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#詩人
短編小説「駄菓子蟲を飼う」
古田美津子は更衣室でブラウスを脱いだ。
脱いで、露になった柔肌をつい隠した。
隣に古田美津子より十歳年若の後輩社員が明日より始まる三連休に、ムチムチと浮かれていた。
古田美津子の扁平な体を、後輩、野木真理が嗤ったような気がした。
「先輩の胸は扁平ですね。」と野木真理が言ったような気がした。
「でも、腰回りは重厚感がありますね。」と野木真理が言ったような気がした。
「肌には年齢の深みを感じます、そう
短編小説「味噌カツ幻想」
東京駅八重洲中央口から地下に降りて其処は文化文明の電燈が燦然とする地下街。
僕は春狂いの陽気に当たって一念発起し、郷里の人々が炉端で縄なう捕縛縄でも売らんかなと、花の都に上京した。東京駅に降りて先ずは昼食でもと徘徊して四半刻、数店の候補を品定めする所存。
サンドイッチとパスタとパンケーキとね、でもやっぱり一番良いのは味噌カツかもね。かりりとしたカツの衣を浸す味噌だれ。味噌だれは名古屋発祥赤味噌の豊
短編小説「イタリアンロール」
市場町から御幸町へ抜ける石畳の細道を歩いていると目の前に。
蟹、がいた。
往来を横切ろうとしている。
進んでは止まり、止まっては進む。
小さなハサミを突き上げて、横歩きしている。
その蟹と目が合った。
虹色の泡が。
くるくると回りながら風に吹かれて飛んだ。
振り向くと地蔵のような老婆が二人、ちょこんと路傍に座ってシャボン玉を吹いていた。
「こんにちは」
一人の老婆が朗らかに挨拶をした。
「
黄泉比良坂墓地太郎事件簿「かごめ」
「xxxxx!」
その日、恐山杜夫は罵詈雑言を喚き散らし、目につく墓石を片端から倒した。
「xxxxx!」
ユンボとは油圧式のパワーショベルカーのことであるが、杜夫はユンボのレバーを操って鉄腕を振りかざし、ヘヴィ級ボクサーの如くダイナマイトなブロウを墓石に見舞った。墓石は倒れ、崩れ、粉砕された。
夏の日であった。蝉が鳴いていた。土埃に塗れた黒い汗が玉となって流れた。杜夫の肺腑を輻射熱が焼いた。
「
没ネタ祭「夢日記 煙の中の海月シャボン」
これは夢日記です。未公開となっていた作品を没ネタ祭に乗じて公開します。
夜のカフェーで
カフェインに酔ひて
公園のベンチにフェルマータ
詩作に興じて
僕はそのまま眠ってしまった
「こんな夢を見た」
未完成であったはずの詩は
完成されて川原の町内掲示板に
張り出されていた
既に採点されている
あなたの詩は矮小で
胸躍る言葉に欠ける
と朱書されていた
振り返ると詩の友人
(既に交流途絶えて久
没ネタ祭「習作 鳥の巣」
エイモス・チュツオーラ、心の師父に。
アンデルセン(パン屋)のメルヘン大賞に応募するため、「メルヘン」をめぐって脳内トリップ中である。
蜘蛛の巣と埃だらけの脳内で僕は懐かしくエイモス・チュツオーラ師に出会った。師はナイジェリアの小説家で奇異な幻想文学を数点残した。その内容の奇異さ故に世界中に根強いファンがいる(に違いない)。
さて、この度のアンデルセン(パン屋)のメルヘン大賞は募集要項を読み解く