「死刑」をテーマにした映画紹介!🎬

今回は、死刑制度をテーマにした映画をいくつか紹介します。
外国には、案外たくさんあるのです!

 

「デッドマン・ウォーキング」(1995年 米)


死刑廃止論者の尼僧ヘレン・プレジャンによるノンフィクション作品を映画化したもの。
彼女は、長年執行間近の死刑囚の精神アドバイザーを務めたのですが、その最初の事件を描いた作品です。

舞台はルイジアナ州ニューオーリンズ。
アフリカ系アメリカ人の住む貧困地区で働く尼僧ヘレンの元に、死刑囚のマシュー・ポンスレットからある日手紙が届きます。
死刑囚と会うのは初めてだったヘレンですが、刑務所を訪れ面会します。
マシューは共犯者と一緒に若いアベックを襲い、女性をレイプして二人を惨殺した容疑で死刑判決を受けていました。
その後マシューの死刑執行日が決まり、ヘレンは、マシューの求めに応じて、嘆願書を出すための手助けを始めます。
弁護士を探し、特赦審問会に出かけ、マシューの母に会い、それだけでなく被害者の遺族の話も聞きます。

嘆願は却下され執行日が近づく中、ヘレンはマシューの精神アドバイザーとなり執行の瞬間まで彼とともに過ごすことを決意するのですが・・・

まさに死刑制度について考えさせられる作品でした。そして、被害者遺族にも色々な感情があり、事件の受け止め方にも色々あるんだなと思いました。


「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」(2003年 米)


ニューヨークの女性記者ビッツーは、死刑執行を目前に控えた死刑囚デビッド・ゲイルの自伝を書くよう、テキサス州の刑務所に送り込まれます。

元大学教授デビッド・ゲイルは、同僚の女性をレイプして殺害した罪で死刑判決を受けていました。彼は社会的にも有名な死刑廃止論者だったので、特に世間を賑わせている事件なのです。
彼はある日学生からレイプの告発を受けて職を失っていました。
その後、妻からも離婚され最愛の子どもも取り上げられ、酒浸りの自暴自棄生活へ。
そして彼と共に死刑制度廃止を訴えていた仲間を強姦殺人したとして逮捕されます。

しかし、彼は記者との面会で無実を訴えます。
しかもビッツィーの元には!犯行を録画したビデオが何者からか送られてくるのです。ビデオは冤罪の可能性を示唆した内容であり・・・


テーマも展開もすごく重いですが、ミステリー要素たっぷりのエンタメ調の作品です。
こういう深刻なテーマを、スタイリッシュでポップな表現で作れるのはさすがアメリカって思いました。
日本もこういう感じのもっとあったらいいのになあ。日本の作品は軽いか重いしかないですからね💦


「黒い司法―0%からの奇跡―」(2020年 米)


冤罪の死刑囚たちのために奮闘する、黒人の弁護士ブライアン・スティーブンソンの実話を元にした映画です。
黒人への根強い差別が残る1980年代のアラバマ州が舞台。

ハーバード大学のロースクールを卒業したブライアン・スティーブンソンは、好待遇の法律事務所への就職を断り、南部アラバマ州で死刑囚の支援活動を始めます。

刑務所を訪れ死刑囚に面会して嘆願書を出したり、冤罪の可能性のある死刑囚には再審を求める支援をしていきます。
その活動の中で死刑囚ウォルター・マクミリアンを知ります。
彼はアフリカ系アメリカ人ですが、白人女性を殺したという理由で死刑判決を受けていました。
しかし、証拠もなく証人の証言も疑わしいものだったのです。黒人に対する偏見から犯人に仕立て上げられた可能性が濃厚でしたが・・・

アメリカは司法取引が活発であり、また陪審員制であるため、有能な弁護士を用意できない貧困層や偏見をもたれがちな黒人が重罪になりやすく、まさにそうした差別が浮き彫りになっている作品でした。(以前映画紹介した「ビルストリートの恋人たち」も冤罪をかけられていましたね。)
つまり死刑囚に黒人は多くなりやすい→黒人が多く殺されてるということです。

この弁護士が死刑囚と面会するときに、裸にされるまで身体検査されるシーンが最初にあり、ショッキングでした。


「炎の裁き」(2019年 米)


これはNetflixで今も配信されています。

テキサス州を舞台にした実話です。
トッド・ウィリンガムは自分の子ども3人を放火で殺害した罪で死刑判決を受けます。
トッドは自分の子どもを殺すはずがないと無罪を主張し、司法取引を断って裁判に臨みますが、十分な弁護を受けることができず、死刑判決を受けてしまいます。

7年後、ふとしたきっかけでトッドと文通を始めた脚本家のエリザベスは、彼と面会し、もう一度事件を調べてみます。
放火の専門家の話をきくなかで、彼女は、この事件は、そもそも犯罪なのではなく事故ではないかという疑いを抱くようになり、死刑を阻止するため奮闘するのですが……

この映画とても良い映画なのですが、最後が悲惨過ぎて号泣しました🥺実話だと思うと余計につらい……
皆さんにぜひ観てほしい作品です。

間違えると取り返しのつかないことになる。それが死刑制度であり、そんな制度を維持する必要って一体なんだろうって思います。


「12人の怒れる男」(1957年 米)


陪審員制度を扱った古典的名作です。

ニューヨークの貧困地区に育った18歳の少年が、父親殺しの容疑で裁判にかけられます。
有罪の評決がでれば電気椅子で処刑される運命です。
しかし、有罪判決を出すためには全員一致でなくてはなりません。12人の陪審員が有罪、無罪を評議する様子が描かれます。

映画の全編通じて陪審員室の場面しかでてきません。一人の人間の生死を決める息詰まる論争です。果たして正義は果たされるのか・・・


次々と冤罪が証明されたり、経済格差や差別により司法が公平でないことが認識され、そして死刑制度に対する信頼が揺らいできています。

ここで挙げた映画はどれも、死刑制度について色々な立場から考えられるようになっています。
当事者意識を持って死刑制度について考えていくことが大切なのかなと思います!


執筆者、ゆこりん、ハイサイ・オ・ジサン

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