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みゅんひはうぜん短編集

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書きためていた短編を、長編の連載の合間に放出しました。掲載にあたって、ちょこちょこ加筆修正してます。ジャンルはSF・ファンタジー・ホラー・昔話など様々です。コメント欄に、うれしい…
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#ホラー

【短編小説】メロスよ止まれ(上)

【短編小説】メロスよ止まれ(上)

奇妙な電子音であなたは目覚めた。
背中にごつごつと固く冷たい感覚。
いつの間にか、どこかで椅子にでもかけたまま眠ってしまったのか。
あなたは目をそっと開けてみる。

薄暗くてとても小さな部屋に、椅子が一つ。
いや、部屋というか、個室というか。
トイレなのか? にしては狭すぎる。
眠い目をこすろうと手を持ち上げようとする。
動かない。
おかしい。
何かで椅子に縛り付けられている・・・
あなたは頭を振

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【短編小説】メロスよ止まれ(中)

【短編小説】メロスよ止まれ(中)

あなたはプラスチック製のグリップを握り、両方のレバーを互い違いに前後に動かしてみる。
と、ガン、ゴゴン、という大きな音とともに、両脇のビルが鉄の両腕で粉砕される。
もちろんコクピットにも強烈な衝撃が伝播したが、「プシュ」とともにそれらは相殺された。

その時あなたは、大勢の市民が車に轢かれたヒキガエルのように血を撒き散らしながら圧搾されるのやら、落下する外壁とともに数十メートルの高さから死へのダイ

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【短編小説】メロスよ止まれ(下)

【短編小説】メロスよ止まれ(下)

あなたはふと我に返る。
これを押すと終わりなのだ。
この巨大な鉄の殺戮者とともに火の海に投げ込まれ、あなたの人生は唐突に終了するのだ。

死にたくなどない。
当然、死にたくなどはない。

だが、このボタンを押さぬ限り、今なお冷酷に続けられるこの破壊と惨殺は、終わることがないのだ。

どちらを、選ぶか。
結局そういう問題なのだ。

あなたは再び巨人の足元を見る。
自動的に行進を再開した鉄の巨人によ

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【エチュード05】カミナリ・電車・老人

【エチュード05】カミナリ・電車・老人

※関連のない3つの単語を使った小品を作る、という習作企画。全12回。

 車窓を叩きつける激しい雨。そこここが錆び、赤茶色に古びた車体が、強風にあおられてギシギシときしむ。空は昼夜が分からないほど暗く淀み、時折大地に打ち付けられる刹那の稲光が、その暗さをさらに深くする。ややあって響き渡る雷鳴は、ゴトン、ゴトン、と規則的に聞こえる例のあの音を切り裂き、一瞬の後には霧よりも儚く掻き消える。

 気が

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【エチュード10】サタン・砂場・プリンタ

【エチュード10】サタン・砂場・プリンタ

※関連のない3つの単語を使った小品を作る、という習作企画。全12回。

 ガラス張りのビルが悠然と林立するコンクリートジャングルも、日曜ともなると人気はまばらで、行き交う車の量も、平日のそれと比べると、可笑しくなるほどの少なさとなる。今日の薄暗い曇天の下、在りし日の繁栄を失ったかに見えるその街並みは、古代文明の遺跡のたたずまいさながらである。

 さて、そんなオフィス街の一画に、あなたの会社のビ

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