見出し画像

読書📚『こちらあみ子』『つまらない住宅地のすべての家』ほか

梅雨の入り口、ふと思い立って本の収納スペースを整頓したら、すごくいい気分転換になりました。スッキリした気分で読んだ本も、どれも良かった。

『こちらあみ子』   今村夏子

ずっと不安定なところにいるようで、だけど優しいお話。
登場人物の彼らの中に、かすかに自分を見る思いでドキッとしながら読みました。あみ子も、周りの人も。
表題作の他に短編2篇も収録されています。そちらも初めは奇抜に感じたけれど、ああ、どこかで似た風景を見て、こんな気持ちになったことがあるかもしれない……と不思議な感覚になりました。

『つまらない住宅地のすべての家』   津村記久子

住宅地が舞台の群像劇。考えてみると、現実世界でも事件ってなかなかの割合が住宅地で起こっているのかも……?

登場人物が多そうで、これは一度に読みたい!  と休日に挑みました。
巻頭にそれぞれの家の家族構成と地図が付いていて、予感をはらむ前半は行ったり来たりしながらじっくり進み、後半は止まらなくなってすっかりジェットコースター状態。降りた後、ちょっと放心して散歩に出ました。
とっても良かった。

津村さんの作品、理不尽に対する怒りがきちんと表明されているものが多くて、いつも強さを分けてもらっています。

『夜明けの縁をさ迷う人々』   小川洋子

20ページほどの短い物語たちがどれも濃密でした。昔話のようなグロテスクさで怖いのだけど、じっくり見たら思わず笑ってしまうような滑稽さもあって。
曲芸師のような一風変わった人物が登場するのが、だんだん楽しみになります。一番の曲芸師は作家さんご本人だなあ……としみじみ。
でも同時に、随所に怖がりな感じものぞいていて、小川さんに興味をそそられました。世界をこういう風に恐れることができるって、ものすごい想像力だ。

文庫で読んだところ全話に扉絵が入っていて、小さくミステリアスな世界、という感じで素敵な本でした。

『弦のないハープ または、イアブラス氏小説を書く。』   エドワード・ゴーリー

久しぶりにゴーリー作品を読みました。デビュー作とのことですが、ギュギュッと絵の密度が高く、黒がきれい! ページをめくるたびに吸い込まれそうになる。
ちなみに楽器のお話ではなく(だいぶ変わった)小説家の物語でした。

ゴーリーは怖い印象があってぽつぽつとしか読んでいなかったのですが、この作品は残虐ではなくシュール系なので、落ち着いて読めました。
ページをめくりながら、ゴーリー、本当はとても優しく丁寧な人だったのではないか、と考える。だって絵がこんなに緻密でかわいい。かわいい……(フェードアウト)

感想、もっと気軽に書いてみようという気分で、短め & 冊数多めにしてみました。読むペースは早くないですが、楽しくカメのようにのんびり行きます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?