半沢直樹3★3【10冊読むまで帰れま10・6月①】
さぁて、本職のブックレビューに行きたいと思います。毎日更新を主眼に置いているので、先月は紀行文、写真集が結果的に多くなってしまった。6月分と7月分を随時更新していきます。
半沢直樹3・池井戸潤【評価3】
※評価は5段階、moaiの独断と偏見による
ドラマが始まるという理由ではなく、単純に古本屋でキレイな状態で売られていたから、思わず飛びついたというだけの話。
あらすじ
大仕事を片付けるも出向の憂き目にあう半沢直樹。子会社・東京セントラル証券での初仕事は、大きな収益が見込まれるIT企業の買収案件のはずも、それを小狡く横取りに来たのは、まさかの親会社・東京中央銀行だった。世の中以上に、会社をアテにできないピンチ連続の半沢、若い部下らと奴らに何倍返しできるのか?
半沢直樹2で強烈な仕事をやってのけたものの、強烈すぎて出向先で奮闘するのが半沢直樹3。今回はIT業界の企業買収を舞台に「倍返し」を決める。
見方によっては、半沢はどうせエリートだしな、、とツッコンでしまえば、そう読めちゃうのが半沢1半沢2の話。だが、今回は、
池井戸作品にありがちな「勧善懲悪」であるのは変わらないが、出向先に転じる半沢が腐らないで、いい味を出しているのである。
出向先の「東京セントラル証券」の部下、森山に会社とは、という大命題を問い続ける。自分の場合は、企業買収の駆け引きよりも、半沢と森山のやり取りの方が興味深かった。2つ紹介する。
ともに上司の半沢が部下の森山にかけた言葉。
その通り!なんだけど。。。
こんな健全なマインドを持ってる会社が一体、世の中にどれだけあるのか。現実世界を見てくれ!世の中は腐ってるし、組織も腐ってるし。
基本的な池井戸=半沢の仕事観は「その通り!」と言えるものがほとんど。基本的には賛同したいものなのだが…。
池井戸氏の作品は半沢直樹シリーズしか読んだことないので、全てを判断してはいけないのだろうが、
描いている社会の世界観が無菌室然としてないか?
そもそも、「半沢の倍返し」活動自体は痛快そのもの。だが、これを言っては元も子もないが、
リアリティに欠けていないだろうか。
友達に銀行員がいないから、話は聞けないから実際は分からないが。人によって小説の面白さというのは、何を重視するかで変わっくるが、自分の場合は、
リアリティ一択。
よくある現実世界の中に描かれ、精巧に作られた現実味のある虚構に、面白みを感じる。
でも、これだけ世の中に「半沢シリーズ」が世間に受け入れられているということは、リアリティよりも「半沢の倍返しの痛快さ」の方が、共感しやすいということなのだろう。
屁理屈をこね回してしまったが、100%賛同できる言葉があったので、最後に紹介したい。
半沢の部下、森山と高校の同級生で、IT業界の風雲児役の瀬名社長の言葉。
まさに「職業に貴賎なし」を地で行く言葉。
仕事の大小でもなく、企業の大小でもなく、自分がプライドを持って打ち込める仕事というものにコミットしたいし、しなければならない。
この言葉は胸にしみた。自分も素直にそうなりたいと思える、素晴らしい言葉だ。
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