わたしは英語を学んで本当によかったと思う
高校二年生の秋だっただろうか。
私が『英語』に興味を持ち始めたのは。
和歌山県の海と山に囲まれた町で育った私は、当時所属していた茶道部の部室で初めて自分と同い年くらいの『外国人』に出会った。
アメリカからの交換留学生が、日本文化を体験するために茶道室にやってくると聞いて、とっても興奮していたのを覚えている。
そして、扉を開けてぞろぞろと入ってきた5,6人の少年少女はブロンドヘアに青い目、同い年とは思えないほど『おませさん』って感じだった。
当時NYの華やかな高校生たちを描いた大人気ドラマ『ゴシップガール』に首ったけだった私は、洋画が今まさに自分の目の前で再生されている...と惚れ惚れしてしまったし、同時に字幕がないから言ってること全然分からん...と圧倒されてしまった。
英語は、できる方だと思っていた。というのは毎回の授業のテストで90点くらいはちゃんと取れたし、通知表だっていつも5段階中の5だった。
でもいざ目の前のアメリカ人の女の子と会話するとき、口からは『Hello』とか『This』とかしか出てこなくてかなりのショックを受けた。
当時は精度の高い翻訳機もなく、結局ジェスチャーやシンプルな単語だけでコミュニケーションを行うことになった。それでも、目の前にいた青い目をした女の子は喜んでそれに付き合ってくれた。
目の前で英語で楽しそうに会話を繰り広げる彼らをまじまじと眺めて、17歳だった私は
『この人たちは何を話しているんだろう?』
って
不思議だったし
会話に加われなくてもどかしかったし
同時にかっこよくて堪らなくて、
眩しかった。
色んな感情を、こんなにも一気に体験した日は初めてだった。
彼らとの共通点は同い年っていうことくらいで、あとは本当に、全然違った。
見た目も、言葉も、育った環境も、関心があることも、価値観も。
きっと、私の人生を大きく変える原体験となった瞬間はこの時だったと思う。
そしてあの時感じた強い好奇心と、ワクワクは今でもはっきり覚えている。
(当時の写真。2012年。彼女たちは今どこで何をしているんだろう....。そしてわたしのポーズが何かダサい。)
世界共通語は、私の人生を変えた
あれから8年の月日が流れ、私は現在カナダのトロントにいる。
50%が純カナダ人、残りの50%が世界中からの移民。地球人が一つの場所に大集合してきたような国際的な街で、日々働いたり、新しい人と出会ったりしている。
あの時完全に暗号だった『英語』を使って
約20か国の人と繋がり、友達になることができた。
そんな生きてきたバックグラウンドが全く違う彼らと会話をすることによって、新しい考え方や選択肢、発見に出会えたりもした。
例えばアメリカ人の友達を見ていると、
型にとらわれずもっと自由に、自分らしく、楽しく生きていいんだと思えた。
もうすぐ30歳になる韓国人の女の子は、
『やっぱり学びたいことがあるから大学に行く!』と、最近せっせと資金調達をしていて、
何かを始めるのに遅すぎることなんてないんじゃないかって教えてくれた。
あと...今一緒に住んでいるインドネシア人のご夫婦にたくさんご馳走してもらい、すっかりチリをふんだんに使用したインドネシア料理に恋をしてしまった(笑)
今の私のものの考え方や習慣、振る舞い、好きなものは、間違いなく英語を通して出会い、交流してきた人たちからおすそ分けしてもらったもので構成されていて、
そんな今の自分が、私は好きだ。
英語が話せないとできなかった経験もたくさんある。
アメリカの大学に留学して、日本とアメリカ両方でキャンパスライフを送れたこと。
現地の学生たちと一緒に『観光学』の勉強ができたこと。
(当時はちょうどエアビーに火がつき始めたころで、ホテルとエアビーを比較する授業が興味深かった)
初めて一目惚れをした相手とお付き合いを始めて、海を越えた遠距離恋愛がスタートしたこと。(3年目に突入)
ホテルやゲストハウスで世界中からやってきたゲストをおもてなししたこと。仲良くなって朝までお喋りしたこと。また会おうねって約束したこと。
外国人YouTuberのチェックインをしたこと。
洋書を手に取り、楽しむことができたこと。
偶然町で流れていた英語の音楽に励まされたこと。
他にもきっと、数えきれないくらいある。
翻訳機が発展しても、外国語を学ぶ価値はきっとあると思う
時代は流れ、めまぐるしいスピードであらゆるものが自動になったり、便利になったりしている。
私もその恩恵を受けるのが好きで、外に出なくてもポチれば届くアマゾンが大好きだし、早く5Gが浸透してほしいし、ペーパードライバーの私にとって車の自動運転化は待ち遠しくてたまらない。
でも。
外国語は、外国語だけは。
いくら素晴らしい翻訳機が誕生しても、学ぶ価値はきっとあると思う。
それは人と人がその場の会話を理解し合うためのただの『ツール』に留まらないからだ。
それは例えるならば、
新しい価値観をインストールしたり、未知の世界を覗いたり、普段できないようなことを経験するための『鍵』のようなもので
人生にワクワクを足してくれるスパイスだ。
私の場合は、それが『英語』だったけど、きっと何語でもそうなんだと思う。
だから私はこれからも学び続けたいし、
そんな鍵とスパイスを握りしめて、冒険を続けたいなって思う。
***
おまけ (写真たち)
(夢のアメリカキャンパスライフ。フットボールのルール?全く知らない。)
(トルコ人のお姉さんとルームシェア。この部屋で色んなことを話して泣いたり、笑ったりした。)
(外に出て新しい景色を見ることの楽しさを知った。)
(大学4年生。ゲストハウスで世界中からやってきた人をおもてなしする。)
(働いていたホテルにYouTuberが来て、カメラに向かってチェックインをする。1人だけやたら顔がカタイ。)
(NYで外観に一目惚れしたカフェ。いつか世界のカフェを巡りたい。)
(飛行機に乗って恋人の元へ会いにいく最中。ドキドキとワクワクが止まらない)
マガジンの紹介
トロントで起こった生活のあれこれや、学んだことを綴っているマガジン。
アメリカで一目惚れした彼と遠距離恋愛をする中で起こったあれこれを中継するマガジン。
日々の生活の中で自分が学んだことや楽しく生きるための知恵をストックしたマガジン。
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