COVID-19のパンデミックが終わっても、パンデミックによって私達が強いられたライフスタイルによるメンタルヘルスへの影響は、引き続き報告されている。
メンタルヘルスに関する医療・福祉施策において、シンガポールで最近どのような動きがあるのか探ってみたい。あわよくばその領域で仕事もできたらいいなと思ってもいるため、プチ業界研究のような気持ちで今回調べてみた。
メンタルヘルスとウェルビーイングに関する戦略と段階的モデル 2023年10月5日、シンガポールはメンタルヘルスとウェルビーイングに関する戦略 (National Mental Health and Well-being Strategy)を発表した。
この戦略は、次の4つの重点分野をカバーしている:i. メンタルヘルスサービスのキャパシティの拡大 ii. 早期発見と介入のための、サービス提供者の能力強化 iii. メンタルヘルスとウェルビーイングの促進 iv. 職場のメンタルヘルスとウェルビーイングの改善
Ministry of Health「LAUNCH OF NATIONAL MENTAL HEALTH AND WELL-BEING STRATEGY」 この戦略で、段階的ケアモデル (Tiered Care Model)について言及されていた。簡単にいうと、支援ニーズの段階に合わせて、適切な場所が適切な支援を提供していきます 、という内容。
段階1:健康な人 「精神的健康を維持し、精神疾患の発症を防ぐ」ことを目的として、 「メンタルヘルス促進のためのサービス」を提供する
段階2:少し支援ニーズを持つ人(生活の中で少し困ったことがある等) 「対処能力(coping)を促進し、症状の悪化を防ぐ」ことを目的として、 「低強度(low-intensity)のサービス」を提供する
段階3:中程度の支援ニーズを持つ人(生活に支障が出ている等) 「症状を軽減する」ことを目的として、 「中強度(moderate-intensity)のサービス」を提供する
段階4:濃厚な支援ニーズを持つ人(精神疾患の重篤な症状を示している等) 「症状の安定」を目的として、 「集中的(high-intensity)サービス」を提供する
一次予防、二次予防、三次予防というシンプルな理解でもいいのかしら 具体的に——人員配置、精神科の増床、実践ガイドの整備 では、もっと具体的にどんなことをやっていくのかというと、「人員配置」「精神科の増床」「相談支援の効果的なコーディネーション」「実践ガイドの整備」「職場でのメンタルヘルス不調早期発見ツールの普及」 等が、ざっくりと挙げられる。
(…)メンタルヘルスの改善は、精神科医の増員やメンタルヘルス研究所 (IMH、Institute of Mental Health)の能力強化だけでは不十分だと、ローレンス・ウォン (Lawrence Wong)副首相は議会で述べた。※現在は首相 「もちろん能力強化はするつもりだが、ポリクリニック(polyclinic)や総合診療医(GP、general practitioner)、学校、職場、地域社会など、ケアの全領域で能力を強化し、支援を必要とする人々にタイムリーな支援を提供できるようにする 必要がある」と同氏は述べた。 ジャニル・プトゥチェアリ (Janil Puthucheary)保健担当上級大臣(Senior Minister of State for Health)は、メンタルヘルスのニーズを特定し、支援を必要とする個人に基本的な支援を提供し、必要に応じて支援を紹介できるよう、2030年までに13万人以上の第一線の職員とボランティアを訓練 することを目標に、第一線の防衛体制が構築されていると述べた。学校教師やシンガポール警察、住宅局、家族サービスセンターなどのさまざまな機関の職員を含む48,000人以上の最前線職員、および54,000人のボランティアがすでに訓練を受けている。同時に、学校や職場でより多くのピアサポーターを育成するための訓練が構築され、学校にさらに多くの教師カウンセラー(teacher-counsellors)が配置されるなど、さまざまな取り組みが行われている。すでに、2030年までにすべてのポリクリニックと1,350のHealthier SG総合診療クリニックすべてで、メンタルヘルスサービスを提供する計画が立てられている。(…) ジャニル氏は、政府が能力構築の取り組みを強化することで、(段階的モデルの)段階1から段階3にわたる相当数のピアサポーターとサービス提供者が、今後2年間でメンタルヘルスを必要とする個人を支援するために必要な基本能力を備えることになるだろうと述べた。同時に、段階4の集中治療が強化されており、政府は2030年までに公的部門の精神科医の数を約30%増の260人に、心理学者(psychologist)の数を約40%増の300人に増やす ことを目指していると、保健担当上級政務次官(Senior Parliamentary Secretary for Health)のラハユ・マハザム (Rahayu Mahzam)氏は述べた。