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オルタード・カーボン(著:リチャードモーガン)【ちょっと保管所送りにされていたら、元カノが俺のスリーブ(肉体)を買い取って、男になってた。女ってこういうとこあるよな】

オルタードカーボンというのは、乗り換え用の肉体のことです。
要は、自家用車を買い替えるように新しい肉体に乗り移ること。
時は28世紀(だったかな)
人間の本体は脊椎に埋め込まれたスタックになっています。
新しいスリーブ(肉体)を購入することで、
もう100年生きることができます。
しかしこれが高い。

金持ちは事実上の不老不死のメトセラ。
(作中スラングで言う所のクソメト)

しかし貧乏人はがんばっても保管所送りになるだけです。
さらに、そこそこのミドル階級でも、
何回も乗り換えると人生に飽きてくるので、
特別なタイミングで子孫に起こされるとき以外は、
ずっと保管所にいる人もいます。

刑務所はなく、
基本的には保管所でスリーブ(肉体)保管されてしまうだけです。
犯罪歴があると、強制的に保管されるわけです。
しかし、誰かが保釈金を払ってくれると、自分の親が生んでくれたスリーブではないものの、適当なスリーブで出してもらえることもあります。
死んでもスタックが無事なら再生できます。
完全に殺すにはスタックにボルトを打ち込むのです。

カトリックは再生を拒否します。
だから暗殺を行う時に、敵にカトリック宣誓をさせる仕事屋がいるんですね。
まあそういう法的文書を偽造するということですが。

自分の好きな人が保管所送りになって、違う人が買い取って中に入って出てくると、そりゃヤキモキします。
スキな人のスリーブ(肉体)ですからね。
勝手に使うなよという気分になること請け合いです。

さて複数の惑星にまたがる文明世界において、最強の兵士であるところの。
エンヴォイという軍隊があります。
エンヴォイは、情報だけ転送して、スリーブ(肉体)は現地で入手したものを使う。
いや、これがなかなか難しく、車と違って、
スリーブ(肉体)は乗り換えたときに、結構な慣れが必要です。
エンヴォイは、そのプロフェッショナル。
あらゆるスリーブを使いこなし、あらゆる戦闘をこなすプロ。
このスキルはそうそう手に入らないので、アンタッチャブルな存在です。

さて、ここまで設定です。

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とある金持ち(スリーブ6体持ってる億万長者)が自殺します。
しかし、この金持ちには心当たりがありません。
予備保管されていた一体が自動的に目覚めましたが、記憶のバックアップが送信されて無かったので、直近の自分が何を考えて自殺したのかわかりません。
そこで、元エンヴォイの探偵、主人公を保管所から引きずり出して仕事を依頼します。
「誰が私を殺したのか。突き止めてくれ」
お金持ちは依頼しました。
この探偵が主人公ですが、ハードボイルドタッチで書かれる文体から、相当の荒くれものではあるようです。

そこから先は、
フィリップマーロウとか、ハリーキャラハンとかの世界と同じ。
まあ基本、この探偵。
その名もタケシ・コヴァッチが、元エンヴォイとしての戦闘能力や尋問能力を生かしつつ、冒険しながら、
古い腐れ縁の女マフィア、アイリーン・カワハラに復讐していくという話につながっていく。

まあ、ストーリーはよくある固ゆで卵なんで、目新しくはないのですが。
材料として設定にあるようなSF素材を使っている、ということです。

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内容がどこにでもあるゆで卵だからなのか、正直、読んだ後に存在を忘れます。
読む前はかなりの大物感を感じているのですが。
私には大きくは刺さりませんでしたが、ひょっとしたら刺さる人はいるかもしれません。

ただ肉体をいくつも使える、という点で、
展開に広がりを持たせることができます。
小説を書いている皆さん、このアイデアは、
おそらく創作の定石になるはずなので、
ためしに使いこなしてみるのはいかがでしょうか?

なんだかドラマ化されていたけど未視聴。

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