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ジェインとウェッジウッドの関係

今回は、ジェイン・オースティンが姉のカサンドラに送った手紙を参考に、ジェインがロンドンのウェッジウッドのショールームを訪れたお話を深堀していきます!

英国を代表する陶磁器メーカー「ウェッジウッド」は、ジョサイア・ウェッジウッドによって1759年に創業されました。芸術的な作品から、ディナーセット、ティーセットまで様々な商品展開を繰り広げ、王侯貴族に人気のあるブランドに成長。現在まで世界的に有名なメーカーとして君臨しています。

イギリスでお茶を楽しむ習慣

Portrait of Queen Catherine of Braganza (1638-1705)

チューダー時代にイングランドを統治していたエリザベス女王には、まだお茶を飲む習慣はありませんでした。それからしばらくしてヨーロッパやイングランドに中国からお茶が伝わります。

ポルトガルの王女、キャサリン・オブ・ブラガンザは、英国王チャールズ2世(1630-1685年)と結婚するときに、船に中に大量のお茶と茶器を積み込みイングランドにやってきました。

そして、イングランドの王宮でお茶を茶器で楽しむ文化を広めたといわれています。1700年代の後半、ジェインが生まれたころにはお茶文化はすっかり浸透していたようで、国内生産の陶磁器も買えるようになっていました。

ジェイン・オーステインとウェッジウッド

ジェインの物語にもお茶の話題はたくさんでてきます。彼女の生活の中にはごく普通にお茶の時間が存在していて、楽しまれていました。

ジェインが姉のカサンドラに送った手紙によると、

これで、ウェッジウッド以外では買い物は済ませました。

Letter from Jane to Cassandra, 18 April 1811

ロンドンに行ったときに、ウェッジウッドのお店でいくつか注文したものが、家に届いて、開けるのが楽しみ。なかなか良い組み合わせだと思う。

と、知らせています。当時のティーサービスは、今とほぼ同じでティーポットにカップとソーサーに、スロップボール(茶葉を捨てるもの)や砂糖入れ、ジャグ、ティーキャディー、ティートレイなどがセットになっていました。

また、別の手紙には、

その後ウェッジウッドへ行き、お兄様とファニーはディナー用の食器を選びました。

Letter from Jane to Cassandra, 16 September 1813

という内容が出てきます。

ここに出てくるお兄様は、ナイト家の養子になったエドワードと、その娘ファニー。なんとここに出てくる食器は、いまは博物館として一般公開されている「ジェイン・オースティン・ハウス」に一部展示してあります!

「ジェイン・オースティン・ハウス」に展示されてあるウェッジウッドのお皿

わざわざ手紙に『ウェッジウッド』と書き記すという事は、オースティン家にとって、ウェッジウッドは特別な陶磁器メーカーであったのかもしれませんね。


ウェッジウッド

創業者のジョサイア・ウェッジウッド

ウェッジウッド創業者のジョサイア・ウェッジウッドは、研究を重ねて独自の素材をいくつか生み出し、人気を博しました。

クリームウェアのセット

その中の一つが『クリームウェア

ディナーサービスやティーサービスに使われた比較的安価で、丈夫な素地でした。この新商品を、ジョージ3世の妻であったシャーロット王妃が気に入って、ウェッジウッドにコーヒーサービスを注文。その評判から、王族や上流階級の間でクリームウェアが大流行して、『クイーンズウェア』と呼ばれることになります。

ジャスパーウェアで作った『ポートランドの壺』

ジョサイア・ウェッジウッドは、様々な素地を開発するにとどまらず、マーケティングにも優れ、ロンドンにショールームを構えて新作を発表したりと話題作りも欠かしませんでした。


ジェイン・オースティン・ハウスのダイニングルーム

ということで、その話題のロンドンのお店にジェインも訪れて買い物をしていたというお話でした。「ジェーン・オースティン・ハウス」には、ダイニングルームにオースティン家の食器なども展示されているのでぜひご覧になってください。

参考文献
新井潤美 「ジェイン・オースティンの手紙」
Kim Wilson 「 Tea with Jane Austen」

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