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物置から出て来た古いアイロン

「僕の昭和スケッチ」画241枚目

<「古いアイロン」 © 2024 画/もりおゆう ガッシュ/禁無断転載>

僕の実家では台所から裏庭に出たところに物置があって、中には雑多な古道具が打ち捨てられたように置かれていた。

ある時、そこから古いアイロンが出て来た。

見ると、所々に錆が入っておりコードの接続部にもガタがきていてアイロンとしてはもはや使えない代物だった。

それを見つけた経緯は忘れてしまったが、今思えば電気式だったので戦後の復興初期のものかと思う。

ちなみに、こんなふうに人間に打ち捨てられた古い道具(もの)には積年のうちに人への怨みが宿り、妖怪に変化すると昔は考えられた。つまり、ものの化→物怪*だ。アイロンが物怪に変わるとしたら、それは差し詰めどんな妖怪なのだろう(笑)


*付喪神(つくも神)とも言い、長い年月を経た道具などに霊魂が宿り、人をたぶらかすとされた。付喪神絵巻(室町時代)や伊勢物語(平安時代)にも登場する。一方で、「もの」がこういった「物怪」に変わらない様に供養すると言う風習(針供養など)も生まれたのだと思う。こう言った変化(へんげ)への畏怖は人の心に遠い昔から棲んでいたことがわかる。

<©2024もりおゆう この絵と文は著作権によって守られています>(©2024Yu Morio This picture and text are protected by copyright.)



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