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Liar kiss*永遠の片想い*(第四話)

第三話はこちら。

4.偽りの始まり

朝方鳴り出した電話。
せっかくの休日なんだから、もう少し眠っていたいのに。
しつこく鳴り続ける電話を無視して、ベッドに潜り込む。
それでも、諦めることを知らない相手との根気比べは、私の負け。
明け方まで皆実と飲んでいたせいで、朦朧とする意識のまま、ベッドサイドに放り出してあるスマホに手を伸ばした。

ディスプレイもろくに確認しないで通話ボタンをタップする。

『……美紀?』

その声は間違いなくたっちゃんのものだった。

一気に覚醒される脳。
見られているわけでもないのに、慌ててベッドから起き上がる。

「……もしかして、たっちゃん?」

『うん。っていうか、まだ寝てたか?』

時間を確認すると、8時を少し過ぎた頃だった。

「ごめん、実は昨日、あれから皆実と飲んでて……」

『……そっか、皆実ちゃんと一緒だったのか。
ほら美紀、何も言わずにいきなりいなくなったから、蓮佑さん、かなり心配してたぞ? 何度電話しても、出てくれないってぼやいてた』

「……あ、うん。心配かけてごめんね。今夜にでも蓮佑さんのお店に行って謝っておくから」

帰るなら、せめて蓮佑さんには伝えるべきだった。
蓮佑さんの性格から考えても、突然いなくなった私のことを、心配しないわけがない。
まして、その後の連絡が取れないとなれば、メッセージくらいは送っておくべきだったかもしれない。

『それ、俺も一緒に行っていいか?』

「……えっ? たっちゃんも?」

『あ、ごめん、迷惑ならいいんだけど……』

迷惑だなんてあるはずはないのに。
むしろ、また会えるなんて嬉しすぎて鼓動が弾む。

「全然! 迷惑なんかじゃないから。それに、私たち、本当に付き合ってるわけじゃないし」

私ってば、一体何を焦って否定してるんだろう。
私が誰と付き合っていたとしても、たっちゃんには関係のないことなのに。

『……そうなんだ? それなら夕方5時頃、駅前の……“ひだまり”で待ってるから』

「あ、うん、わかった。じゃ、後でね……」

電話を切ると、私はスマホのディスプレイを眺めた。

たっちゃん、私の電話番号、ちゃんと消さずにいてくれてたんだ。
そんな些細なことで喜べるなんて、私も相当重症なのかもしれない。

でも、もう二度と唯を傷つけるわけにはいかない。唯の真剣な表情を思い出す。

それに、亜弥さんのことはどうしよう。
亜弥さんは、本気なんだろうか?


“小野くんのこと、黙っててごめん!
話したら、美紀ちゃん、行かないって言い出すんじゃないかと思って。”


亜弥さんからのメッセージは、私がちょうど体育館を飛び出したころに届いていたけれど、まだ返信もしていなかった。

キッチンで濃い目のコーヒーを淹れると、スマホから昨晩皆実が登録してくれたTwitterを呼び出す。

あくまでも、あの体育館のギャラリーの中のひとり。
それで十分だと思って開くと、なぜかたっちゃんからのフォロー通知とダイレクトメッセージが届いていた。

どうして?

疑問符で、真っ白になる頭の中。
確かに皆実に言われるままにフォローはしたけど、もしかして、“桜子”という名前だけで、私だとわかってしまったんだろうか?

でも、それならそれで、さっきの電話で何か言ってくるはずだし。
何も言ってこなかったことを考えても、フォローしただけで、“桜子”が私だと気づくとは思えない。

気持ちを落ち着かせるために、コーヒーを一口飲み、そのダイレクトメッセージを開いた。


“メールありがとう。桜子ちゃんのこと、覚えてなくて本当にごめん。下級生の記憶ってほとんどなくて。でも、気持ちは嬉しかったよ。ありがとう。よかったらまた、練習見に来てね。”


え? 何々?
どういうこと……?


