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読んだ本/『タイタン』『ひとりだから楽しい仕事』

すっかり春!  ですね。ウキウキ楽しく読んだ2冊をご紹介します。


『タイタン』   野﨑まど

とってもとっても面白かった! AIにまつわるSFです。

AIが人間と決定的に違う点って、彼らが「生身の体や感覚を持たないこと」だと言われますよね。その事実を、まさかこういう形で見せてもらえるとは……。意外で圧倒されました。
ロボットものが好きな方とか、すごく楽しめると思います。

主題はむしろ、AIにつきものの議論「我々が働くことの意味とは?」の方なのかな。
AIが成熟しきって、いろいろと働いてくれるようになった世界。そんななか、第1章は「就労」のタイトルで始まります。かといって堅苦しいお話ではなく、ライトノベル感覚でするする読めました。

読みながら、「仕事や家事をしなくとも快適に生きられる状況」がもはや想像できない自分に気づかされました(否定したいわけではなくて純粋に分からない!)。何年も一人暮らし社会人をしてしまったからなあ。
まだ社会に出ていない若い方の意見が聞いてみたい。

時世柄、学生さんは読書感想文の題材にしても良さそう。野﨑さんの文章、めちゃめちゃ素敵で読みやすかったので。

今年文庫化されたようですが、単行本の装丁↓  も格好いいですよね(発売時、書店で見て読みたくなった勢です)。

完全に脱線しますが、以前自動運転に関する動画を見てからというもの、こういった未来SFによくある「ドライバーのいらない完全自動運転技術」ってどういう過程で普及していくのだろう?  とちょっと興味があります。
AI、技術発展よりも法整備の方が難しいのでは問題。


『ひとりだから楽しい仕事』   クォン・ナミ

偶然にもこちらも仕事がテーマの本。
「ひとりで仕事、なんて幸せな!」と手に取りました(どんだけ一人が好きなのか笑)。日本現代文学を韓国語に訳す韓国人の翻訳者さんによる、仕事と日常生活のエッセイです。

小川糸さん、チョン・セランさんら日韓の作家さんと、『舟を編む』のモデルとなった辞書編集部の方のお話が特に印象的でした(『舟を編む』、未読なのでウォー早く読もう!   と思えました)。

技術的な話は多くないのですが、誤訳の危険のお話が興味深かったです。確かに、珍しい単語よりもそういった言い回しの方が対策しにくいよなあ、と。
(余談ですが日本語の不思議を思うとき、私はいつも宮部みゆきさんの『ドリームバスター』シリーズの彼の「ハイとイイエが同じ表現だなんて、変な言語」というセリフが頭をかすめます。本当にね……)

ほか、著者がある日本の作家の方と「ありがとう」と言い合う関係だとか、心温まるお話も。相手の仕事を尊敬して感謝し合えるって貴重だよなあ。
フリーランスの苦労や子育て時のことなども幅広く書かれているので、ちょこちょこ読み進めていても楽しく、良かったです。

韓国の詩の引用がしばしばされていて、韓国の方は教養が深いというか、やはり勉強熱心なのだろうなと改めて思いました。
韓国文学も読みたいものをためてしまっているので、もっと読んでいこう。

以上です。最後までお読みいただきありがとうございます♪

みなさんもおすすめの本があったら教えてください! 積読は生きる希望ですよね(?)。

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