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記事一覧
Liar kiss*永遠の片想い*(最終話)
第十四話はこちら。
15.嘘と真実と永遠の片想い
「なーんだ。せっかく久しぶりに美紀にカッコイイところ見せようと、張り切るつもりだったのに」
「……本当にごめんね、今度こそは絶対に行くから!」
少し拗ね気味の蓮佑さんの機嫌を取るように頬に口づければ、ブスッと膨れていた蓮佑さんの頬から、空気が抜けて笑顔になる。
「まぁ、相手が皆実ちゃんならしょうがないよな」
「うん、本当にごめんね! 明
Liar kiss*永遠の片想い*(第十四話)
第十三話はこちら。
14.行方知れずの恋
「ごめんな、昨日は」
「……ううん、大丈夫」
唯と別れてから、重い気持ちのままやってきた蓮佑さんのお店。
まだ早い時間のせいか、お客さんは誰もいなくて、カウンターの一番端っこに腰をおろす。
優しくされればされるほど、蓮佑さんを裏切ってしまったという事実に苛まれる。
唯の気持ちを、ありがたいとは思ったけれど、だからといって、すぐにたっちゃんの胸に
Liar kiss*永遠の片想い*(第十三話)
第十二話はこちら。
13.行き場のない嘘
結局、一睡もできないまま、迎えてしまった明け方。
一糸纏わぬ姿で、近くに脱ぎ捨てられていたシャツを羽織った。
左手や左足の痛みなんて、全く感じないほど、心の方がよっぽど悲鳴をあげている。
“好きだった”
たっちゃんのその言葉が、頭の中をずっとリフレインしていて、離れてはくれなかった。
せめて、夢ならよかったのに。
そうすれば、まだ友達のままでい
Liar kiss*永遠の片想い*(第十二話)
第十一話はこちら。
12.友達のままで
「……何だか最近、元気ないみたいだけど、大丈夫?」
たっちゃんに会いたくなくて、避けるように早く出社した休み明けの月曜日。
屋上でコーヒーを飲みながら空を見ていると、亜弥さんが近づいてきた。
「そんなことないよ、元気元気! ほら、月初は毎度のことながら疲れてるから、そのせいよ」
亜弥さんに心配かけたくなくて、笑ってみせる。
「……そう? ならいい
Liar kiss*永遠の片想い*(第十一話)
第十話はこちら。
11.悪戯な運命
夕飯までみんなで食べて、小野さんに送り届けてもらったときは、もう九時を少し過ぎたころだった。
仕事あるからと、一番最初に車をおりた蓮佑さん。
道順的にその後皆実を下ろすと、次は私とたっちゃんだった。
二人で小野さんの車が見えなくなるまで見送ったけれど、どちらからも、“おやすみ”も“バイバイ”も言い出せなくて、ぼーっと空を見つめる。
「……美紀、あの、さ
Liar kiss*永遠の片想い*(第十話)
第九話はこちら。
10.交わらない二人
「もう、蓮佑さんが美紀ちゃんの彼氏だったなんて、知らなかったわ。美紀ちゃんってば、全然話してくれないからびっくりしちゃった」
楽しそうに、小野さんの運転する助手席から後ろを振り返る亜弥さん。
「いや、この間亜弥ちゃんが達矢と店に来てくれたときは、まだそういう関係じゃなかったんだよな、美紀?」
蓮佑さんが、私の手を握りしめながら、同意を求める。
八
Liar kiss*永遠の片想い*(第九話)
第八話はこちら。
9.嘘吐きな恋人たち
「……やっぱり、行かせたくないな」
三度めの同じ言葉を口にした蓮佑さんは、カウンターの中から複雑そうに笑った。
「ごめんなさい。でも約束で……」
「わかってる。でも、行かせたくない」
明日は土曜日。
小野さんの誕生日だ。
蓮佑さんに、嘘を吐いてまで出かけられなかったから、正直に話したのはいいけれど、頷いてくれない蓮佑さんに、私も困惑してしまった