まったくもって、意味のわからない内容。

でも、メールありがとうって。

わからないながらも、いろいろと操作してみると、“桜子”がたっちゃんに宛てて送ったダイレクトメッセージが表示された。


“初めまして。桜子といいます。私、達矢先輩の一つ下で、同じ高校に通ってました。バスケをしてる先輩のことが大好きで、今日は友達に誘われて久しぶりに先輩のバスケしてる姿を見にきました。達矢先輩のバスケしてるときが一番好きです。”


何これ? どういうこと?
もしかして、皆実がたっちゃんに嘘のメールを?

それ以外、思い当たらない。

ふーっと溜め息をついて、もう一口コーヒーを飲んだ。

皆実ってば、何を考えているの?
思い浮かんだ唯の顔。
唯の気持ちを考えれば、“桜子”という存在だって許されない。

このアカウントは、唯も知ってるって言ってたのに。
でも、そんな理性とは裏腹に、嘘でもいいからたっちゃんと繋がっていたいと思ってしまった。
理性が負け、言葉が指から溢れ出す。


“ありがとうございます。達矢先輩、もしかしてもうひとつ、Twitterのアカウント持ってますか? ギンって、先輩の飼っていた犬の名前ですよね? それに、あのアイコンのリストバンドの写真、たまに先輩がしてたところを見かけて。”


まるで、自分が小説家にでもなったように、メッセージを入力する指が、滑らかに動く。

躊躇ったのはほんの一瞬。
すぐにメッセージを送信すると、しばらく何も変わることのない画面を見つめた。

ひとつ年下の、“桜子”になりきればいい。
ただ、それだけのこと。
唯を裏切ってしまったあの夜の罪悪感に比べれば、ネットの中で誰かを演じるなんて、大したことない。誰もがやっていることなのかもしれない。

少しして、たっちゃんからのお返事が届く。
同時に、“ギン”からのフォロー通知も届いた。

私も、“ギン”をフォローしてみる。

それはすぐに承認されて、今度はダイレクトメッセージじゃなくてもたっちゃんからのメッセージを読むことができた。


“桜子ちゃん、すごいな。よくわかったね。吐き出す場所もほしくて、鍵付きアカウントも取ってたんだけど、フォローするのもされるのも、桜子ちゃんが初めてだ。”


“ギン”のアカウントで、たっちゃんが呟いていたことも、やはりバスケのことばかりだった。
それでも、みんなに公開されているツイートより、もっとたっちゃんを身近に思えるような内容だった。


“私なんかが、初めてでいいんですか? というか、私、Twitterってよくわからなくて。私も鍵を付けた方がいいんですか?”


唯が“ギン”のアカウントの存在に気づかなければいいけれど、万一辿り着いてしまったら。
嘘偽りだったとしても、この世界だけしか許されなかったとしても、繋がっていたい。
私は、たっちゃんと。


“無理にとは言わない。桜子ちゃん以外、フォロワーもいないし、そんなに気にしなくて大丈夫だよ。”


たっちゃんの優しい返事。
再び試される、私の理性。

“桜子”として、唯にも誰にも知られずにたっちゃんと繋がっていきたいのかどうか。
そんなこと、わざわざ自問自答するまでもなかった。

桜井美紀として、私がたっちゃんの傍にいることは、やっぱり許されない。
この片想いは、永遠の片想いだから。


“どうやって、鍵をつけるんですか?”


