こま

読書記録などを書いています。雪国産、2022年〜転職して東京暮らしの30代。

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最近の記事

読書📚『エデュケーション』『紙の動物園』ほか

最近出会えてよかった本たち。落ち着かない時期ですが、ひとまず自分の手の届く範囲で働き、考え、備えていくしかないと思いながら。 『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』 タラ・ウェストーバー偏った考えの家に生まれ学校に一度も通ったことのなかった著者が、独学で大学に入学し学ぶノンフィクション。あらすじだけならサクセスストーリーですが、著者の家庭環境が想像以上に過酷で、序盤は読むのがハードでした。ですが大学入学を果たし、世界を少しずつ塗り変えていく第2部からは圧巻。 教

    • 読書📚『palmstories あなた』『野良猫を尊敬した日』 ほか

      お久しぶりです。夏から、珍しいことに仕事がばたついてしまい、秋になってひと段落しました。 やるべきことがあるって、すごくありがたいのですけどね。 若い頃は遊びたくともお金がないし、大人になってからは時間をつくれないし(といってお金もそんなにあるわけではなく)、心の余裕って難しい。 そんな感じで、せわしない時期に少しずつ読んだ(読めた!)本をご紹介します。 『palmstories あなた』 津村記久子、岡田利規、町田康、又吉直樹、大崎清夏仕事の合間、深夜まで開いている

      • 読書📚『こちらあみ子』『つまらない住宅地のすべての家』ほか

        梅雨の入り口、ふと思い立って本の収納スペースを整頓したら、すごくいい気分転換になりました。スッキリした気分で読んだ本も、どれも良かった。 『こちらあみ子』 今村夏子ずっと不安定なところにいるようで、だけど優しいお話。 登場人物の彼らの中に、かすかに自分を見る思いでドキッとしながら読みました。あみ子も、周りの人も。 表題作の他に短編2篇も収録されています。そちらも初めは奇抜に感じたけれど、ああ、どこかで似た風景を見て、こんな気持ちになったことがあるかもしれない……と不思議

        • 読書📚『羊と鋼の森』『人間は、いちばん変な動物である』

          GWから日常へ帰還し、ゆっくり読んだ2冊です。暑いのか涼しいのか、なんだか落ち着かないですね。 『羊と鋼の森』 宮下奈都宮下さんの作品は『窓の向こうのガーシュウィン』に続き2冊目。まだまだビギナー読者(?)ですが、じわじわ心を奪われています。 表紙の印象でピアニストのお話と思い込んでいたところ、調律師が主人公と知って手に取りました。 主人公をはじめ、ピアノに惹かれた人がたくさん登場します。 調律や音楽など一つの物事に心を注ぐことの美しさ。澄んで愛らしい表現なのに、手

        読書📚『エデュケーション』『紙の動物園』ほか

        • 読書📚『palmstories あなた』『野良猫を尊敬した日』 ほか

        • 読書📚『こちらあみ子』『つまらない住宅地のすべての家』ほか

        • 読書📚『羊と鋼の森』『人間は、いちばん変な動物である』

          読書📚『舟を編む』『わるい食べもの』

          GWですね。次は何を読もうかと若干そわそわしながら(集中せい)、夢中になった2冊です! 『舟を編む』 三浦しをんWombatさんにおすすめいただいて。 本書を韓国語に訳した翻訳者さんのエッセイ『ひとりだから楽しい仕事』を読んで、三浦さんが実際の辞書編集部で入念に取材をされたと知り、気になっていました。 読んでみて、大変よかった……!! 一気読みしてしまいました。 言葉の海を渡る舟=「辞書」を作るお話です。 用例採集 → 語釈(実際に辞書に載る説明文)執筆 → 度重なる

          読書📚『舟を編む』『わるい食べもの』

          読んだ本/『彼女たちの部屋』『心はどこへ消えた?』

          いそいそ楽しく読書。引き込まれ、あっという間に読んでしまった2冊です。 『彼女たちの部屋』 レティシア・コロンバニmm(エムエム)さんにおすすめいただいて。 複数の国をまたぐ『三つ編み』に対し、こちらは時代を行き来する物語でした。 それにしても著者の文章が流れるようで美しく、夢中にさせられます。 地の文と会話文の垣根がほとんどない。平家物語とかの口頭で語る文学を昔の人が聴いていたときって、こういうスピード感や引力を楽しんでいたのかな(古典に詳しくないので、違っていたら