Liar kiss*永遠の片想い*(第八話)
第七話はこちら。
8.彼女と彼女
「おはよう。美紀ちゃん、寝不足?」
給湯室でコーヒーをいれながら、堪えきれずに大きなあくびをすると、亜弥さんが背後から入ってきた。
「あ、おはよう……うん、ちょっと寝不足、かな」
結局、たっちゃんとのチャットが終わっても眠ることなんてできなくて、そのまま迎えた朝。
もう一度出そうになったあくびを堪えて、棚の中からみんなの分のカップを取り出すと、出来上が
Liar kiss*永遠の片想い*(第七話)
第六話はこちら。
7.届かない恋
コチコチと、時を刻む音だけが静かな空間に流れる。
もう私以外は誰もいないフロアー。
やっとチェックの終わった大量の伝票の山を箱の中に詰めた。
それをキャビネットの中にしまうと、大きく伸びをして時計を見る。
いつもの月初より一時間以上も遅く、もうすぐ九時になろうとしていた。
さすがに、ランチを一切れ程度のサンドイッチで済ませてしまったせいか、ぐるぐるっと鳴り
Liar kiss*永遠の片想い*(第六話)
第五話はこちら。
6.すれ違う想い
明け方に切れたエアコンのタイマーのせいで、暑くていつもより一時間も早く目覚めた朝。
ぐっと大きく背伸びをして、ベッドから起き上がる。
あれから数日。
Twitterを開く気持ちにはなれなくて、スマホやパソコンをいじっては、何もせずに寝てしまう毎日の繰り返しだった。
まだ完全に梅雨明け宣言もしていないのに、空梅雨なのか真夏のような雲が広がる空。
夏はまだま
Liar kiss*永遠の片想い*(第五話)
第四話はこちら
5.囚われた心
「あれー、もしかして二人できたのか?」
蓮佑さんの店のドアを開けると、カウンターから蓮佑さんの声が飛んでくる。
それにつられるように、カウンターに座っていた女性と、その隣の男性が振り返った。
「……あれ、古賀さんも来てたんですか? 珍しいっすね」
二人に気づいたたっちゃんが、笑顔になる。
え?
この人が、古賀さん?
皆実から聞かされていたその名前を思い
Liar kiss*永遠の片想い*(第四話)
第三話はこちら。
4.偽りの始まり
朝方鳴り出した電話。
せっかくの休日なんだから、もう少し眠っていたいのに。
しつこく鳴り続ける電話を無視して、ベッドに潜り込む。
それでも、諦めることを知らない相手との根気比べは、私の負け。
明け方まで皆実と飲んでいたせいで、朦朧とする意識のまま、ベッドサイドに放り出してあるスマホに手を伸ばした。
ディスプレイもろくに確認しないで通話ボタンをタップする。
Liar kiss*永遠の片想い*(第三話)
第二話はこちら。
3.秘密の関係
「珍しいわね、アポなしで突然美紀がくるなんて」
皮肉を言いながらも、皆実はドアを開けてくれた。
さっきコンビニで買ったばかりの、ワインとデザートを差し出す。
「ごめんね、突然。電話しようかと思ってるうちに、着いちゃった。大丈夫?」
念のため確認をすると、皆実は私からその袋を受け取った。
「……金曜日が大丈夫なことくらい、知ってるでしょう?」
淋しそう
Liar kiss*永遠の片想い*(第二話)
第一話はこちら。
2.言えない気持ち
なんとなく一人の部屋で過ごすのが嫌で、膝の傷の手当てと着替えを済ませると、結局やってきてしまった蓮佑さんのお店。
隠れ家のような、大通りからはわかりづらい場所にあるそのバーは、賑やかさには欠けているけど、その分落ち着く。
「いらっしゃい、やっぱり俺に会いたくなって来てくれたんだ?」
カウンターから蓮佑さんに声をかけられると、私はカウンターの一番端っこ