たっちゃんから、すぐにやり方が返ってくる。
そのメッセージを見てやってみると、私はすぐに鍵をかけることができた。

たっちゃん宛に、“ありがとうございました。”と呟くと、さっきのようにすぐに返事は戻ってこなかった。

さすがに、いつまでもやってるわけないか。

たっちゃんにしてみれば、“桜子”は顔も知らないただの後輩なんだから。


◇◇◇◇◇

家事を済ませると、私は慌ててクローゼットから洋服を取り出す。

何を着ていこうか。

鏡の前で、一人ファッションショーをしていると、いつのまにか約束の時間が押し迫っていた。

デートじゃないんだから。
たっちゃんにとっては、久しぶりの同級生に会うに過ぎないこと。
弾む心は、傷つかないようにと強引に押し込める。

“桜子”への返信が気になって、スマホに手を伸ばしかけて、すぐに離した。

今は、止めておこう。
たっちゃんに吐く嘘は、この小さな世界の中だけでいい。

この夏に買ったばかりのワンピースに袖を通すと、待ち合わせにはまだ少し早かったけれど、部屋を出た。

“ひだまり”に行くのは本当に久しぶりのことだった。

高校を卒業して以来、一度もここまで足を運ばなかったから。
いくつの季節が巡っても、変わらない風景に気持ちがあの頃へと連れ戻される。

“ひだまり”は、それこそ、私と唯と皆実のたまり場。

気さくなマスターの淹れてくれるコーヒーがとても美味しくて、ガールズトークも、テスト勉強するのも、いつも“ひだまり”だったっけ。

唯は時々、たっちゃんとも来ていたみたいだったけれど、私がたっちゃんと“ひだまり”に来るのは初めてのことだった。

複雑な想いで“ひだまり”のドアを開けると、懐かしいマスターの笑顔に出迎えられた。

「……あれー? もしかして……美紀ちゃんだろ?」

「はい、ご無沙汰しています、マスター」

あの頃とは変わらないすべてに、自分が女子高生に戻った気分になる。

「いやー、美紀ちゃん、見違えたよ」

嬉しそうに緩むマスターの顔。

「……そう、ですか?」

「うん、高校生のときから美紀ちゃんは美人だったけど、さらに女に磨きがかかった」

からかうように言ったマスターは、カウンターの椅子を引いてくれた。

「もう、そんな冗談、」

「本当のことだよ。……で、今日は一人? それとも待ち合わせかな?」

そんなに広くはない店内。
ぐるっと周りを見ても、たっちゃんの姿どころか、誰もいなかった。

マスターの引いてくれた席に座る。
マスターの笑顔と、淹れたてのコーヒーの香ばしい香りが懐かしい。

唯や皆実と来ていたときは、店の邪魔にならないようにと、いつもテーブル席に座っていたから、カウンターは初めてだ。

「待ち合わせです」

「そっか、皆実ちゃんだったっけ? それとも唯ちゃん?」

マスターが唯の名前を口にしながら、コーヒーを出してくれたとき、カランカランとドアが開いて、たっちゃんが入ってきた。

「あれ、君は確か、唯ちゃんとよく来ていた……?」

マスターがたっちゃんと私の顔を交互に見つめた。

「……あ、はい。水嶋達矢です」

「そうそう! 達矢くん!」

一瞬戸惑った表情はしたマスターだったけれど、私の隣の席を指し示した。

「達矢くんも、コーヒーでよかったよな」

「……あ、コーヒーでお願いします」

マスターはコーヒーをカップに注ぐと、それをたっちゃんの前に置いた。

マスターの淹れてくれたコーヒーを一口飲むと、懐かしい味に思わず頬が緩む。

「やっぱり、コーヒーはマスターには敵わないです。会社でも毎日コーヒー淹れるけど、こんなに上手くいれられないですもん」

「……そりゃあ、そうだろう。こんな寂れたカフェでも、一応店なわけだしな。まだまだその辺のOLさんに負けるわけにはいかん」

マスターの目尻が嬉しそうに下がる。

「……俺、実はここでコーヒー飲めるようになったんですよ」

「え? たっちゃんも?」

「まさか、美紀もか?」

二人で顔を見合わせると、マスターが懐かしそうに目を細めた。

「……うん、そうだったな。美紀ちゃんも達矢くんも、最初きたときは二人ともオレンジジュースで」

“ひだまり”に足を運んだきっかけは、コーヒー好きな唯の影響。
せっかくカフェに来たというのに、マスターイチ押しの“ひだまりコーヒー”を頼まずに、オレンジジュースを注文したんだっけ。

