回顧 (ショートストーリー)
ビルの屋上から見える景色は、遮るものが多すぎる。
無機質で大きいくせに、どこか頼りないこの街に、君はいない。
グレーの街並みに僕まで溶けてしまうような気がして、深いため息をひとつ吐いた。
「元気?」
携帯を開いて、ついさっき君から届いたシンプルなメッセージに目を落とす。
徐々に減っていく共通点が、会えない時間の長さを否応なしに感じさせて、胸が詰まりそうになる。
お互い意地を張るように、ぽつりぽつりと交わすメッセージが、今は二人を繋ぐ、脆く頼りない糸として、君と僕の間に存在し