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読書感想文

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読んだ本についての記事に特定。
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記事一覧

「生きのびるための事務」

「生きのびるための事務」

坂口恭平 「生きのびるための事務」 (マガジンハウス)

最初は読むつもりのなかった本です。

っていうか、マンガです。

そう、「マンガだしなぁ・・・」とか「POPEYEの連載のヤツだよなぁ・・・」とか余計なイメージが邪魔してたんですね。

それが友人の本屋さん(富士見町の「mountain bookcase」さん)でパラパラやってみたら・・・ツボでした。自分に必要な本でした。

言い訳するわけ

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「パーティーが終わって、中年が始まる」

「パーティーが終わって、中年が始まる」

pha 「パーティーが終わって、中年が始まる」 (幻冬舎)

自分とはまるで違う・・・のに、時々すごく共感できる部分を持っているphaさん。

基本的に自分”よくわからない名前の人の本は読まない”ってユルく決めているフシがあるのですが、phaさんの「しないことリスト」は数少ない例外で。

そんな彼がちょっと気になるタイトルの本を出してきたのでとても気になっていました。

「そうか、そんな時期が来た

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「フツーに方丈記」

「フツーに方丈記」

大原扁理 「フツーに方丈記」 (百万年書房)

「隠居生活10年目 不安は9割捨てました」の大原扁理さんによる「方丈記」の現代語訳&独自解釈。

と、いっても学術的云々・・・ではなくとてもポップな訳と解釈。

こちらも特別、「方丈記」を学術的に正確に読み解こう・・・というつもりで手にした本ではないのでそれで充分です。逆にそういう感じの方丈記論を求めえる方は避けた方がよいでしょう。

帯には”人生詰

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「『好き』で仕事を作る ナリワイ起業 地域が変わるスモールビジネス」

「『好き』で仕事を作る ナリワイ起業 地域が変わるスモールビジネス」

井東敬子 「『好き』で仕事を作る ナリワイ起業 地域が変わるスモールビジネス」 (彩流社)

地方に暮らし、仕事を考え、実際小さな本屋という仕事にたどり着いた・・・なんていう経緯のある自分。

この手のテーマの本はどうしても気になってしまいます。

あ、もう本屋という選択はしたのだからあとは本屋の勉強だけしてればいいんじゃないの?なんて感じるかもしれませんがそれは自分にとっては違うかな、と。

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「ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け」

「ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け」

平松洋子 「ルポ 筋肉と脂肪 アスリートに訊け」 (新潮社)

平松洋子さんといえば自分にとっては圧倒的に”食”の人であって。
次いで、読書、エッセイの人か。

それがどうしてアスリートとその周辺につながっていくのがまず冒頭に、丁寧に興味深く書かれている・・・ところから始まるこの本。

突然ですけれど。

自分、スポーツ好きです。観るのもやるのも。

いわゆるスポーツマンってガラではないのだけれど

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「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」

「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」

幡野広志 「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。」 (ポプラ社)

ガンの闘病記を一冊読んでみたい、とずっと思っていた。

目をつけていたのは、これ。

ガンの闘病記・・・と言ってもそれこそ幅広く、誰のものでもいい・・・というワケでは絶対にないので、好きな作家さんのそれを・・・と思っていた。刑事ヴァランダー・シリーズの書き手のエッセイは(たとえテーマが何でも)つまらないわけがないと。

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夏休みの読書。

夏休みの読書。

迎え盆も終わって夏休みをのんびり満喫中。

あれこれ予定を入れがちな夏ですが今年は比較的静かな夏。

ウッドデッキにタープを張って外で読書が気持ちいい。暑い夏、気候変動が叫ばれますがそこはやはり信州の高地、快適な時間が長い。

並行して何冊も読むのが自分のスタイルですが、とりあえずそんな中なら休み中読み終えた2冊をご紹介。

青木海青子 「本が語ること 語らせること」 (夕書房)