それから、“ひだまり”の居心地の良さと高校生には優しい価格に、よく寄るようになって。

「……確か、十回めぐらいでしたよね? 俺がオレンジジュース頼んだら、コーヒーが出てきたのって」

普通の店だったら、きっとありえないこと。
それでも、飲んでみようと思えたのは、唯があまりに美味しそうに飲んでるってこともあったけれど、やはりマスターの人柄も大きかったと思う。

「え? たっちゃんも? 私も、確かそのくらいのときにマスターに強引に飲まされた!」

重なる偶然に、浮かれ気味になる。

「おいおい、美紀ちゃん。強引に、なんて人聞きが悪いなぁ。初めてのお客様に、いきなり注文と違うものを出すわけにはいかないし。まぁ、唯ちゃんには相談したんだけどな。二人なら、きっとうちのコーヒーを気に入ってくれると思ったんだよ」

「でも、俺、あの時マスターがコーヒーをいれてくれたから、今はコーヒーが飲めるんだと思いますよ」

たっちゃんの言葉に、私も大きく頷いた。

「……そうかそうか、そこまで言ってもらえると俺も嬉しいよ」

マスターは眼鏡を外して、目頭をおさえた。

「ちょっ、マスター、泣くほどのことじゃ……」

「そうですよ! 泣かないで下さいって」

たっちゃんと二人、突然のマスターの涙に困惑して顔を見合わせる。

「……いや、嬉しいんだよ。こういう店って、ライフスタイルの変化で、ずっと来てくれてた人たちも、いつか足が遠のいていくもんだから。こうやって昔来てくれてた常連さんが、また懐かしんで来てくれるってことはさ」

来てよかった。
今度は、皆実のことを誘ってみよう。

「私でよければ、いつでも来ますから……」

「そうですよ。俺たち、また来ますから」

さりげなく使われた“俺たち”という言葉。

たっちゃんに合わせて頷いたけれど、二人がまた会えるという小さな未来へ繋がっているような気がして嬉しかった。

◇◇◇◇◇

懐かしい話ですっかり盛り上がった“ひだまり”を出ると、外はもう真っ暗だった。
通学路にもなっていた道は、あの頃とほとんど変わってないはずだけれど、夜はまた違う世界に見える。

「……どうするか? このまま蓮佑さんの店行っても、あまり食事らしい食事できないんだよな」

空腹なのか、たっちゃんはお腹を抑えながら呟いた。
蓮佑さんなら、言えば何かを作ってくれる。
わかってはいたけれど、もう少しだけたっちゃんと二人きりでいたい気持ちが、大きくなっていた。

「……どこか、食事してから行く?」

「いいか?」

よほどお腹が減っていたのか、たっちゃんの表情がパーッと明るくなる。

「……もう、そんなにお腹減ってたの?」

「うん、ペコペコ、ほら……」

突然たっちゃんに取られた右手。
たっちゃんのお腹に触れると、グーッとお腹が鳴り出した。

「……ふふふ、本当だ」

「だろ?」

冷静をよそおって笑ってみせたけれど、突然触れられた手に、心臓の鼓動が急加速する。
たっちゃんにしてみれば、きっとなんでもないことなのかもしれないけれど、まともに顔を見ることかできなかった。

近くにあるファミレスに入ると、すぐに席に案内される。
向かい合って座った窓際の席。
さっきまで隣に座っていたせいか、たっちゃんを直視できなくて、ごまかすようにメニューをパラパラとめくった。

注文を済ませると、一瞬訪れた沈黙。
さっきまではマスターがいたせいか、話題に事欠かなかったけれど、何を話そうかと頭の中を巡らせる。
話したいことはたくさんあったはずなのに、ただ一緒にいるだけで胸がいっぱいだった。