          読んだ本/『彼女たちの部屋』『心はどこへ消えた?』

          読んだ本/『タイタン』『ひとりだから楽しい仕事』

          すっかり春! ですね。ウキウキ楽しく読んだ2冊をご紹介します。 『タイタン』 野﨑まどとってもとっても面白かった! AIにまつわるSFです。 AIが人間と決定的に違う点って、彼らが「生身の体や感覚を持たないこと」だと言われますよね。その事実を、まさかこういう形で見せてもらえるとは……。意外で圧倒されました。 ロボットものが好きな方とか、すごく楽しめると思います。 主題はむしろ、AIにつきものの議論「我々が働くことの意味とは?」の方なのかな。 AIが成熟しきって、い

          読んだ本/『タイタン』『ひとりだから楽しい仕事』

          読んだ本/『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』『三つ編み』

          最近はすっかり、週末になると「うお〜読むぞ〜!」と夢中になって読んでいます。いいのか悪いのか(笑)。 とっても素晴らしかった2冊をご紹介します。並ぶとなんだか可愛いタイトルだ。 『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』 古賀及子「デイリーポータルZ」編集部員・ライターの古賀及子さんの日記本。noteにアップされていたもののほか、書き下ろし部分も収録されています。 お子さんを中心に、淡々と朗らかに流れる日常。フラットな文章を、終始温かい気持ちで読みました。 古賀さんがお子さ

          読んだ本/『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』『三つ編み』

          読んだ本/『あなたに似た人』『凍土二人行黒スープ付き』

          ネットサーフィンを読書に移行しようと試みて、だんだん習慣づいてきました。 しかしそうすると、仕事が詰まっているとき「ちょっと動画で息抜き」ではなく、「ああガッツリ読みたい!」となって切なくなるように……(ダメじゃないか?)。 そんな感じで、読んだ小説2作品のご紹介です! 『あなたに似た人 Ⅰ・Ⅱ』 ロアルド・ダール映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作などで有名な、イギリスの作家ロアルド・ダールの大人向け短編集。 ダールの児童書が好きで、子どもの頃よく読んでいま

          読んだ本/『あなたに似た人』『凍土二人行黒スープ付き』

          読んだ本/『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』『裸足で逃げる』

          最近副業に興味が出てきてしまったり、遊びに出かけたりして、本を読むのがまばらに……。 でも読書、続けたい。たとえゆっくりでも! そんな決意のもと、読んだエッセイとルポの2冊です(どんな導入だ)。 『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 ジェーン・スージェーン・スーさんのことは、書店で見かける「なんだか強めのタイトルのエッセイの方」という印象でしたが、その後ポッドキャスト「OVER THE SUN」を聞いて好きになりました。 この本もとっても良かった!! スーさんが

          読んだ本/『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』『裸足で逃げる』

          読んだ本/『笹の舟で海をわたる』『いちばんここに似合う人』

          じっくり小説をと思い、年末から少しずつ読みました。 長編と短編の2冊です! 『笹の舟で海をわたる』 角田光代長編。単行本のこの装丁がきれいで、ずっと気になっていました。 文庫だと、表紙は戦後世代をイメージしたワンピース姿の女性。 中身もその通り、幼少期に戦争をくぐり抜けた世代の、東京の女性を主人公とした一代記です。 女性2人のお話だと聞いたことがあり、てっきり女同士のドロドロがメインかと思っていましたが、そうでもなかったです。 主人公がなかなか受け身な性格なのもあって

          読んだ本/『笹の舟で海をわたる』『いちばんここに似合う人』

          ことし読んで良かった本②/ノンフィクション編

          いよいよ年末。私は部屋でのんびり年越し予定です。 そんなわけで、まだなんとか2022年! 今年読んでよかった本、ノンフィクション編です。 どなたかの本選びのご参考になれば! 『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 川内有緒ノンフィクション作家の著者・川内さんが、美術鑑賞をライフワークとしている全盲の男性・白鳥さんと出会い、一緒に各地の展覧会を訪れた体験を綴った作品。 ベストセラーなんですね。 展覧会はもっぱら一人でじっくり観る派ですが(空いていれば好きな作品を行った

          ことし読んで良かった本②/ノンフィクション編

          ことし読んで良かった本/小説、絵本

          年々、読書量(特に小説)が減ってしまっている上、せっかく読んでもその本をじっくり味わっていないな……と思ったので、面白かった作品について書き残していこうと思います。 どなたかの本選びのご参考になれば! 『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下奈都内向的な19歳の女の子が主人公。 彼女は学校や周囲にうまく馴染めない不器用な性格で、悩みながらも家では家事をし、仕事では訪問ヘルパーとして細々と働いていましたが、 ふとしたきっかけで絵や写真に額縁を付ける「額装」の仕事と出会い……と

          ことし読んで良かった本/小説、絵本