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ニキ・ド・サンファル ~松本路子の制作ノオト~

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松本路子が監督・撮影する、造形作家ニキ・ド・サンファルのアート・ドキュメンタリー・フィルムの制作ノオトです。10年間にわたるニキとの交流、その作品との出会いの物語、そして現在制作…
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ニキの映画、最初のメッセージから

ニキの映画、最初のメッセージから

 

ニキの映画を創りたい!      2018年3月記「ナナ・シリーズなど、カラフルでエスプリあふれる女性像で知られる造形作家ニキ・ド・サンファル(1930-2002)。私がニキと初めて会ったのは19

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映画の上映情報です。

映画の上映情報です。

「Viva Niki タロット・ガーデンへの道」上映情報第1弾
9月25日(水)より10月4日(金)まで東京都写真美術館ホールにて公開、シネスイッチ銀座
ほか全国各地でロードショー

東京都写真美術館ホール上映日程
(トークショーの予定あり)
9/25(水)10:30/13:00/15:30
9/26(木)10:30/13:00/15:30/18:00
9/27(金)10:30/13:00/1

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松本路子写真展のお知らせ

松本路子写真展のお知らせ

松本路子写真展「ニキ・ド・サンファルの肖像」 (プレスリリースより)
映画「Viva Niki タロット・ガーデンへの道」公開記念
2024 年 8 月 3 日(土)ー 8 月18 日(日)
Galerie LIBRAIRIE6 では、松本路子写真展「ニキ・ド・サンファルの肖像」/ 映画「Viva Niki タロット ・ガーデンへの道」公開記念を 2024 年 8 月 3 日 ( 土 ) ~

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ハノーファーの3人のナナたち~映画撮影ノオト

ハノーファーの3人のナナたち~映画撮影ノオト

ニキ・ド・サンファルの女性像の総称「ナナ」。ドイツ、ハノーファーのライネ河岸に立つ、カラフルな3体の像は「ハノーファーの3人のナナたち」と呼ばれている。彼女たちは初めて美術館から街に飛び出したナナだ。逆立ちし、踊り、どっしりと構える3人は、かつてのハノーファー王国の王妃や歴史上の人物にちなんで「カロリーネ」「シャルロッテ」「ゾフィー」と名づけられている。

1974年に設置された当時、胸と尻を強

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ニキ・ド・サンファルからの絵手紙

ニキ・ド・サンファルからの絵手紙

映画の編集もほぼ終了し、上映の日程を調整中。上映と同時期にシンポジウムを企画。ニキ財団の理事であり、ニキの孫のブルームさんにゲストスピーカーとして来日してもらうことになり、その調整で、予定より公開が少し先になりそうです。決まり次第ご報告させていただきます。

現在、ホームページの制作も進んでいて、そこに掲載する写真をあれこれ思案する中で、思い出したのがニキから届いた絵手紙。額装してしまい込んでいた

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映画のナレーションの収録、小泉今日子さんの声が素敵です。

映画のナレーションの収録、小泉今日子さんの声が素敵です。

ニキ・ド・サンファルのドキュメンタリー映画が少しずつ完成に近づいてきました。一時的にAIの声でナレーションを入れていたのですが、それに代え、スタジオ収録した声を映像と組み合わせたところです。

ナレーションを担当してくれたのは、小泉今日子さん。大人の女性の落ち着きと、弾んだトーンをあわせ持った素敵な声で、ニキと作品のことを語ってくれました。彼女のナレーションが加わったことで、今まで見ていた映像が立

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ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

ニキ・ド・サンファルの自宅を訪ねて~撮影ノオト

フランスの造形作家ニキ・ド・サンファル。私がパリ郊外のニキの自宅兼アトリエを訪ねたのは1981年6月だった。当時のパリ、ポンピドゥー・センター館長だったポンテュス・フルテン氏がニキに引き合わせてくれた。

ニキは1963年に、パートナーの彫刻家ジャン・ティンゲリーとともに、この家に移り住んでいる。それまで暮らしていたパリ市内のロンサン袋少路のアトリエが取り壊されることになったのがきっかけだという。

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映画に付ける音楽についての、あれこれ、進行中!

映画に付ける音楽についての、あれこれ、進行中!

今月9日、ピアニスト青柳いづみこさんのレクチャー・コンサートに出かけた。最新刊の『パリの音楽サロン ベルエポックから狂乱の時代まで』(岩波新書)の刊行記念コンサート。ショパン「ノクターン作品9-2」の演奏から始まり、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」まで全8曲。澄んだピアノの音に包まれる至福の時間を味わった。

演奏の合間に、当時の作曲家たちの話や、サロンという場が、どのようにして芸術を生み出

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ニキ・ド・サンファルとの奇跡的な出会い

ニキ・ド・サンファルとの奇跡的な出会い

ニキ・ド・サンファルに初めて会ったのは、1981年6月。パリ郊外の彼女の自宅を訪ねた時だった。当時、私は世界各地で女性アーティストに会い、ひとり1枚の肖像を撮影していた。

ニキが1960年代、スウェーデンのストックホルム近代美術館に、2人のアーティストとともに作った巨大な女性像「HON(ホーン)」のことを知り、ぜひこのアーティストに会いたいと思った。結果として10年以上にわたり、ニキを撮影するこ

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ニキ・ド・サンファルの映画、もうすぐ完成です!

ニキ・ド・サンファルの映画、もうすぐ完成です!

昨年末より再開しましたニキ・ド・サンファルの映画の制作ですが、何とかゴールが見えてきたところです。10月完成予定でしたが、もう少し時間をかけて、ブラッシュアップしたいと思っています。

年内に完成の目標で進めています。写真家として映像にこだわりがあり、秒単位で修正しているのが良いのか悪いのか。付き合ってくれている映像編集者には、感謝、感謝です。

写真はドイツ、ハノーファー市内、ライネ河岸に立つ「

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ニキ・ド・サンファルの「タロット・ガーデン」撮影ノオトから①

ニキ・ド・サンファルの「タロット・ガーデン」撮影ノオトから①

イタリア、トスカーナ地方のオリーブの森の中に、ニキ・ド・サンファルが20年の歳月をかけて制作した、彫刻による庭園、タロット・ガーデンがある。木々に囲まれた小道を登ると、突然視界に飛び込んでくるパノラマ。そこにはタロット・カードの主なるカード、大アルカナ22枚を題材にした、巨大な彫刻群が建ち並んでいる。

ニキは20代半ばにスペインでアントニ・ガウディのグエル公園を見て、いつか自分の彫刻で庭園を創

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ニキ・ド・サンファルの「タロット・ガーデン」撮影ノオトから②

ニキ・ド・サンファルの「タロット・ガーデン」撮影ノオトから②

「皇帝」のカード

タロット・ガーデンの丘を登ると、「皇帝」のカードをモチーフにした建造物が現れる。ニキはこの場所を「城」と呼んでいた。中庭の回廊には、360度にわたり大アルカナのカードと同じ数、22本の円柱が並んでいる。

円柱にはニキが生涯にわたりモチーフにしてきた無数のオブジェが施され、壁面のレリーフとともに、壮大な宇宙を形成している。それらは人々に自由と幸福をもたらす、造形と色彩のカーニ

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