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【ルーツ旅🌺高知編・初訪問③】龍の形のダムに沈んだ村の伝説

【前回のお話】 
高知での研修2日目。私は業者と一緒に、ある町の会議に出席することになりました。連れて行かれたのは、切腹した戦国大名・筒井定次の末裔たちが住んでいるというZ村の隣町です。業者のはからいで、私は急きょZ村を訪ねることになりました。

▼龍の形をしたダム

車窓からみえるのは、山々の緑と、ダム湖の水面ばかり。実はZ村は、今から50年ぐらい前、ダムの建設にともない大部分が水没してしまった村なのです。

ダムカードの写真を載せられないのが残念ですが、このダム湖は龍のような形をしています。左が尾、右が頭で、まるで口から水を吐き出しているみたい。目の部分には小島があり、龍神がまつられているとのこと。なんとも神秘的です。

▼村に残る2つの伝説

ネットで調べたところ、このZ村には2つの伝説がありました。

1つは、平家の落ち武者伝説。1185年の壇ノ浦の合戦で源氏に敗れた平氏が山の中に落ちのびたという、日本各地に存在するあの伝説です。落人たちは、けわしい四国山脈を越えて、Z村の近くの山中に身を隠したといいます。

もう1つは、それから400年ほどたった戦国時代のこと。下剋上のこの時代に、権力闘争や中央の戦乱から落ち延びてきた多くの人々が、Z村にたどり着きました。大きくわけると5つの氏族があり、その1つが筒井を名乗る一族でした。

村の伝承によると、徳川家康に切腹させられた伊賀上野の戦国大名・筒井定次が、実はひそかに難を逃れて名前を変え、一族郎党を率いて山から下りてきたといいます。

もちろん、筒井定次が息子とともに切腹したのは史実なので、そんなわけがありません。でも、お家取りつぶしになった大名の一族郎党が、名前を変えて地方に落ちのびるというのは、大いにありそうな話です。

そして、Z村にはその証しとして、織田信長から筒井順慶(筒井定次の養親)にあてた書状をもつ人が住んでいるとのことでした。

▼ついにZ村に到着したが……

30分後、車はZ村の役場に着きました。とりあえず駐車場に車を停め、さっきZ村の女性に教えてもらった食堂を目指します。

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役場の前で記念撮影📷⚡

食堂は、村役場のすぐ近くにありました。旅館も兼ねているようです。

「いらっしゃいませー」

ドアを開けると、80歳代とおぼしき女性が、穏やかな笑顔で迎えてくれました。この人が、あの女性が教えてくれたおかみさんでしょうか。

テーブルについてメニューをみると、今日はカレーの日で、注文できるのは1種類のカレーのみ。きっと、こういう人が少ないところではメニューを絞ったほうが食材を無駄にせず、効率的なのでしょう。

某さんがカレー2人分の注文をしたところで、私はおかみさんに「実は……」と、ルーツ探しをしていることを伝え、この村の伝説について何か知らないか尋ねました。

おかみさんは、少し困った顔をして、首を横に振りました。

「まあ、筒井の歴史のこと? うちの主人がよく話していたけど、だいぶ前に亡くなってしまって。申し訳ないけど、私はここに嫁いできただけだから、何も知らないのよ
でも、このあたりに筒井さんが何人か住んでいるから、聞いてみたらどうかしら」

そうなんだ。

私は、てっきりおかみさんに聞けば全部わかると思っていたのでガッカリしてしまい、運ばれてきたカレーを目の前にしても、食欲が湧きませんでした。とはいえ、いきなり見知らぬ家のチャイムを鳴らす勇気は私にはありません。

せっかく来たのに、どうしよう……。

でも、次の目的地に出発するまで、あと30分しかありません。この機会を逃したら、もう二度とここに来る機会はないかもしれない。私は焦りました。
これはもう、のんきに昼食を食べている場合じゃない!!

私は立ち上がりました。

すみません、私ちょっと、近所の人に話を聞いてきます!

その勢いに、某さんはびっくり。

えっ、えっ? カレーはどうするの? 食べないの?
 ……僕、食べちゃっていい?

はい!!

私は、某さんを置いたまま、食堂のドアを開けて外に飛び出しました。

(続く)

=͟͟͞͞🌸=͟͟͞͞🌸=͟͟͞͞🌸=͟͟͞͞   皆様へのお願い =͟͟͞͞🌸=͟͟͞͞🌸=͟͟͞͞🌸
高知県の「Z村」がどこだかピンと来ても、コメント欄に実名を書くのはお控え下さいね🙇💓
小さな村で、特定して何かご迷惑をかけると申し訳ないので。 
よろしくお願いします☺️🙏💕
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★今回の見出し画像は、私がその時に撮ったダム湖の写真です。

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