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『一度きりの大泉の話』(大泉本)に衝撃を受けて、それ以来萩尾望都批判をやっていますので…

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『一度きりの大泉の話』(大泉本)に衝撃を受けて、それ以来萩尾望都批判をやっていますので、『一度きりの大泉の話』をお読みになってない方はピンとこない記事もあるかと思います

最近の記事

『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その5(完)

まだまだ「5 『悲しみの天使(寄宿舎)』」の話が続きます これも以前書きましたが、「思い出を切りぬくとき」では200ページぐらいという話だったのに、100枚増えてるんですよ。萩尾さんにしてみれば、可能な限り枚数を多くして伝えたかったという事情があるのでしょう。 実際の出来上がった「トーマの心臓」は450ページほどなので、三分の二は既にストーリーが完成されていたとでも言いたいのでしょうか? ただ、私個人は、実は萩尾さんは、元々書こうと思っていた「トーマの心臓」から途中で話を

    • 『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その4

      「4 増山さんと『少年愛』」に入ります この章では萩尾さんがいかに「少年愛」に興味がないかが延々と書かれています。それでも増山さんのために「雪の子」を描いたそうですが、その下書きを見た増山さんは「違う!」と叫んでベッドに倒れ込んでしまったとのこと 実は私自身も、どちらかというと、男の子より女の子のほうが可愛いと思う人間なのですが、それでもこれはないですよ。 私だって男の子も小学生くらいまでは、十分「可愛い」って思います。男女以前に、子どもは可愛いですから。 もちろん、誰が

      • 『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その3

        次は「3 竹宮惠子先生のこと」に飛びます。 こういう描写をちらちら入れてくるんですよ。全体としては竹宮さんのことを褒めているので、萩尾さん自身は、さも悪気なく書いているように読めるのですが、その真意は明らかです。 批判したいなら堂々と批判すればいいのに…… ただ、私自身は、まだ20歳程度なのに、自分で自分のことをナルシストと言ってしまえる竹宮さんはすごいと思いましたね。さすが「俯瞰で物事をみる」と言われるだけのことはあります それに、ナルシストというか「自己愛」という点

        • 『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その2

          ふたたび、前書きからの引用です ここで「竹宮先生の作品も読んでおりません。」と書かれていますが、同じ内容が「13 引っ越し当日 1973年5月末頃」にも書かれていて、そこでは と書かれています。本音を言ってしまうと、私は萩尾さんが竹宮さんの作品を読んでいないという点について、かなりの疑いを持っています。というのは、まったく読んでないとすると、竹宮さんに執着する上で少々やりにくくなってしまうし、竹宮さんに関する好奇心を萩尾さんが抑制できたとはちょっと思えないんです それは

        『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その5(完)

          『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その1

          「青のパンドラ」連載再開がいつになるか見当もつかない状況なので、やろうかどうしようか迷っていたことを試してみようかな~と それは、改めて「一度きりの大泉の話」(以下:大泉本)を読み直して、気になった点を拾い上げることです。 私が萩尾望都批判を始めたのは、大泉本がきっかけなのですが、今まで大泉本そのものに対してきっちり向き合って批判してきたことってほとんどなかったし、あれから三年以上経って、当時とは捉え方が変わってきた点もいくつかあるので…… 今まで書いてきたことと重複する

          『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その1

          今までのふりかえり その2

          先月の8月26日に10万ビュー達成したので、その記念に…… (noteのビュー数ってあまりアテにならないようですが……) 記念にスクショしたものです。 上位は、萩尾さんにあまり関係ないものばかりですね。実際、「青のパンドラ」関連はほとんど読まれてません こちらは、さっきスクショしたものです。 この中の「残酷な神が支配する」ですが、現在は、4,416ビューということで2,000ビューも増えてるんですよ。これはどうやら、最近、期間限定無料ということで3巻まで無料で読めたことが

          今までのふりかえり その2

          新「ポーの一族」と人間の愛その6

          (ネタバレしてます) 月刊「flowers」10月号に「青のパンドラ」の続きが載ったのですが、今回も扉絵+12ページという少なさでした 内容は、人間になったアランが今後どうするか?というもので、なんと現在のアランの年齢は13歳ということが発覚しました ずっとエドガーもアランも14歳だと思っていたのに、実はアランは13歳だったんですね。ということは、アランのいた学校に転入した際、エドガーは一つ下の学年に潜り込んだってことですかね。イギリスは9月から学校が始まるので、11月

          新「ポーの一族」と人間の愛その6

          「Die Energie 5.2☆11.8」「X-Day」「踊りたいのに」(三原順)のルドルフとレベッカ

          (ネタバレ全開です) 三原順作品の中でもかなりマイナーな部類の作品群を取り上げます 三原作品ではダドリー(DD)という名前の男キャラが二人出てきて、この二人は顔もそっくりですが、一応別人ということになっていて、そのへんの事情は「ムーン・ライティング」2巻のあとがきに書かれています スマホだと読みにくいでしょうから、内容をタイプしておきます そういうわけで、今回、話題にしたいのはトマスでなくルドルフのいる世界線の話です ルドルフというキャラは、読んだ当初から、とても私の

          「Die Energie 5.2☆11.8」「X-Day」「踊りたいのに」(三原順)のルドルフとレベッカ

          「花に染む」(くらもちふさこ)

