うそとほんとと好きと嫌いとサイコロふたつ
その日芝居小屋で耳にしたピストル歌う『落陽』がよかった。
嫌いな役者が踊っていた。
竹原ピストルの歌は面倒臭い辛気臭い押し付けがましい嫌いじゃない。
でもこういうひとを神格化するまわりは嫌いだ。
気持ちはわからなくないがそういうのは気持ち悪い。
落陽。拓郎。ピストル。お腹いっぱいやな。
拓郎。岡本まさみ。古い。けど、時代など関係なしに中身は届く。
物事を意味だけで判断するのは愚行だと決めつける人たちが居る。
何故なんだろう。それもその人の捉え方だ考え方だ。
歌は歌詞がありメロディーがある。
言葉をメロディーに乗せるからこそ気持ちが伝わることもある。
そんな歌を使った舞台なら尚の事。装置となる。ましてや芝居小屋では。
意味がないものこそ良いみたいな考えもあるしそういったものもあるし否定はしない。
意味付けや理由付けは自己満足や自己陶酔の一種でもあるかもしれない。
それも人間が人間だからではないか。
好きと嫌い。嫌いと好き。好き嫌いを超えたところにしかないものがある。
好き嫌いだけで人や物を決めつけるのはプロではない仕事ではないそれは仕事人ではないとわたしは常々思っている。
隣席の年配女性がずっと話しかけてきた。
舞台に役者が登場するたびに「これは誰?」と名前と家族関係を訊いてくる。
幟やタペストリーをいちいち指しながら説明した面倒臭いなと思いながらも。
「この人格好いいわ」と食い入るように観ていた役者が『落陽』を踊った。
「ほんまに格好いいですよね」と何度もわたしも言った嫌いだけどほんとうにうそじゃない。
行く人来る人。芝居小屋。日々。サイコロふたつ。
*
これとセットになった話、偶然やけど。
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【略歴や自己紹介など】
構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。
普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。
劇場が好き。人間に興味が尽きません。
舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。
某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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