奈良・東吉野で

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7days・7books ・・・2022

7days・7books ・・・2022

毎年。

1年に1週間だけボディケアの期間を設けています。プチファスティング+いつもより多めのトレーニング・・・といった感じですか。

その1週間、やはり制約が多いだけつまらなく感じてしまうことがある。

せっかくなのでただ1週間を何とか過ごす・・・という感じではなく本も絡めて出来るだけ愉しもうと。

”例の騒ぎ”が活発になり始めた頃・・・みんな退屈だったのでしょうか・・・SNSで7DAYSチャレ

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「フォンターネ 山小屋の生活」

「フォンターネ 山小屋の生活」

P.コニェッティ 「フォンターネ 山小屋の生活」 (新潮クレスト・ブックス)

この手のタイトルには弱いですね。この本のせいです。

ありゃ、スゴい値段になってる・・・過去記事にも書きました。

この手のテーマでまず思い出されるのがH.ソローの「ウォールデン 森の生活」ですよね。多少文章がクドいと感じますが自分も好きな本です。

この本の裏表紙にも”21世紀版森の生活”とあり、ソローのイメージを借

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「土になる」

「土になる」

坂口恭平 「土になる」 (文藝春秋)

坂口恭平を初めて読んだのは「独立国家のつくりかた」だったかな?

これは面白いヒトを見つけたな、と思ったものだ。

自分もセルフビルドである自宅を含め、自分の暮らしを整えることを”自分の国を作るが如く”なんて表現していたものだから、おお!これは!と。

もちろん坂口(以下敬称略)のそれは全く違った思いと動きでなされていくのだけれど、まぁ驚くやら感心するやら。

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「ポルトガル、西の果てまで」

「ポルトガル、西の果てまで」

福間恵子 「ポルトガル、西の果てまで」 (共和国)

ポルトガルを歩く旅をはじめてすぐに、この騒ぎ。

元々欧州のメジャー国(?)と違い情報・・・ましてや旅行記となるととても少ない。

関連書籍を見つけてはすぐに飛びつく日々なのだが、この本は見つけたときから少し違った感じがした。

まず、版元が「共和国」・・・あまりいい旅行記が見つかる感じのイメージではない。

著者である福間恵子さんのご主人は映

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「『FMステーション』とエアチェックの80年代」

「『FMステーション』とエアチェックの80年代」

恩藏茂 「『FMステーション』とエアチェックの80年代」 (河出文庫)

あまりの面白さに一気読み、です。

いやこう言っては失礼なんですが元編集長・恩藏さんの語り口は正直あまり、好きじゃない類のものなんです。時代と職種、か・・・少し高慢な感じの。

しかしそこを含め、面白く読めました。

自分が中学校の頃ですかね。ちなみにEUROPEでいうと「ファイナル・カウントダウン」、BON JOVIの「ワ

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「開高健は何をどう読み血肉としたか」

「開高健は何をどう読み血肉としたか」

菊池治男 「開高健は何をどう読み血肉としたか」 (河出書房新社)

自分にとって方向性を決めるに大きな役割を果たしてくれた作家・開高健。

その中でもやはり大きな軸として外せないのが集英社・日本版プレイボーイの連載であった一連の「オーパ!」シリーズ。

開口大兄の作品以外にもいわゆる”オーパ隊”・・・つまり編集者から旅のスタッフ陣・・・による著作も多く残されており、如何に多くの人に多くの影響を与え

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「もう革命しかないもんね」そして「ぼくにはこれしかなかった。」

「もう革命しかないもんね」そして「ぼくにはこれしかなかった。」

森元斎 「もう革命しかないもんね」 (晶文社)

早坂大輔 「ぼくにはこれしかなかった。」 (木楽舎)

極めて印象的な2冊を偶然、続けて読んでしまったので今回は一緒に。

両方とも要するに”生き方”の本。

先に読んだ森元斎、これはもう帯やサブタイトルなどから自分が読まなくてどうする・・・という感じ。

(参考までに、自分も東京を離れ長野の山間に拠点を移しました。)

手造りの、都会からちょっと

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