『一度きりの大泉の話』を改めて読み直してみる~その3
次は「3 竹宮惠子先生のこと」に飛びます。
こういう描写をちらちら入れてくるんですよ。全体としては竹宮さんのことを褒めているので、萩尾さん自身は、さも悪気なく書いているように読めるのですが、その真意は明らかです。
批判したいなら堂々と批判すればいいのに……
ただ、私自身は、まだ20歳程度なのに、自分で自分のことをナルシストと言ってしまえる竹宮さんはすごいと思いましたね。さすが「俯瞰で物事をみる」と言われるだけのことはあります
それに、ナルシストというか「自己愛」という点でみると、萩尾さんは竹宮さんの比ではないでしょう。萩尾さんは自己愛の塊と言っていいというか、「自己愛」以外にこの人になにがあるんだろう?とすら思ってしまいます。
この点はポーの連載が終わったら書こうと思っているので、ここではこれ以上は語りませんが
次に「私は何をやっても人に負けたことはないの」という竹宮さんの発言ですが、萩尾さんは「競争」というものが嫌いだということを過去にあちこちで語っていて、この竹宮さんの台詞も批判を込めて引用されたことは明白でしょう
次の「4 増山さんと『少年愛』」の章でも、自分がいかに競争が嫌いかを語っています
でも、萩尾さんは一方で、自分のIQが高かったことを「ストロベリーフィールズ」(新書館)で自慢してるんですよ。全校で一番だったか二番だったか忘れましたが。IQはほぼ生まれつきのものなので「競争」する余地がないからセーフだという理屈なんでしょうか?
順位がつくのは構わないけど、そこに「競争」が生じることが耐えられないってことなんでしょうか?
「マンガ大賞」などのマンガに関する賞の受賞は、「競争」には含まれないのでしょうか?
(ちなみに、IQの件は「イグアナの娘」の主人公リカがやはりIQが全校一ということで、自分の経験を入れてきたようです。)
そういえば、森博嗣氏との対談でそんなことを語っていたな、と思い出して読み返してみたらありました
相変わらず、何を言っているのかよくわからないのですが「幸福」や「不幸」がなぜ関係するのでしょう?
結局、森氏は「多軸であるべき」って言ってるだけで、順位をつけることそのものを否定してはいないんだけど、なぜか萩尾さんが同意しちゃってるのも不思議ですが、最後の「負けず嫌いですよね。」という森氏の発言に私も笑ってしまいました。これ、本当は萩尾さんが一番言われたくない指摘なのでは?
それはともかく、萩尾さんが勝ち負けが嫌いだとあちこちで公言しているのは、竹宮さんが勝ち負けにこだわっていると信じているという部分が大きいのでしょう。
私などは負けず嫌いの何が悪いのか?と思ってしまいますし、そもそも竹宮さんは本当に勝ち負けにこだわっているのか?すら疑問なのですが、萩尾さんの脳内では50年ずっとそのままなんでしょうね
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