「……美紀」

不意に口を開いたたっちゃん。
ドキンと心臓の鼓動が跳ね上がる。

「どうかした?」

アイスティーの中の氷をストローでクルクルと回しながらたっちゃんを見た。

「……美紀って、Facebookとかやらないの?」

「え、Facebook?」

そういえば、蓮佑さんが言ってたっけ。
あの体育館にいたメンバーは、TwitterとかFacebookで集まってきたって。

「……私は、あんまりよくわからなくて」

それは本当のことだ。亜弥さんとかはやってるみたいで、食事にいくと、SNSにアップするあめの写真を、よく撮っていたりする。
でも私は、呟くようなことも、特にないし、ブログだってやったことがなかった。

「……そっか」

「たっちゃんは、やってるの?」

「……やってるというか、Facebookは登録だけ。昨日のバスケメンバー、ほとんどがFacebookやTwitterで集まったんだ」

「そうなんだ」

蓮佑さんから聞いていたけど、あくまで知らない振りをする。
嘘を見抜かれないように、ストローに口をつけてたっちゃんから視線を外した。

「……美紀なわけ、ないよな」

「え?」

「いや、昨日Twitterをフォローしてくれた人がいたんだけど。最初のメッセージではそんなこと思わなかったのに、今朝もらったメッセージでやり取りしてたら、なんだか美紀と話してるような気がしてきて」

もしかして、私が“桜子”だってことに気づいた?

ちらりとたっちゃんのことを見ると、たっちゃんはグラスに入っていたアイスティーを一気に飲み干した。

……私なの。

喉まで出かかった言葉をぐっと堪える。

「美紀も、やるなら教えろよ?」

「……あ、うん」

頷くとタイミングよく食事が運ばれてきて、その話はそれで終わってしまった。

すっかり空腹も満たされたのか、満足げにお腹をさするたっちゃん。
蓮佑さんの店で軽く飲むには、ちょうどいい時間だった。

温い風が髪の毛をさらっていく。

「……きゃっ、」

突風が吹き付けたわけでもないのに、突然よろめいてしまうと、たっちゃんの腕がガシッと私肩を掴んだ。

触れられた手。
抱きとめられた身体。
近すぎる距離に、心臓の鼓動が跳ね上がる。

「ご、ごめん」

「……相変わらずだな、美紀は」

すぐ近くで、クスッと笑ったたっちゃんは、私の頭をポンと叩くと、肩から手を離した。

「……本当にごめん、ありがとう」

まだ収まりそうにないドキドキは、たっちゃんに聞こえてしまうんじゃないかと思うほど大きくて、許されないことなのに、もう少しあのままでいたかったなんて、いけないことを考えてしまう。

「……美紀? どうかしたのか?」

優しい瞳で見つめられると、私はゆっくりと首を横に振った。

「……私ってば、相変わらずだよね」

「だな。昔から何もないところで転ぶのが、美紀の特技だったもんな」

悪戯っ子のように笑う。
何度今みたいに、たっちゃんに助けられただろう。

「……特技って、もう、そんな風に言わなくてもいいじゃない!」

ぷーっと膨れてみせると、たっちゃんの人差し指が私の頬をツンと突き刺す。

「ごめんごめん」

好きだなんて言えなくて。こんな風に見つめ合うと、二人が間違いを犯した夜のことを思い出さずにはいられなかった。

もう二度と、繰り返しちゃいけない。
わかっているけど、何かの合図に導かれたかのように目を閉じると、唇にたっちゃんの温もりを感じた。

「……ごめん」

すぐに離れたたっちゃんの唇がそう告げる。

「……ううん、大丈夫だから」

無言のまま、蓮佑さんの店へと向かって歩き出す。

たっちゃんは、どうして今キスしたの?
その真意が見えなくて、気づかれないように唇に触れた。


第五話へと続く。


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