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ことし読んで良かった本/小説、絵本

年々、読書量(特に小説)が減ってしまっている上、せっかく読んでもその本をじっくり味わっていないな……と思ったので、面白かった作品について書き残していこうと思います。

どなたかの本選びのご参考になれば!

『窓の向こうのガーシュウィン』 宮下奈都

内向的な19歳の女の子が主人公。
彼女は学校や周囲にうまく馴染めない不器用な性格で、悩みながらも家では家事をし、仕事では訪問ヘルパーとして細々と働いていましたが、

ふとしたきっかけで絵や写真に額縁を付ける「額装」の仕事と出会い……というお話。
タイトルの「窓」は額縁のことですね。

全体的にゆったりした雰囲気の作品で、怖いことはあまり起きず、安心して読めます。
でも時々、ものすごくドキッとするような、目が離せない文章がある。

主人公は早産で生まれ、痩せっぽちで気が回らないことをコンプレックスに思いながら育つのですが

ばかだから考えられない。早産だったから半人前だ。それはそうかもしれない。だけど、誰もが偏っているんじゃないか。ばかだから、早産だったから、見える景色や聞こえる音もあるんじゃないのか。いつまでも聞こえないふりをして耳を塞いでいちゃつまらない。

『窓の向こうのガーシュウィン』宮下奈都

こんな風に、彼女の思いが時々モノローグとして入っていて。それが驚くほど胸に刺さるというか、強くてハッとする言葉なんです。

自分の世界を大事に物事を見ながら、そこから一歩踏み出したいような時に読みたい小説でした。
宮下奈都さん作品は初めてだったので、他の作品も読んでいきたい!


『ぼくとねこのすれちがい日記』 北澤平祐

イラストレーターの北澤平祐さんによる、猫との生活を描いた絵+文の作品。

(北澤さんが猫との生活をモチーフとして個展で展示したイラストに、後から文章を付けてWEB連載されたもの)

こちらの本、ペットを飼っている方、昔飼っていた方にすごくおすすめ!
胸にグッとくる場面があります……。

日記形式で、飼い主(人間)のタイラさんと、拾い猫のホワンホワンが交互に語り手として登場します。
これ、ホワンホワンが飼い主の北澤さんを「タイラ」と呼んでいるんです(もちろん猫なので実際口に出しては呼べないのですが)。

動物と言葉で話すことはできないので、彼らが自分たち人間をなんと呼んでいるか、どう思っているか……なんて知ることができたら!
夢ですね。
けれど実際に言葉を聴けたらそれは嬉しい反面、ちょっと怖いのだろうなあとも思います。

飼い主のタイラさんの生活は少しずつ変わっていきます。お子さんが生まれたり、働き方を模索したり。
一方で、猫のホワンホワンにも、何か私たち人間の知らない世界があって……。
まったく「すれちがい」のない日々なんて難しい。

1話ごとに、イラストと文章が交互に出てきて進みます。
細かいところのイラストまで1点1点描き下ろされていて、とにかく見ていて楽しい!

猫好きな方、動物好きな方はもちろん、イラスト好きな方、普段本を読まないという方でも、毎日ちょっとずつ眺めて楽しい作品だと思います。
本の手触りも素敵なので、プレゼントにも良さそう。

以上です。長くなってしまったのでひとまず2冊だけ!
時間がとれたら、ノンフィクションや他の小説もまとめたいな。
皆さんもおすすめ本があったらぜひ教えてください!

(ひとさまの本レビューを拝見するのは楽しいですよね、フフ)

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