2022年時点で、公的部門には203人の精神科医と212人の心理学者が登録されている。 これは、IMHやその他の公立病院の入院精神科病床の収容能力の拡大と一致する。現在、公立病院には約1,000床の精神科救急病床があり、IMHには800床以上ある 。2030年までに急性精神科病床は約1,070床となり、再開発されたアレクサンドラ病院には約70床が追加される 。 重要なのは、2025年までに新しい全国精神保健ホットラインとテキストサービスが開設され、電話をかけた人とテキストを送信した人を、それぞれのニーズに合った最も適切なサポートやサービスに結び付ける ことだと、文化・コミュニティ・青少年開発担当上級政務官および社会・家族担当上級政務官(Senior Parliamentary Secretary for Culture, Community and Youth, Senior Parliamentary Secretary for Social and Family Development)のエリック・チュア (Eric Chua)氏は述べた。例えば、精神保健ニーズがないか最小限で、健康スキルを学びたい人からの電話やテキストは、コミュニティ内の健康サークル(well-being circles)に紹介され、自殺傾向のある人は、シンガポール・サマリア人協会 (Samaritans of Singapore)のホットラインやサポート連絡先に繋がれる可能性がある。同氏はまた、2024年末までに、段階的ケアモデルの中核概念を実践的なステップに翻訳した実践ガイドを立ち上げ、実践者が段階的アプローチを効果的に適用できるようにする ことが目標であると述べた。 人材担当国務大臣(Minister of State for Manpower)のガン・シオ・フアン (Gan Siow Huang)氏は、職場が従業員の精神的健康をどのようにサポートできるかについて語り、企業が従業員の仕事のストレスや燃えつき症候群を測るための簡単な調査であるiWorkHealth Lite など、さまざまな取り組みを開始する予定であると述べた。(…)
The Straits Times「Not everyone with mental health challenges needs to rush to IMH 」より メンタルヘルスの専門家を育てるために、大学も動きだした そして、ここにきて大学も動きだした。 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)が発表した2025年版「世界大学ランキング」 で前年と同じ8位となり、2年連続でトップ10入り(アジア圏では1位)した、天下(?)のシンガポール国立大学 (NUS、National University of SIngapore)と、シンガポール国立大学保健機構(NUHS、National University Health System)管轄の研究センターが共同で、
「臨床メンタルヘルスおよび心理療法の修士課程」 (Master of Clinical Mental Health and Psychotherapy)
が取得できるコースを開設した。外国人は、出願時のGRE (Graduate Record Examination)提出が不要(!)だ。 2025年から始動するこのコースは、フルタイムなら18か月、パートタイムなら30か月 で学位が取得できる。そして、メンタルヘルス専門家および/またはメンタルヘルスカウンセラー (Mental Health Practitioners and/or Mental Health Counsellors)と名乗ることができる。
高まるメンタルヘルスケアの需要に応えるため、臨床メンタルヘルス(clinical mental health)に関する新しい修士課程 が2025年1月に開始される予定。 シンガポール国立大学ヨン・ルー・リン医学部 (National University of Singapore Yong Loo Lin School of Medicine)とシンガポール国立大学保健機構ヨー・ブン・キム・マインドサイエンスセンター(National University Health System Yeo Boon Khim Mind Science Centre)が提供する「臨床メンタルヘルスおよび心理療法の修士課程」 (Master of Clinical Mental Health and Psychotherapy)は、メンタルヘルス専門家のトレーニング不足を補う予定。 NUHSヨーブンキムマインドサイエンスセンターの副プログラムディレクター兼心理学教育ディレクターのパールーン・ン (Pearlene Ng)博士は、このプログラムはメンタルヘルス従事者が軽度から中等度の精神疾患の症状がある患者、または段階的ケアモデル (tiered care model)の段階2および段階3に該当する患者をサポートするのに役立つ予定であると述べた。