見出し画像

【画家・絵本作家の声】まるやまあやこさんインタビュー~「森にあつまれ“鳥の絵本”原画展」によせて

こんにちは、森のおうちの米山です。

先日、「【画家・絵本作家の声】鈴木まもるさんインタビュー~「森にあつまれ“鳥の絵本”原画展」によせて
で、ご紹介しました開催中の企画展「森にあつまれ“鳥の絵本”原画展」もあとわずかとなって参りました。
7月3日(月)までになりますので、ぜひ足をお運びください!

ということで、今回は、同企画展で原画を展示している絵本
『ことりのデパート』(苅田澄子/文、まるやまあやこ/絵、世界文化社刊)についてご紹介いたします。

まるやまさんからお借りしているイメージの麦わら帽子/絵本『ことりのデパート』/まるやまさんが、来館の子どもたちのために作ってくれた「ぬりえ」

まるやまあやこさんについて

まるやまあやこさんにつきましては、以前の企画展の時にもご紹介させていただきました。子どものちょっとしたしぐさや表情などを描きとることがみごとな絵本作家さんです。

まるやまあやこ●プロフィール
1982年安曇野に生まれ、自然に囲まれて育つ。9歳から油絵を習いはじめる。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2006年、卒業制作の『たんぽぽのふね』で第7回ピンポイント絵本コンペ入賞、第13回新風舎えほん大賞の大賞受賞。主な絵本は『まよなかのトイレ』(「こどものとも年中向き」福音館書店)、『わたしのくつ』(ポプラ社)、『おかしのくにのバレリーナ』(教育画劇)、『おはなみ』(あかね書房)、『ゆきのひのいえで』(学研)、『かすみのどんぐり』(「こどものとも」福音館書店)、『ことりのデパート』(世界文化社)など多数。2023年3月に『たんぽぽのふね』新装版刊行(世界文化社)。現在は長野県安曇野市に在住。
公式ウェブサイトhttps://maruyama-ayako.com/

前回2023年冬の展示にて、当館のnoteに寄せてくださった時の投稿も、ぜひ、ご覧ください⇓。より、今回の展示も深くご覧いただけると思います。
【画家・絵本作家の声】まるやまあやこさんインタビュー~森からはじまる『たんぽぽのふね』絵本原画展によせて

絵本『ことりのデパート』について

この絵本が初めて発刊されたのは、2021年、世界文化社さんの月間絵本「おはなしワンダー」8月号としてでした。

左/月間絵本版、右/ハードカバー版

ストーリーは、風に飛ばされたむぎわら帽子を探しにいった主人公の女の子まいちゃんが、ことりのデパートに迷い込むというファンタジー。
1階はウグイスのおしゃれフロア、2階はヤマガラのおめかしフロア、3階はフクロウの本屋さん……。
さて、まいちゃんはむぎわら帽子を見つけることができたのでしょうか?

ファンタジーですが、描かれている小鳥たちにはリアル感があります。
そして、おしゃれフロアでは、メジロが白いアイシャドウでお化粧していたり、本屋さんのシーンでは、ツバメが『幸福な王子』を読んで泣いていたり……と、小鳥たちそれぞれの個性を活かした描写が楽しめます。

月刊絵本でのスタートでしたが、翌年2022年4月、ハードカバーとなって書店に並びはじめました。
ハードカバーになったことで、より多くの方に手にとって楽しんでいただけるようになり、うれしいことです!

原画展によせてのメッセージ

今回のインタビューでは、絵本原画の展示にあたって、まるやまさんに『ことりのデパート』の創作や原画展について伺いました。
まるやまさんが、時間の流れも感じるお話をしてくださっているので、今回は、まとめています。

(以下、文/まるやまあやこ)

 この作品を制作していた時期は、コロナ禍で世の中が不安に包まれていました。自由に移動もできず、編集者さんとの打ち合わせも全てリモートでした。そんな中、私が孤独や退屈を感じることなく過ごすことができたのは、苅田先生のお話が私の想像の翼を広げてくださったからです。
 編集者さんからのご依頼で苅田先生のお話に絵を描かせていただくことになったのは、2020年春頃でした。私の『とげがささったあやかちゃん』を苅田先生が憶えてくださっていて、とても嬉しかったです。
『ことりのデパート』は、苅田先生が「まるやまさんの描く小鳥の絵を見てみたい!」と、作ってくださったお話だとお聞きしました。原稿を読ませていただいて、すぐに「このお話の絵が描きたい!」と胸がワクワクしました。

