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プーチンのウクライナ侵攻を見て想うコト ⑧民主主義 vs 権威主義


 このシリーズの最終回は今後の世界で大きな対立軸になるであろう、民主主義 vs 権威主義について書いてみます。

 ただ、私は選挙レポーターなので、その視点からの話になりますので御了承下さい。

 何故、最初にそんなお断りを入れたのか? それは、民主主義の対立軸として「権威主義」を置いているからです。
 今回のプーチンの愚行を基に語るならば「専制主義」「覇権主義」という言葉を用いる方が適切かもしれません。

専制主義 ⇒ 国家のすべての権力が特定の個人や少数者の手に集中され、その意思のままに自由に政治が行なわれるような体制

weblo辞書より引用

覇権主義 ⇒ 特定の国家あるいは政府(政治体制)が自国の影響力拡大のために、軍事的、経済的、政治的に強大な力にものをいわせて他国に介入し、他国の主権を侵害・支配すること

weblo辞書より引用

 まさに今のプーチンを表す言葉であり、今後ロシア以外でこういった権力者が暴れ出すのを危惧しているのが現状なのだから。 それでも何故「権威主義」という言葉を用いているのか? それは、

権威主義 ⇒ 権威を絶対的なものとして重視する考え方。権威をたてにとって思考・行動したり、権威に対して盲目的に服従したりする態度

weblo辞書より引用

 そう、私は選挙レポーターとして専制主義の権力者がとる振る舞い以上に、そんな権力者に対して自らで考えようとせず無条件で従ってしまう市民の態度を問題視しています。

 確かに今回のウクライナ侵攻のような、これまででは想定できなかった、起きるワケが無いと思っていたコトが現実に起きてしまった中ではパニックになってしまって早い結論強い言葉を求めがちになってしまう気持ちも分かります。 もしかしたら民主主義に対して一種のまどろっこしさ苛立ちの感情を抱いている方もいらっしゃるかもしれません。 でも(戦火の下にいる方々には大変失礼な表現になってしまいますが)現状日本は戦争地になっていません。 だから今こそ(今のうちに)冷静になって政治や主義主張の根幹を見つめ直すべきだと思うのです。

 津田大介氏のポリタスTVに倫理学者・思想史家の先崎彰容氏を迎えて対談した配信。 今や日本で有名なリベラリストの一人になった津田氏とBSフジの「プライムニュース」にレギュラー出演して大臣クラスの自民党政治家と意見を交わす保守思想の先崎氏が、決して対立するコトなく互いの主張を尊重しつつ持論を展開するこの対談は非常に見応えが有ります。 私が昨年見た配信の中でトップ3に入る素晴らしさなので是非とも見ていただきたいのですが、この中で先崎氏はこう語っています。

「民主主義って何なんだろうと言ったら、究極に言えば『遅さ』なんですよ。 議論をすること。 民主主義の最も健全で美しい姿というのは、時間の遅さなんですね。」

 先崎さんの仰る通り、民主主義というのは全てにおいて議論を重ねに重ねて結論を出す。 更に結論を多数決で導き出したとしても少数派の意見も尊重しなければならないという、ハッキリ言ってしまえば、とっっっっっってもめんどくさいシステムです。 だから有事の際には時間をかけずにスパーーン!と結論を出し提示してくれる権力者が魅力的に映るでしょうし、実際のところそっちの方が良い結果を生むかもしれません。

ただし、それは「正しい」権力者である場合です。

 ここでいう「正しい」とは「市民の方を見て、市民の生活を助けてくれて、市民のための政治をしてくれる」という点においてであり、国家感とか左右思想とかいったものは二の次、三の次の話。 私たち市民にとって大切なのは他でもない「ちゃんとした生活が出来るか」に尽きます。 国家感も国防も大切なのは重々承知していますが、それで今日の腹は膨れますか? 大きなテーマや強い言葉に惑わされて日々の生活が疎かになってしまえば、それこそ本末転倒です。 
 そしてもうひとつ忘れてはならないのは、民主主義は選挙や市民運動という手段などを用いることで、主導権を「こちら側(市民)」で握るコトが出来るのに対し、専制主義や覇権主義は主導権を「あちら側(権力者)」に握らせてしまうコトになってしまい、更にそれを無条件で受け入れてしまうのが権威主義だというコトになります。 果たしてそれで本当に良いのでしょうか?
 
 イロイロな思想が有るのは当然です。 人によってグラデーションが出るものであり、「右」「左」だなんて簡単に二極化できるものではありません。 紅白玉入れ合戦みたいに政治や思想に対してハッキリ二色に分けるコトなんて出来ないハズです。 だから私たちは日々考え続けなきゃいけないと思うのです。 何が正しいのか? そして、自分に間違いがないか? 他者の意見を聞いて建設的な意見は聞き入れ(Twitterの140文字で思想を語った気になってるような二極化思想の人の話は論外です。 聞くに値しません)、絶えず研鑽し続けて、その結論を一票に託していただきたい。 それが出来れば、プーチンのような、そして今回は触れませんが日本でも目立ってきた “声の大きな専制主義者” が選ばれるコトは無いでしょうし、そして私は選挙レポーターとしてそういった人が出て来た時に警鐘を鳴らす役割を担えればと思っています。


 以上でプーチンのウクライナ侵攻を見て想うコトの連載は終了となります。 本当は原発のコトや核兵器核共有のコト、そして中国のコトなど言いたいコトは山ほどありますがサスガにきりがないので一旦打ち止めとし、これらのコトはウクライナ侵攻が一定の解決を見た時にでも書こうと思っています。

 
 どうかどうか、その日が早く来ますように。
 一国も早く、戦争が終わりますように・・・







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