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漫画や小説の感想・解説・妄想

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好きな漫画や小説についての感想など。自他混合。
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記事一覧

「宝石の国」パパラチアあれこれ

「宝石の国」パパラチアあれこれ

(ほとんど妄想だと思って頂ければ……)

「宝石の国」の登場人物で、フォスは別格として、次にどの宝石が好きかっていうと、パパラチアなんですよ。もともと、私はああいった姉御肌っていうか、かっこいい男性的女性(女性じゃないけど)って全然好みじゃなくて、「ベルサイユのばら」のオスカルも「無理してる感」が漂って子どもの頃は苦手だったんです。まあ、実際、オスカルは無理してましたし

じゃあなんでパパラチアを

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改めて、やりたいことをしようと決意した #無人島のふたり

改めて、やりたいことをしようと決意した #無人島のふたり

山本文緒さんの「無人島のふたり 120日以上生きなくちゃ日記」を読んだ。

どんな話なのかは、帯を載せておいたので、そちらを見ていただければ、なんとなくわかると思う。

「ある日突然、膵臓がんだと診断され、夫とふたり無人島に流されてしまったかのような日々が始まった」

全くその通りの本だった。

流されたのが一人ではなく、頼れるパートナーと一緒だったことが幸いであったことだろう。

「がん」と一口

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「水たまりで息をする」感想

「水たまりで息をする」感想

先日来、高瀬隼子さんにハマり中である。

今回は「水たまりで息をする」を読んだ。

ちなみに、この作品が芥川賞候補になった時の、選評がこちらである。

選評を読み終わった瞬間「やった!」と小さくガッツポーズしてしまった。
誰も私のようには読んでいない、と思ったからだ。

もちろん、感想に正も誤もないのは、わかっている。
けれど、この作品で表現したかったことは、「型にはめないと定義が難しいものから、

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宝石の国とポーの一族

宝石の国とポーの一族

(「宝石の国」を未読の方は読まれない方がいいかと)

現在はだいぶテンションが落ち着いてきたのですが、少し前に私がめちゃくちゃはまった漫画が「宝石の国」(市川春子 講談社)でした。この漫画が話題になり始めた初期に一巻だけ買って、当時はキャラの見分けはつかないし、話はよくわからないし、少女戦隊モノ?って思ってすぐ読むのをやめたのですが、その数年後、アニメ化がきっかけで、一気にひきこまれることになりま

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宝石の国とスターレッド

宝石の国とスターレッド

(宝石の国を未読の方は読まない方がいいですよ)

「宝石の国」(市川春子 講談社)は現時点で105話まで連載が進んでます。巷の予想だと108話で完結らしいので、多分あと3話で終わるのでしょう

今は地上に残された生き物は、フォスと兄機と石たちという状況になってます。石は岩石生命体(!)ということで、宝石たちと違って手も足も口もありません。輝いてもいません。本当にただの石ころです。作者の市川春子さん

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「宝石の国」雑感

「宝石の国」雑感

今朝noteのビュー数を見たら、なぜかいきなり「宝石の国とスターレッド」の記事が2000を超えてたんですよ。最初は何かのバグかと思ったんですが、よくみると、スキの数もそれなりに増えてるんです
確か、前日までは、この記事の累積ビュー数は100くらいだったと思うのですが、どこかに貼られたのか?インフルエンサーが紹介してくれたのか?

夕方には4500を超えていて、「宝石の国とポーの一族」も週間ビュー数

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「宝石の国」完結によせて

「宝石の国」完結によせて

(ネタバレ全開です)

本当に巷の予想通り108話で完結しましたね

第九十九話「始まり」でフォスと石ころが語り合うシーンがあるのですが

という会話が唐突に始まるんです
あまりに脈絡がなさすぎて、これはフォスの未来の暗示、つまり、フォスは最終的に太陽と合体し白色矮星になって、宇宙の終りまで石たちに歌を聞かせることになるのだろうと私は考えました。だから最終回でそのシーンが描かれると推測していたので

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「宝石の国」に込められたメッセージとは何だろう?

