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読んだ本/『彼女たちの部屋』『心はどこへ消えた?』

いそいそ楽しく読書。引き込まれ、あっという間に読んでしまった2冊です。

『彼女たちの部屋』   レティシア・コロンバニ

mm(エムエム)さんにおすすめいただいて。
複数の国をまたぐ『三つ編み』に対し、こちらは時代を行き来する物語でした。

それにしても著者の文章が流れるようで美しく、夢中にさせられます。
地の文と会話文の垣根がほとんどない。平家物語とかの口頭で語る文学を昔の人が聴いていたときって、こういうスピード感や引力を楽しんでいたのかな(古典に詳しくないので、違っていたらすみません)。
そのパワーで、読むのが遅い私でも半日で一気に読んでしまいました。

ストーリーも目が離せなかった。フランスを舞台に、表紙のイラスト通り各国の女性がにぎやかに登場します。
大変な経験をした人ばかりなのですが、前作よりだいぶ安心しながら読むことができました。やはり、タイトルにある「部屋」がそこに存在してくれるからなのだろうな。
そう思うと場所や環境ってものすごく大切、と考えさせられました。

タフで感情豊かな女性が多い印象でしたが、彼女らは皆もともと強くてエネルギッシュだったのだろう。過去では置かれた状況のために持ち前の元気が表せなかっただけで。
だから現代でも、貧困は社会にとっての損失だよなあ……。

後悔しない作品でした。新作『あなたの教室』もいずれ読もう。

『心はどこへ消えた?』   東畑開人

『居るのはつらいよ』が好きだったので、謎の生き物が可愛いこちらも。
週刊誌に連載されたエッセイで、臨床心理士の著者が軽やかに語ります。

『居るのはつらいよ』は施設が舞台で登場人物が固定されていましたが、こちらはカウンセリングに訪れる多種多様なクライアントがいて、彼らの変化していく姿が魅力的でした。
私はまだ受けた経験がないので「カウンセリングとはどういうものか」を覗かせてもらえた気がして興味深かったです。

読みつつ、誰にも観測されることがないとき、心ってどこに存在するのだろう? と思っていたら、著者の考えがきちんと示されていました。寂しいけれど、そうなのだよな、と。

大学教員の著者視点による、コロナ禍の大学生活の話も。入学式での学生同士のお話が胸にギュッときました。
いろいろ大変なことがあるけれど、人と会うこと、関わることって本来は楽しいことなのですよね(無論、楽しくないときは無理せず休んで)。

ところで表紙の子は何者?(笑)と思っていたら、イラストレーターさんも明確に決めてらっしゃらなかったようで、それがすごくこの本らしくて素敵だなと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございます。
読書するようになった結果、ネット浸りだった以前よりも頭の中が静かになった気が(ちょっとだけ)しています。
読書は始まりと終わりがはっきりしているけれど、ネットは区切りが付けにくいからだろうか。

みなさんもおすすめ本があったらぜひ教えてください♪

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