「長い旅路」 作者として推したい話
ご覧いただき、ありがとうございます。坂元(筆者)です。
今回は、「吉岡奇譚」に登場する「倉本くん」を主人公としたスピンオフ小説「長い旅路」について、まとめ記事を書きました。ご一読いただければ幸いです。
この作品は、連載開始から完結まで3年を要しました。当事者ではない自分が「ゲイの主人公」を描くにあたり、彼の人格や物語全体が “リアリティーのない陳腐なもの“ にならぬよう、そして何よりも当事者の方々への偏見を助長しないよう、慎重に情報収集を行いながら、かなり時間をかけて書きました。
また、職場環境に関する描写だけは、筆者自身の経験に基づいています。
1.救出
大規模養鶏場で働く主人公・和真は、まさに「劣悪」「卑劣」を絵に描いたような職場環境の中、文字通り「懸命」に働いています。
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2.新たな敵
和真は無事に退院しますが、心身に受けたダメージは、思っていたより大きかったようです。
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4.凶行
和真は、ついに「計画」を実行に移します。
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6.「隠居生活」
奇跡的に一命をとりとめ、会社を辞めて実家に帰ってきた和真でしたが……厄介な後遺症が残り再就職が難しく、父からは冷遇を受け続けます。しかし、母はいかなる時も和真の味方です。彼女は、本当に毅い女性です。
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8.社会復帰
体調はまだまだ万全ではありませんが、和真は父が見つけてきた福祉作業所で働くことになります。しかし、そこは「社会福祉施設」にしては、利用者への配慮が足りない奇妙な場所でした……。
それでも、和真は「恩師との再会」を夢見て、新しい一歩を踏み出します。
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13.脱出
和真は馬鹿げた作業所を退職し、いよいよ吉岡先生が登場します。
ここから先、和真が吉岡先生宅を出るまでは、主人公が違うとはいえ「吉岡奇譚」と内容が被るため、読む人を退屈させてしまわないよう気をつけました。
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18.暴発
「吉岡奇譚」36話で起きた出来事と、その後日談について、和真の視点から書いたものです。吉岡の夫・悠介の成長を実感できる、筆者としても非常に思い入れのある話です。自分で書いたのですが、これまでに何十回読んだか分かりません(笑)
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19.良縁の兆し
和真は、16話で知り合った青年・恒毅の家を、初めて訪ねます。そこで、彼もまたゲイであることを知ります。だからといって、特に何も起きないのですが……和真としては、恒毅の体調のほうが、よほど気がかりなようです。
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22.虹色の旗
和真と恒毅、そして拓巳は同じ「ゲイ」でも、啓発活動に対する考え方は全く違います。そして、拓巳の活動が引き金となって悲惨な目に遭った和真ですが、決して拓巳を恨んではいないのです。
その2点は、筆者として強調しておきたいところです。
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24.違う空気を吸う
分かる人には分かると思いますが、彼らの行き先は有馬温泉です。
和真は相変わらず「過去の惨劇」で頭がいっぱいですが、恒毅のほうは……和真のことが、愛おしくて堪らないようです。
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31.凶報の真偽
あんなにも「会いたい」と願っていた人が「亡くなった」と告げられ、それを信じることができない和真は、恒毅を伴って現地に乗り込みます。
そこで、最悪の報せが「事実」であることを知り、打ちひしがれます。
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34.家族
恩師を失った悲しみから、なかなか立ち直れない和真。恒毅は、いたずらに励ますことはしません。ただ、ずっと心に留めていた想いを、真正面から和真に伝えます。
和真は、まったく予想だにしなかった提案を受けたことで動揺しますが、少なからず「前向き」にはなれたようです。
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36.時は来たり
恒毅からの「養子縁組」の誘いに、和真は「応える」と決めます。そして、あらん限りの勇気をもって、母に全てを打ち明けます。
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38.旅の果て(最終話)
恒毅との養子縁組が完了し、彼は「小野田 和真」となりました。
また、今度こそ然るべき配慮が受けられる作業所に再就職を果たします。そこでの作業を通じ、和真は「恩師の教え」が自分の糧となっていることを実感します。
やりがいある仕事を終え、家に帰れば……優しいパートナーが待っています。かつては儚い「絵空事」であったことが、ついに形になりました。
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以上となります。
序盤があまりに残酷で、だからこそ終盤の平穏な日々が「素晴らしい」と思えるような構図を目指しました。
大切な誰かとの「平穏な暮らし」というものは「当たり前」に在るのではなく、いわば「勝ち取るもの」であり、実現した後も、それを崩壊させないための努力(互いに歩み寄ることや、相手への思いやり)が必要なのだと思います。
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