「宝石の国」に込められたメッセージとは何だろう?

本作は、月刊アフタヌーン誌上で連載中の「宝石の国」に関する考察である。ネタバレを多く含むため、未読の方は「宝石の国」読了後に読むことをお勧めする。

市川春子が抱えるテーマ

不思議な生物と人間との共生を切なく描く天才、市川春子の初連載作品が「宝石の国」である。
雑誌連載時から話題になっていたが、2017年のアニメ放映以降に多くのファンを生み出し、その独自の世界観に対する考察も多数出ている。
謎の

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宝石の国 妄想解説「シンシャ編」

宝石の国 妄想解説「シンシャ編」

フォスの行動原理は、連載初期からずっと「役に立ちたい」でした。
役に立つことで、みんなに認められたかった。
能力もないのに戦争に出たいのも(「大好きな先生を助けたいから」も本心でしょうけれど)アクションが派手で、役に立っているのが誰にでもわかるから。

一方シンシャは高い能力を持ちながら、同室のベニトからも

「あいつの毒は呼吸と同じだし、あいつが迷惑かけないようにしてるのもわかってる。でも正直に

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宝石の国 妄想解説「三族の取り込み」とは?

宝石の国 妄想解説「三族の取り込み」とは?

三族を取り込むとは具体的に何をすることなのか?私が連載中から最も気になっていたのは、エクメアによるフォスの人間化計画の最重要項目であろう「三族の取り込み」です。
人間から分かれた三つの種族を再び一つにし、人間的なふるまいができるように仕組んだ、という意味であることはわかります。

けれども、具体的に何をしたら「三族を取り込めたことになるのか」についての説明がなく、よくわかりませんでした。

ここで

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連載終了から、3回くらい読み返して、やっと「ある」と2人が声を揃えて言った内容がなんだったのかわかった。

相変わらず理解が遅いーー!!

映画「フライ、ダディ、フライ」ビジュアルブックを見て浸る年の瀬

映画「フライ、ダディ、フライ」ビジュアルブックを見て浸る年の瀬

私は好きになるとしつこい。
同じアーティストの同じ曲を延々聞いているし、同じアニメをワンシーズン分12回、何周も何周も見ている。
小説も繰り返し読んでは、同じところで泣いているし、どれだけしゃぶりつくせば気が済むのかと、自分でも思う。

「フライ、ダディ、フライ」は、そんな私が、人生で40回は軽く見ている映画だ。
何度見ても、やっぱりいいなあ、好きだなあ、と思う。
公開は、2005年7月9日。

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「おいしいごはんが食べられますように」ネタバレ豊富な偏見てんこ盛り解説

「おいしいごはんが食べられますように」ネタバレ豊富な偏見てんこ盛り解説

「おいしいごはんが食べられますように」(高瀬 隼子 著)を読んで、最初に思ったのは「どうしてわかるの?」だった。

太宰治の小説を読んだ人は、ほぼ全員が「これは私の話だ」と思うのだ、と何かで読んだが、そういう類の「どうしてわかるの?」に近い。
私は、二谷さんであり、芦川さんであった。

Amazonの作品解説には、こう書いてある。

確かに、主題は人間関係のようにも読める。
けれど、私はこの本を「

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『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』感想

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』感想

以前から気になっていた、この本を読み終えた。

栗城さんの存命中、わたしは彼の存在を全く知らなかった。
「ニートの登山家」と持ち上げられて、ネットで英雄視されたことも、エベレストアタックに何度も失敗して「下山家」と揶揄されていた頃のことも、目にも耳にも入っていなかった。
彼の人生についてはこの本で、初めて知ったことばかりだ。
しかも、私は登山というキツいスポーツにまるで興味がなく、雪もなく酸素も濃

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