見出し画像

#153 これは良くない マルサリス『スタンダード・タイム vol.2』

先日初めて聞いて、絶賛した #ウィントン・マルサリス

上記記事にも書いてますが、集中的に聞いているので(そういう魅力が確かにある)、基本的には、好きな盤しかか書かないスタンスですが、せっかくなので、書いてみようと思います。

結論から申しますと、この『スタンダード・タイム vol.2』はよくないです。『vol.1』で感じられた違和感の部分、すなわち、サイドンマンの生気のなさが、リズムの生硬さが、とても強調されていて、

ジャズ的な熱気に極めて乏しいです。ベースが小さいというジャズ的でないミックスバランスも健在です。

これを聞いて『vol.1』の特徴がよりしっかりと見えてきます。

ウィントンは、大まかなアレンジはもちろんですが、きっと細部まで(ピアノやベース入り)事細かに指示しているのだと思います。特に、ベースには絶対にもたれるな、自由に弾くな、余計な音は伸ばすな、などなど。

このあたりの丁寧さが、従来のジャズとは全く違った人工的な雰囲気を作り上げていたのだと思います。

音楽的な価値観としてはクラシックに近いと思います。

そのせいもあり、ウィントン・バンドにはジャズ的な「グルーヴ」というものが全く感じられない。それが『vol.1』では、ちみちなアレンジも相まって「クール」に感じられたのですが、『vol.2』では「生気のなさ」「タルさ」につながっているのです。

『vol.1』では、ウィントンは「こういうことをやって、新しいジャズを作ってゆきたいんだ」という意気込みに、サイドマンが「じゃあいっちょ頑張るか」とついてきていた印象ですが、『vol.2』では、「今回はリラックスしていこうよ」といったのかもしれません。

でも、バンドをウィントンが完璧にコントロールしてゆくのは変わらない。サイドマンは「何がリラックスだよ、俺らは全く変わらないよ」とほとほとあきれていたのではないでしょうか。

アレンジを決め込み、結局、一番リラックスして気持よくなっているのはウィントン本人だけという。

言葉は悪いのですが、質のいい #マスターベーション を見せられているといっても過言ではないでしょう。

やっぱりジャズ(というか、音楽、芸術)は #セックス の具現であってほしいと思います。

この録音も相当前のものですから、今は少しずつ皮がむけているかもしれません。楽しみです。

しかし、こういう欠点があるミュージシャンというのも、本当に珍しいですな。

#日記 #コラム #スキしてみて #音楽 #音楽レビュー #ジャズ #jazz #名盤 #名盤紹介 #毎日更新 #毎日note #note毎日更新 #毎日投稿 #買ってよかったもの #音楽好きな人と繋がりたい #音楽好き


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?