(…) 2024年3月21日にアレクサンドラ病院(Alexandra Hospital)で開催された、メンタルウェルネス展示会でこのプログラムを発表したデズモンド・リー (Desmond Lee)国家開発大臣(National Development Minister)は、このプログラムには社会福祉機関や医療提供者などの業界大手のパートナーが参加し、監督下での臨床実習やトレーニングを提供すると述べました。 「学生は一般的なカウンセリングや心理療法だけでなく、体系的療法や家族療法(systemic and family therapy)も受け、さまざまな要因がメンタルヘルスにどのように影響するかをより深く理解できるようになります」と、社会福祉統合担当大臣(Minister-in-charge of Social Services Integration)でもあるリー大臣は述べました。 ン博士は、ここで現在提供されている修士課程は、重篤な症状を持つ人々に対処する専門家を養成する臨床心理学 (clinical psychology)か、対人関係や人間関係の問題を抱える人々を支援できる専門家を養成するカウンセリング (counselling)のいずれかであると説明した。 「増大するメンタルヘルスのニーズを満たすために、シンガポールはカウンセラー(counsellor)や心理療法士(psychotherapists)などのメンタルヘルス専門家を養成する必要がある。誰もが段階4レベルの心理学者(psychologist)に診てもらう必要はない」 と彼女は述べた。 学生はまた、さまざまな年齢層におけるストレス、不安、気分管理、そして苦しんでいる人の状況を管理し、緩和する方法を学びます。この新しいプログラムは、最初の入学時に20人の学生を受け入れることを目標としており、5〜6年後には入学ごとに最大50人の学生に増やす計画であるとン博士は述べています。このプログラムに応募する候補者は、心理学、看護学、医学、作業療法、関連医療、またはソーシャルワークの分野で、認定大学で優秀な成績で関連する学士号を取得している必要があります。また、メンタルヘルスの問題を抱える人々に直接ケアを提供した経験が少なくとも1〜3年必要 です。(…)
The Straits Times「New master’s programme to train mental health professionals in Singapore」 より カリキュラムは、「座学」「実習」「キャップストーン・プロジェクト」 (学生が学んだ知識や技能を応用し、企業や自治体が直面する課題の解決策を提案する課題)の3種類。論文提出は不要 。
座学: ・Fundamentals in Clinical Mental Health (臨床精神疾患の基礎) ・Psychotherapy & Clinical Skills (心理療法と臨床スキル) ・Counselling & Cognitive Behavioural Therapy (カウンセリングと認知行動療法) ・Mental Health Conditions (精神疾患) ・Systemic & Family Therapy (システミック療法と家族療法) ・Management of Mental Health Conditions (メンタルヘルスマネジメント) ・Research I: Introduction to Biostatistics in Mental Health (研究1:メンタルヘルスにおける生物統計学入門)
「Master of Clinical Mental Health & Psychotherapy brochure」 より実習: ・週2日×20 週間の実習を 2 回 1) 実習ごとに少なくとも 60 時間のクライアントとの接触 合計 = 60 x 2 = 120 時間 2) 実習ごとに 20 時間の個別指導 合計 = 20 x 2 = 40 時間 3)実習ごとに 20 時間のグループ指導 合計 = 20 x 2 = 40 時間
「Master of Clinical Mental Health & Psychotherapy brochure」 よりキャップストーン・プロジェクト: ・Clinical Skills Workshops (臨床スキルワークショップ) ・Integrative Symposiums (シンポジウム) ・Research II: Service Planning & Programme Development (研究2:サービス計画とプログラム開発)
