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流星

あなたは出会ったことがありますか? 
会うかもしれません。
 
事は先週とある日夜の鶴橋駅。
乗り換えのために降りたら、知らない女性が近寄ってきた。
異国の若者だった。
すみません、と、呼びとめられた。
「?」
彼女は、気を向けたこちら(わたし)の目線を向けさせるように、
自身の持った紙袋の中を指さした。
紙袋の中には、手書きの紙。
≪私は留学生です。生活に困っているので、お菓子を買って下さい≫
「!」
ごめんね正直に言うね。
こわかった。なんかわからんけどこわかった。
だから「ごめん!」と拝むようにしてから手をひらひらさせて立ち去った。
でもさっきの子の顔が頭の中から離れない。
立ち去った己への「?」と「!」と「……」が消えない。
ちょっと行って、彼女から見えない物陰で、スマホから検索をしてみた。
「留学生 お菓子」
そんなんでヒットするわけない。でも、なんか癖というか、調べる癖?
乗り換え改札をくぐる前に。戻れるなら、戻ろうと思って。
ヒヤリ。凍った。
「留学生 お菓子」
たくさんすぎる体験談が出てきた次々に。
各地で何年も前からあるらしい。全国で、全国に。
SNSの海の中で流木のようにあちこちに浮いていた。
検索をする手がとまらなくなった。その場を去った。電車に乗った。
乗って、帰りながら、ずっと、検索していた。いろんな声をみた。
ネットの個人サイトは勿論、まとめサイトや、テレビの報道番組などでも話題としてあがっていた。
 
同じ出会いをして、
買った人、買わなかった人、
買ったけれどもやもやしている人、
買って食べた人、買ったけど食べなかった人、
買ったけれど買った時点でもう食べる気はなかった人、
おもしろがってネタにしている人、
反省や謝ったりしている人、
犯人捜し(大元の)をしている人、
憤りを隠せない人(大元にだったり、自分にだったり、矛先は様々)、
かわいそうだ、闇が深い、おいしい、きもい、ばか、カモ、宗教だ、詐欺だ、反社だ、ささやかなしあわせ、偽善、どこどこでも見た、嘘、がんばれ、やばい、声、声、声。
人の心の中を試すような、
でもどこかなにか釈然としない何かうしろめたさ、
なんともいえなさを、感じさせるんじゃないか、と思った。
なにがどれが「ほんとう」かはわからない。
行政書士による詳しい解説noteもあった。
答え合わせじゃないけど、答えを知りたいのは、人の心理かもしれない。
わたしのこの見方書き方もわたしのものでしかないから、
調べたり検索したりも、してみてほしい。
 
売っていた売ろうとしていたものは、なんやろう。
売れとされたり売らされていたそれは、なんや。お菓子や。一袋500円。
事実として、全国各地の街角に、あの子やいろんな人たちが立っているということ。
バレンタインデー近づくこの時期に。
 
あの件があってから、ずっともやもやしていて、
ここにも書こうとしてでも悩んでいて、
うん、やっぱ、書けないなりに書いておこうと思ったときに、
突然頭に浮かんだのはなんだかなぜか拓郎の『流星』だった。
わたしはなんかとてもやはり怒ってる泣きそうになりながらいつもかいつもだ明日はもう2月ですね。

◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
【Twitter】【Instagram】 など、各種フォローも、とてもうれしいです。

詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
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12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

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東京・湯島の本屋「出発点」では2箱古本屋もやっています。
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旅と思索社様のWebマガジン「tabistory」では2種類の連載をしています。
酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話)と
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noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

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文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
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担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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