3文字。
この象徴的なメッセージは、グローバルに理念を共有するのにとても役立ちました。
理念を定め、浸透させ、行動規範として企業活動の拠り所・羅針盤になるまでには時間がかかります。
一方で、理念が浸透・定着すると大きな力になります。
hhcのもとでの企業活動は、結果として、『アルツハイマー型認知症の薬剤「アリセプト」のゼリー製剤の開発(この領域では世界初)』につながったり、本格的な評価はこれからのものの『世界で初めてのアルツハイマー型認知症治療薬「アデュカヌマブ」のFDA(アメリカ食品医薬品局)承認』を果たしたり、健闘しています。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」、「企業理念」「企業ビジョン」等は、企業活動の「拠り所」であり「羅針盤」。
企業研究にあたっては、理念のある無しだけじゃなく、実現に向けた諸施策、中長期の経営計画、直近の事業計画、進捗評価があるなど、『実際に行動しているか』を見極めたいものです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!!
(続く)
写真:インドネシア(ジャワ島中部)ジョグジャカルタ・プランバナン遺跡の中心「ロロ・ジョングラン寺院」。1991年、ボロブドゥール遺跡とともに世界遺産に登録されました。2015.1.18
📕ドラッカー名著集1〜3
「経営者の条件」
「現代の経営」[上][下]
P.Fドラッカー先生
ダイヤモンド社 (2006/11/10)
📘 『ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見
たことのない未来がはじまる』
P.Fドラッカー先生
ダイヤモンド社(2002/5/24)
📙『ワイズカンパニー: 知識創造から知識
実践への新しいモデル』
野中 郁次郎先生、竹内弘高先生
東洋経済新報社 (2020/8/28)
📗『知識創造企業』(新装版)
野中 郁次郎先生、竹内弘高先生
東洋経済新報社 (2020/12/4)
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