「Master of Clinical Mental Health & Psychotherapy brochure」 より透けて見える政府の本音と、外国人学生に取ってのメリット このコースの設立を知って、瞬時に思ったことが2つある。1つ目は、「シンガポール政府は、そんなにメンタルヘルス関連の人材確保に切羽詰まっているのか」 というもの。もう1つは、「外国人に取って、ここで学ぶメリットはあるのか?」 というものだ。 現時点では、シンガポールで労働力が不足している専門職種の一覧リスト「SOL」 (Shortage Occupation List)にClinical Psychologist が入っており、この職種に該当する場合は、EP(Employment Pass、管理職や高度専門職向けに発行される就労ビザ)申請時に優遇評価される。
が、このコースで学位を取得しても、Clinical Psychologistと名乗ることはできない 。修めることができるのは、医学でも心理学でも、社会福祉学でも公衆衛生学でもなく、あくまでも「臨床メンタルヘルスおよび心理療法」 だ。このコースを修了したからといって、外国人の就職に有利に働くかは不明である。
理由は、「応用心理学」のトレーニングを提供しているわけではないから、とのこと。 政府の元々の目標は「心理学者に全てのケースを見てもらわなくても、ケースごとの支援ニーズに合ったサービスを安定して提供できる体制の構築」 であるはず。つまり、このコースは、既に医療・福祉・介護・教育・行政等のバックグラウンドのある専門家が、メンタルヘルス「にも」対応できるようにするためのもの である可能性が高い。
でもね。 既に知識と経験(と学位?)を持っている、いわば即戦力の外国人が活躍できるようにすればいいのではないか 。 母国で医療・福祉・介護等の専門職だったという、シンガポール在住の外国人は多い。シンガポール日本人会にも、「メディカルスタッフの会」 があるぐらいだ。 だがしかし、メンタルヘルスケアは国のインフラなので、このセクターで外国人労働者率を激増させるわけにはいかない のは分かる(家事労働者、いわゆるヘルパーさん、メイドさんもインフラだが…)。あと何といっても、外国人が得られる仕事は「シンガポール人ができない仕事」か「シンガポール人がやりたくない仕事」のどちらかだよ、という外国人労働者受入政策から大幅に外れるわけにはいかない のも分かる。
ちょっといいことも言っている これを言うと元も子もなくなるが、そもそも長期間続く苛烈な競争や、消費を煽る企業態度が変われば、メンタルヘルスへの負担も減るのではないか 。 成功や幸せの形を問うことの大切さは、シンガポールでも少しずつ語られているようだ。
(…)National Youth Council(NYC) による全国調査では、シンガポールの15歳から34歳の学校に通う10代の若者と若い労働者の主な懸念と問題を調査している。(…) (…)2022年の回答者の40%が、自分の精神的健康状態は良好または非常に良好であると回答しており、2020年の35%から増加している。パンデミック前の2019年には、回答者の52%が同じことを回答していた。(…) (…)若者の精神的健康に最も影響を与える問題は年齢によって異なることも判明した。15歳から19歳の若者は主に学業に影響を受け、25歳から29歳の若者は財政に最も影響を受けた。回答者全員に共通する懸念事項は燃えつき(burnout) だった。 パネリストの1人である、NUS 社会学・人類学部准教授のヴィンセント・チュア氏 (Vincent Chua)は、考えるべき問題は、なぜ人々がこれほど若い年齢で燃え尽き症候群を経験しているのか、と述べた。同氏は、燃えつきはどこからともなく現れるのではなく、蓄積されるものであり、学生が学校でさらされる過度の競争が原因ではないかと考えた。 「(競争は)社会に浸透している、成功の唯一の定義に焦点を当てている」と同氏は述べた。 もう1人のパネリストであるNational Youth Council(NYC)の副最高責任者、タン・リン・テック氏 (Tan Lin Teck)は、成功の定義について話し合う ことが重要だと付け加えた。なぜなら、(成功の定義は)若者が自分や周囲の人々を、競争相手として見るか、それともサポートして支援できる人々として見るかが決まるからだ。 同じくパネリストで、米国デラウェア大学の助教授であるクワン・ジン・ヤオ氏(Kwan Jin Yao)は、教育は今日の成功の大きな部分を占めているので感謝しているが、学校で学んだ競争の概念の一部を忘れなければならなかったと語った。「自分を他の人と比較することなく、自分らしく良い生活を送るにはどうしたらいいでしょうか?」 と彼は語った。 「何十年も競争して他の人より優れようとしてきたことを忘れるのは簡単ではありませんが、個人にとって、こうした会話をすることが大きな部分を占めると思います。こうした会話は、人生への取り組み方や、家族を持つことを選んだ場合に特定の価値観や原則を子供たちに伝える方法を形作ることができます。」 チュア教授はこう付け加えた。「私たちは、自分自身に完全に近づくために、他人が私たちに押し付けてきたものを解体する必要がある。それは若者にとって非常に良いことだろう。」