 安曇野には、少し足を伸ばせば森や川があります。ものづくりをする上でモチーフが身近にあることは、本当に有り難いです。
 『ことりのデパート』に登場する大きな木は、近所にあった木をモデルにしました。『ことりのデパート』のことを考えながら散歩していたとき、私の目にぽん!と飛び込んできた木。がっしりとした太い幹と枝。うろがあり、宿り木もついていて、まさに絵本のイメージにピッタリな素敵な木でした。
 でも、とても残念なことに、昨年、その木は切られてしまいました。木が居た場所はなにも無くなっていて、ただ青い空だけが見えました。もしかしたら、あのとき、自分の行く末を悟った木が私に「描いていいよ」とメッセージを残してくれたのかもしれません。

 木の次に、小鳥はどうしよう…。私はあまり鳥に詳しくなかったので、どうやって描けばよいか悩んでいたとき、一番に思い浮かんだのが、以前に私の原画展もしてくださった安曇野の雑貨屋さん・acornさんのインスタグラムの投稿でした。acornさんは、お店の裏庭に遊びにくる小鳥たちの姿をたくさん撮られていて、写真の小鳥たちはとても生き生きと人間の様におしゃべりしているようにも見え、絵本のイメージにピッタリと思ったのです。「絵本制作のために写真を貸していただけませんか」とお願いをすると、快く可愛らしい小鳥たちの写真をたくさん貸してくださいました。

 安曇野の自然の中で、木や小鳥のスケッチをたくさんしていると、いつのまにか私自身がまいちゃんになり、ハトの背中に乗って空を飛び、『ことりのデパート』の木に登ってお買い物をして楽しんでいました。
 安曇野に暮らし絵本作りに携われて、こんなに幸せなことはないと改めて思えた作品です。
 御覧くださった皆様にも楽しい気持ちになっていただけたら幸いです。
 本当にありがとうございました。 

まるやま あやこ

展示室では、絵本ができあがるまでの、スケッチや下絵、構成表などの資料もご覧いただけます。

スケッチや構成表を入れたファイル
表紙ダミー

参考にした鳥たちの写真

コラボレーション作品

前回のまるやまあやこさんインタビューの投稿でもご紹介した通り、まるやまさんのご主人様は、 アクセサリー作りをされている方です。

前回の展示がはじまってから、当館ショップでもおいている、当館ショップでも自然から着想された手作りアクセサリーに、『ことりのデパート』にあわせた作品が加わりました!

「シルバーアクセサリー工房アトリエアルシュ」

絵本と共に手に入れることができたら、テンションのあがるすてきな1品です。

その他に、まるやまさんの作品のポスター、ポストカードもショップにおいております。
どうぞ、こちらもご注目ください。

種類が少なくなってきてしまいました……、また入荷する予定です


「森にあつまれ“鳥の絵本”原画展」情報

森よ!VOl.2●2023年4月14日(金)~7月3日(月)
森にあつまれ「鳥の絵本」原画展
<展示作品>
『ツバメのたび』 鈴木まもる/作・絵(偕成社)
『鳥の巣ものがたり』 鈴木まもる/作・絵(偕成社)
『よだかの星』 宮沢賢治/作、伊勢英子/絵 (講談社)
『ことりのデパート』苅田澄子/文、まるやまあやこ/絵(世界文化社)
 以上、原画全点
タブロー「よだかの星」 伊勢英子/絵
鈴木まもるタブロー作品
鳥の巣(実物)

絵本美術館&コテージ 森のおうち
開館時間●9:30~17:00※12月~2月16:30閉館(最終入館は閉館30分前まで)
休館日●木曜日※2月のみ水・木曜日(祝日振り替え、変更日あり・当館HPカレンダー参照)
入館料●大人800円 小・中学生500円 3歳以上250円 3歳未満無料
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明2215-9
TEL0263-83-5670
FAX0263-83-5885


最後までお読みいただきありがとうございます。 当館“絵本美術館 森のおうち”は、「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで開館をしております。 これからも、どうぞよろしくおねがいいたします。