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好き好き大好き超愛してる。(著:舞城王太郎)【読書紹介もかなり困惑した。だがいろいろあって受け入れて、そして心に傷を残した】

恋愛×喪失。ヒロインが死んでしまう系。
このお題から始まる、作家兼主人公の物語。
スラップスティック悲恋喪失もの。
スラップスティックなので、ドタバタ喜劇調ですが、
ちゃんと悲恋です。

作品は、主人公(男性)が体験するリアルな恋人との死別と、
主人公の作品として昇華された作中内作品での死別。
さらにリアル恋人の家族に突っかかって来られる事後の話。

これらがメタ的につながっている作品です。

世界の中心で愛を叫んでみたよりは断然小難しい作りになっています。
いや、まあ悲恋ものはいずれも鉄板の面白さがあると思いますが。

なんでも、男が生き残った方が、断然、悲劇としては良くなるのだとか。
女が生き残るのは悲劇にならないらしいんですよね。ううむ。
というわけでこの手の話は、みなヒロインが死ぬ話です。
男が生き残ってしまうのに対して、女が死んでしまう。
そうじゃないと、みんな楽しめないらしいのですよね。

男が死んでも、女は明るい未来へ前向きに生きて行けちゃうのに対して、

女が死ぬと、男はそこに事象の地平線を見いだしてしまうからです。

女性は上書きスタイルなのに対して、
男性は別フォルダに分ける。
つまりパソコンが生きている限り悪さしつづけるのです。

逆に考えてみてください。
男が死んで女が生き残る。普通ですね。
親が死んで子どもが生き残るくらい普通。
いつの世でもこっちはありふれすぎてる。
ありふれてるってことは悲劇性は薄いのです。

タイトルと違って、甘い話ではないのです。
むしろ「余命10年」を相手視点から見た話みたいな。
そこはやはり闘病記小説。

作中内リアルと作中内小説の中で、シンクロしながら、
彼女のいなくなった世界を生きていきます。
なんとなくですけど、じめじめした内容の割には、意外とじめじめしてないような読後感が残っているのですが、そりゃあコメディ風なんだから当然ですが、まあかなり前に読んだ本なので、この感想はいまいちあてになりません。
作中内小説も複数以上用意されています。
ぜんぶ悲恋もの。
闘病記もの、夢の世界の冒険、エヴァンゲリオンみたいな話。

どれもオチがパッとしないというか、
救われない話なので当然です。
むしろ悩む。後を引きずる。これでいいのだ。

今回は短めで。
あと、これ中編というか一冊分の量ではないので、
他の短編が追加されてるバージョンが多いですね。
というか私のがそれなんですけど、
他のタイプがあるかどうかは知りません。
この付属短編がまた気が狂いそうな小説なんだ。
ドリルホールインマイブレインとかいう。

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