The Straits Times「Mental well-being of young people improved but still suffers from pandemic impact: Studies」より (…)ローレンス・ウォン副首相(※現在は首相)は、政府はメンタルヘルスとウェルビーイングの改善に全力で取り組んでいると述べた。しかし、計画が機能するためには、態度や考え方を変える必要がある。メンタルヘルスの症状に対する偏見をなくし、人々がためらわずに助けを求めるようにし、成功と見なされるものも変える必要がある 。 すべてのシンガポール人に国家メンタルヘルス運動に参加するよう呼びかけた副首相は、 「シンガポールには、勤勉さを重んじ、卓越性(excellence)を促進し、誰もが向上を目指して努力するよう奨励する文化があるのは良いことだ。しかし、他人より優位に立ちたいがためだけに、過度な競争や、互いと際限なく比較するラットレース(a rat race)に、知らず知らずのうちに引き込まれ、結果として社会が悪化することになってはならない 」 と述べた。
The Straits Times「Not everyone with mental health challenges needs to rush to IMH」より 総選挙を控えるシンガポール シンガポールは、2025年11月までに総選挙を実施する予定だ。2020年の総選挙では、与党である人民行動党 (PAP、People's Action Party)が10%近く得票率を落とし61.2%となり、代わって野党の労働者党 (WP、Workers' Party)が計10議席を得るという快進撃に終わった。総選挙後、当時の首相リー・シェンロン (Lee Hsien Loong)氏は、労働者党の書記長プリタム・シン (Pritam Singh)氏に「野党指導者」という地位を与え、「排除すべき敵」から「代替政策を提案できる存在」として野党を見なすようになった。とはいえ、人民行動党は安定した一党支配に戻したいはずだ。
ローレンス・ウォン首相は、2024年8月18日の独立記念集会の演説で
失業者支援 (失業者に、最長6ヶ月間にわたる最大6,000sgdの支援を提供)
住宅・職業訓練給付金 (毎月最大3,000sgd)
夫婦で分担して計10週間の育児休業を取得する「シェア育休」制度 (男性の育休計4週間を全て義務化した上で、シェア育休を上乗せする)を新たに導入
を打ち出した。自助努力を奨励してきたシンガポールには珍しく、社会保障面を充実させようとする姿勢が垣間見えた。たとえ選挙対策(+少子化対策)だったとしても、アフターコロナ時代のシンガポールで、国民から強く望まれる施策だろう。
補足と参考 補足:
シンガポールでは、保健省傘下の医療施設持ち株会社(政府系企業)である「MOHホールディングス」 の下で複数の公的ヘルスクラスターが運営されており、そのうちの1つがシンガポール国立大学保健機構 (NUHS)。他のクラスターとして ・National Healthcare Group (Tan Tock Seng Hospital、Institute of Mental Health等を管轄) ・Singapore Health Services (SingHealth) (Singapore General Hospital、KK Women's and Children's Hospital等を管轄) 等がある。
NUHSは、中心となるシンガポール国立大学病院(NUH、National University Hospital)などの急性期機能から、プライマリケアを担う診療所まで幅広く傘下に置いている。さらに、シンガポール国立大学との共同研究開発など も実施している。
シンガポール国立大学保健機構には、「Centers of Excellence」として、6つの研究センターが設置されている。ヨー・ブン・キム・マインドサイエンスセンターはそのうちの1つ。
参考: ・経済産業省「平成26年度 医療機器・サービス国際化推進事業 (海外展開の事業性評価に向けた実証調査事業) 認知症介護サービス(グループホーム、小規模多機能型施設、 訪問介護)等の海外展開に関する実証調査事業報告書」 ・経済産業省「政府関連管轄部門:保健省ホールディングス(H26年度・日本式介護サービスで世界中の高齢者が豊かな生活を実感できる社会を築くコンソーシアム 「認知症介護サービス(グループホーム、小規模多機能型施設、訪問介護)等の海外展開に関する実証調査事業報告書」)」 ・神奈川県「ヘルスケア・ニューフロンティアにおけるグローバル戦略の推進(シンガポール政府機関)」 ・明石書店「シンガポールを知るための65章」 【第5版】第65章『2020年総選挙』より