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流れ者生活【5回目の冬】

夏はアルプス、冬は沖縄の離島で暮らすのが
ルーティーンの私だけど
この冬は北海道で過ごしています。

自分が北海道にいくなんて想像もしていなかったし
沖縄に行かない選択はかなり寂しかったけれど、
ここに来て本当によかった
って今は思ってる。

初めての冬の北海道。
見るもの全てが新鮮でした。
ずっと続くまっすぐな道。
雪が降り積もる真っ白な大地。
その中を悠々とあるく牡鹿。

道中みえる山もかっこよくて
自分の想像よりはるかにすごいとこだった。


そして初めて凍った海をみた。

昨日まで波飛沫をあげていた海が
朝には氷に覆われていた。
流氷ってこんな一瞬でくるんだ。

流氷がきて静まりかえった海。
氷と雪が波と音を消してしまった。

流氷の上を歩くと
自分が海の上にいる事がわからなくなる程
がちがちに凍りついてた。

これがここの自然なんだ。
日本で流氷が見える事を知らない人もたくさんいるし
私も初めて流氷をみた。
実物を見る前は海に氷が漂っているんだろうな
程度に思っていたけれど
いざ流氷を目の前にした時の感動は
言葉で表しきれない程だった。

夕焼けのピンクと氷の青

 
昔ばあちゃんが旅行で流氷砕氷船に
乗った時の写真を見せてもらったことがあった。
それがなぜか頭の中にずっと残っていた。
ばあちゃんは私が小さい時に亡くなっていて
一緒にどこか旅行に行った記憶はないけれど
あの時みせてもらった写真の記憶が
私をここまで連れてきてくれた。

今ばあちゃんと同じような景色をみているのかな。
そんなに意識はしていなかったけれど
きっと心のどこかでばあちゃんと
同じ景色を見てみたいと思っていたんだと思う。
氷の様子は毎年違うから同じではないのだけど
そんなことを考えてた。

流氷にできた氷柱

 
そして春の兆しとともに流氷も離れつつある。

いつもみていた氷の大地だけど
徐々に崩れていく気配があって、
なんとなく寂しい日々が続いていた。
そんなある日南風とともに一気に離れていった。
あっという間に。
来た時も突然でびっくりしたけど
離れるのも一瞬だった。

久しぶりに波の音がして
磯の、海の匂いがした。

海が帰ってきた。
って言ったら変だけど、そう思った。
ついでに数日前からカモメも帰ってきた。
しっかりしてるなあ。

そして流氷は近づいてきたり離れたりの日々。

もどかしい感がすごいけれど
季節の変化を感じられるのは嬉しい。
気温は0℃以上の日も増えてきたところ。
本州と比べたらまだまだ全然寒いし
雪も降ってるけれど、それでも春を感じる。

いつもなら沖縄で一人
暑さに困ってる時期なのにな。

そういえばもうすぐ浜降り!?
あ、、今年は4月なのか。
数年前は3月半ばに海にはいったなあ。


北海道で浜降りしたら死ぬね。

ここにいてもいつも沖縄を思い出す。
流氷がきてしょっぱくなくなった海を味見する度に
北大東のしょっぱい海が頭をよぎる。
石垣島のじめっとした風が恋しくなるし
クリオネ探しをしてると
必死でシャコ貝探した潮干狩り思い出す。

どっちも大好きだなあ。

日本の北と南でこんなにも違うなんて。
本当に面白い。
そしてそれを全力で感じられていることが
とても幸せだと思う。
 
流氷とともに私もこの地を離れるけれど
次もどんな冬に出会えるのか今から楽しみ。


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