          (「花に染む」のネタバレ全開です) 「花に染む」は一言でいうと「異常なマンガ」です。 というのも、これは「読解パズル」とでも言うべき構造になってるんです どういうことかというと、まず、マンガ内に散らばっているいろんな描写から、一定の法則を導き出し、そして次にはその法則を曖昧な部分に当てはめて、登場人物の心情を読みとるんです。そうやって初めて、登場人物が何を考えてなぜそのような行動をしたのか理解できるというマンガとなっているのです これ、多分、小説などの文字だけの媒体では

          「花に染む」(くらもちふさこ)

          くらもちふさこファンであること

          大泉スレでは語りませんでしたが、私はくらもちふさこさんの長年のファンです。大泉スレでは萩尾望都批判という立場を明確にしているので、あまり、誰々のファンだということは語りたくなかったんですよね、いろいろとめんどくさいことになる危険性があるので それでも三原順さんの場合は、「イグアナの娘」の件があったし、佐藤史生さんの場合は、大泉サロンの主要メンバーなので、自分がファンという立場をアピールする必要があったのですが、なぜか私がファンであると告白しても、初期の頃は「嘘つくな」と何度

          くらもちふさこファンであること

          「宝石の国」パパラチアあれこれ

          (ほとんど妄想だと思って頂ければ……) 「宝石の国」の登場人物で、フォスは別格として、次にどの宝石が好きかっていうと、パパラチアなんですよ。もともと、私はああいった姉御肌っていうか、かっこいい男性的女性(女性じゃないけど)って全然好みじゃなくて、「ベルサイユのばら」のオスカルも「無理してる感」が漂って子どもの頃は苦手だったんです。まあ、実際、オスカルは無理してましたし じゃあなんでパパラチアをそこまで気に入ったのかというと、一言で言うと、性格の複雑さでしょうか。 多数のキ

          「宝石の国」パパラチアあれこれ

          新「ポーの一族」の「秘密の花園」

          (「秘密の花園」のネタバレ全開です) 単行本二巻ありますが、一言で言うと、アーサー・クエントン卿の話です。エドガーとアランがレスターに馬車で向かう途中で事故を起こし、二人はアーサーの家で保護されることになります。もちろん、事故を起こしたのはエドガーでなくてアランです。なお、物語のほとんどでアランは眠ってます 【時代】 ①1888年(物語のほとんどはこの頃の話です) ②2000年(最後に少しだけ、クエントン卿の館のバラのアーチの話) 【登場人物】 ①1888年 アーサー・

          新「ポーの一族」の「秘密の花園」

          新「ポーの一族」の「ユニコーン」

          (「ユニコーン」のネタバレ全開です) 次は「ユニコーン」。これも「春の夢」同様に、単行本一冊です。 「ユニコーン」はバリーを中心に描かれていて、その点ではすっきりしているとも言えますが、時代があちこちに飛んでいてわかりにくいんですよ 【時代】 ①2016年(ポーの一族新シリーズが開始された記念すべき年。ミュンヘンのカフェでエドガー達が会合、アランは炭になってる) ②1958年(ベネチアでサルヴァトーレ・ルチオが開くコンサートが舞台) ③1975年(ロンドンの公園、クロエと

          新「ポーの一族」の「ユニコーン」

          新「ポーの一族」の「春の夢」

          (「春の夢」のネタバレ全開です) もう、ほんと、色々忘れちゃってるということで、記憶定着のために、新ポーのシリーズを簡単にまとめてみようという試みの第一弾です。 まずは登場人物から。エドガーとアランと大老ポー以外で 【登場人物】太字は重要人物と思われる人 (ブランカ周辺の人々) ブランカ  「春の夢」の主人公?ドイツから弟と二人で逃げてきて、母の姉の夫であるダン・オットマー氏の家に住んでいる。16歳なのでエドガーより2歳年上。最初はエドガーに恋してたようですが、私は、この

          新「ポーの一族」の「春の夢」

          新「ポーの一族」と人間の愛その5

          (ポーの一族「青のパンドラ」のネタバレしてます) ようやく、ポーの一族「青のパンドラ」の続きが「月刊フラワーズ」8月号に掲載されました! 1月号以来なので、7カ月ぶりということになるのですが…… なぜかたったの15ページ(扉絵+14ページ)しか描かれてません。 しかも、次は2か月後の10月号掲載予定となってます。 10月号には萩尾さんと清水玲子さんとの対談も載るらしいので、体調不良というわけでもなさそうです。 萩尾さん、やる気なくしちゃったんでしょうか? 5ちゃんねるの萩尾

          新「ポーの一族」と人間の愛その5

          『総特集 佐藤史生』

          6月3日に発売された「総特集 佐藤史生」(河出書房新社)ですが、早速購入しました。気になる点を…… (1)萩尾さんの特別寄稿8ページのマンガ まずは、萩尾さんのマンガです。 萩尾さんが佐藤さんと出会ったのが、大泉の例の長屋だから、大泉サロンのことを書くのはしかたないとはいえ(もちろん「大泉サロン」なんて言葉は一切使われてません)、竹宮先生のことは名前も顔も出さずに、コマの片隅に「T先生とシェアハウス」とだけ、他のマンガ家は、池田いくみさん、坂田靖子さん、花郁悠紀子さん、城

          『総特集 佐藤史生』