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#152 名盤じゃん!! ウィントン・マルサリス『スタンダード・タイム vol.1』

食わず嫌いしていた、 #ウィントン・マルサリス

僕がジャズを聴き始めた1990年代ころは、ジャズ・ジャーナリズムは賛否両論で、「否」の意見の方が印象に残ってますね。結構うまく批判をしていましたし、 #後藤雅洋 さんの「メタ・ジャズ」というフレーズは、真実はどうであれ、ウィントンの音楽を僕の中で定義づけるのに十分でしたね。

それよりずっと後に読んだ #村上春樹 の批評は、ウィントンの音楽を批判しつつも、期待を常に寄せているという点で、とても面白いものでした。

けれど「今すぐ聞こう!」と奮い立つようなものではなく、またまたずるずるとウィントンに触れない日々が続きました。

僕が、ウィントンの音楽を聞いてみようと思ったのが、メルカリで安く大量出品されているのを見たからです。「これくらいの値段なら聞いてみようかなぁ」と思いました。

有名な『スタンダード・タイム vol.1』から聞きましたね。

すぐに、今まで聞いてこなかったことを反省しました。

このアルバムだけで、ものすごい量の文章が書けると思いますが、どうしよう。

僕がずるずるはまり込んでいってしまうアーティストの特徴として「ん?この人は、本当のところは、何を考えているんだ? この人の思考の一端でも知りたい」というのを感じさせてくれるところです。そうすると、次々とアルバムに手が伸びてゆくことになります。

僕にとって、 #大滝詠一 というのはそういう大きさを持ったアーティストではあるのですが、ウィントンもそういう「謎」や「大きさ」を感じさせるアーティストと感じました。もう、その時点で、僕はもう、やられてしまったかもしれません。

長くなりますので、一つだけこのアルバムのすごいところを書くと、もう、ウィントンのトランペット技術のとてつもない高さが、やっぱり一番聞きほれてしまいます。

この人の音色操作、強弱、ヴィブラート、それらを使用した、聞き手へのエモーションの伝え方の制御、すべてにおいて完璧です。

音がときどきかすれたりしますが、これは完全にコントロールされた「かすれ」であって、その音色で聞き手が、どういったエモーションが沸き立つかということまで理解して使用しています。

単なるロングトーンでも絶妙な音の揺れと音色の変化で、聞き飽きさせません。こんな演奏ができるトランぺッターはどこを探してもいなかったはずです。

一見、 #マイルス・デイヴィス のバラード演奏に近い肌触りを感じますが、全く質の異なるものです。マイルスは「空白に語らせる」のに対し、ウィンとは逆に「多弁」なのです。でも、とても全体的には抑制的に感じます。それは、本当に必要な言葉を必要な分量で伝えているからでしょう。とても音楽的なセンスを感じます。

マイルスも都会的な演奏と形容されますが、ウィントンはさらに上をゆく、というより、現在の都会的なイメージに合っているような気がします。複雑にねじれた都会の雰囲気でしょうか。ウィントン自身の見た目が少しあれなので、そういったイメージは培われにくいのでしょうが。これは、本当にかっこいいですよ。

楽器演奏での「表現」がまず耳につくという点で、やっぱり、今までのジャズの演奏とは肌触りが少し違うと感じたのかもしれません。そういう意味で、先述の「メタ・ジャズ」なんて言葉も思いついたのかもしれません。

ただ、サイドマンの生気のなさは少し気になります。おそらくウィントンの指示でしょうが、ベースの音の小ささと、異様なまでの的確さは、ジャズらしくない人工性を作り上げており、この演奏をさらに特徴的なものにしています。

そして、結局は、ウィントンのワンマン・バンドなんだなぁと感じます。でも、それだけで、この長いアルバムを1枚成立させてしまっているのだからすごいと思います。そして、僕もウィントンだけを聞ければそれでいいとと思うようになってきました。それくらい彼の演奏に圧倒されました。

まとまりませんが、とにかくそういうことです。

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