インド物語-バラナシ⑥-

画像1 虹の人を追いかけて見失い同時に帰り道も見失った。川に出れば大丈夫だろうと思って細い路地の砂塵をけりけり歩いた。しばらくいくとこっちに尻を向けた牛がいた。その尻尾は私を振り払うように揺れていて道を譲りそうになかった。諦めて、きた道を引き返そうとしたら空から金の腕時計が降ってきて目の前に落ちた。上階から投下されたそれは確かに悪意を纏っていてその残穢が辺りに漂っていた。宿に着くとオーナーの韓国人女性が日本語でおかえり、と言ってくれた。私はただいま、と言って笑顔を返した。屋上に登ると猿がいて空を見ていた。

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