テラへ(著:竹宮恵子:アニメ2007年:全24話)【止めるんだ!アニメ感想で力を使い果たしてはいけない!】
youtubeを見てたら、ブルーレイボックスが出るとかでアニプレックスの公式動画が上がっていました。期間限定。
追記:期間限定動画が終了していたので、別のを貼りつけておきました。
よし。この機会に少し紹介してみましょう。
テラへ。
未来の人類。
人類の中から少しづつ新時代の人類、ミュータントが生まれてくる。
以降ミュータントをミュウと呼称。
しかし人類政府はミュウを否定し抑圧する。
やがてミュウたちは独自の国家を建設し、地球の勢力圏から離脱する。
追撃する人類政府との間で星間戦争を起こしつつ、ミュウたちは新天地を求めて旅をする。
エクソダスストーリーですね。
旧約聖書の出エジプト記みたいな話です。
主人公の少年、ジョミークロス(じゃなかった、こりゃスランだ)
ジョミー・マーキス・シンはミュウとして覚醒。
そしてあれこれあって、
初代ミュウの指導者であるソルジャーブルーより、2代目指導者として選抜されます。
そして物語は3代目指導者、トオニイに受け継がれていきます。
要するに主人公は新生ミュウ国家の第2代指導者という立ち位置から、ミュウの歴史を観ているという構造になります。
先代から受け継いだものを後代に引き渡すという、時代感というか、世代間の受け継ぎというのが、作品の大きなテーマ設定となります。大河ですね。
竹宮先生の原作が70年代から。
アニメ映画が80年代に作られています。
これは私も観たことあります。
ストーリーが原作とは少し違っていました。
2時間にまとめるため、訴求力を強くするための変更でしょう。
平たくいうとトオニイがジョミーの息子という設定に替えられていました。
まあ、世襲の方が感情移入しやすいということでしょう。
初代ソルジャーブルーと同様、ジョミーも老いて限界が近づいていくという雰囲気がよく描かれています。
原作やTVアニメ版では、親友の子どもたちの中でトオニイが最も優秀だったから、という設定です。古代中国の尭舜禹みたいな感じですね。
さて2007年のアニメ版は、原作準拠です。
映画版ではほぼカットされていた地球側の主人公、キースアニアンの話が全体の半分を取り戻しているのは嬉しいですね。
ただちょっと原作が古いせいか、いまいち盛り上がりに欠けていたような気がします。
失敗とは言えませんし、良かったですけども。
脚本術も時代が進むにしたがって進化していくからです。
昔はウケたネタは、次の時代では必ずしもウケるとは限りません。
大衆の目は肥えてきます。
逆に言うと、時代を超えて受け継がれてくる古典名作が、いかにすさまじい訴求力をもっているか、ということを意味します。
「テラへ」も古典名作の部類に属するのですが、
やはり地球側の展開は少し冗長に感じてしまいました。
騎士団制服はかっこよかったんだけど。
一方で、ミュウ側は今見ても面白いストーリーと感じました。
世代交代というシステムの導入は大成功でしたね。
*****
さて元ネタであるヴァンヴォークトの古典SF「スラン」についても軽く触れておきましょう。
こちらの主人公がジョミー・クロスですね。
成長するとジョン・トマス・クロスと名乗るようになります。
ジョミーはジョントマスを縮めた言い方だった。
1930年代のSF小説ですが。
はっきり言って今読んでも面白い。これが古典名作か。
弾圧されるミュータント(スラン)の母と子。
スランはテレパシーが使えるというのが最大の特徴です。そのために金色の触覚が毛髪の一種として生えています。
母は自分を犠牲にして息子を生き延びさせます。
以降、ジョミーは自分の力だけで生き延び、やがて同じスランの女性を愛するようになりますが・・・・
一方で人類側の主人公は謎の独裁者。こちらの方はスラン弾圧を推進しているにも関わらず、スランの娘を養っています。研究用と称して。しかし・・・
この娘が逃げ出してジョミーとくっつくわけですが。
感情移入しやすい!
このプレッシャーはどこかで感じた記憶があるぞ。
シェイクピア感を感じる。
シェイクスピアが20世紀にSF作品を作ったらこんな感じという小説です。
(シェイクスピア作品は映画で補完したことしかないですが)
どうしてハリウッドは自国のSF文化にあんなに冷淡なんだろう?
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