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[OldCityBoy的「映画」考察] エデンの東(1955) ➡非モテ・オタク気質・コミュ障男をアート的に描いた名作

ジェームス・ディーン初主演の映画です。名作です。ベースはシェイクスピア悲劇ですが、神話等、色々な要素を非常にうまくミックスしており、全部語ると長くなるので、今回は主人公のキャラクターとジェームス・ディーンに関して考察します。

この映画、名作であることに間違えなくのですが、ジェームス・ディーン演じる主人公を客観的に見れば見るほど、う~む、キモイ。

筋肉質で、エネルギーが抑えきれない、あるあるな反抗期ヤンキーに見えますが、本質的には、非モテ・オタク気質・コミュ障、な男です(映画なので最終的にはモテるように演出していますが)。

もう少し説明すると、常に何かをやっていないと・常に動いていないと落ち着かない人で、人の話を聞くときもじっとしておれず、その辺の草をちぎって口に入れたりしており、今で言う"ASD・ADHDのグレー気質"ですが、特定の分野(この物語ではビジネス)においては特異な能力を発揮する人です。

そんな子供に親がしてやれることは、
父:具体的にできることはなし。干渉をせず、見守るのが最善。
母:小言でもいいので積極的にコミュニケーションを図る、つまり、愛情を注ぐ。
なのですが、父は干渉し、母はそばにおらず、で、主人公は必然的に鬱屈していきますが、そこにシェイクスピア悲劇要素を絡めて、全てが裏目に出ていくストーリーを美しく仕立てています。

で、そんな鬱屈したコミュ障の主人公を演じたジェームス・ディーンですが、その演じ方があまりに自然で演技とはちょっと思えない…。よって、あれは演技ではなく、自身の素の部分をそのまま増幅した部分が大きいのではないか?、と疑っています。

この映画を見るまでは、ジェームス・ディーンがカリスマ視されている理由がさっぱり分からず、ヤンキーファッションのアンコン、ぐらいにしか認識していませんでしたが、確かにあれを演技でやれるのであればカリスマです。しかし、あれをあの若さで意図的に演技でできる役者などいるとは思えず、ジェームス・ディーンは、実は主人公っぽい、あっち側の人(クリエイティブに特化した人)ではなかったかと、自身は考えています。

自身もそれなりに年を取り、色々な人を見てきたので、あっち側の人の傾向がつかめてきて、異常に男前(男優)、異常に美人(女優)、オーラ溢れすぎ(芸能人)、な人にその傾向が強く、憧れて会話すると、
うぁっ!、この人、まともにコミュニケーションとれない人だ…
な、あるあるを見てきており、ジェームス・ディーンも、背が低いにも関わらずそれを感じさせないオーラがあるところを考えると、その部類に入るのではないかと。

で、そんなあっち側の人がクリエイティブなことをすると物凄いものができることがあり、それが日本で言う芸能人・人気Youtuberたらたしめている理由だと思います。

と、まあ、好き勝手書いてきましたが、実は自身も、あっち側の気が少しあることは認識しており、妻から、付き合い始めたときに、
しゃべらなければ男前なのに…
なんてこと言われたのを思い出した映画でした。

最後に、この映画では、世間的にはマイノリティな"あっち側の人"へのメッセージも発信されており、
「僕は生まれつき悪い子だと考えていました。でも本当は違うんです。人間は動物と違って自分の道を選べるんですね。道を選ぶことが人間の資格なんですね。」
と、
"周りの理解を得にくい状況だろうが、自身の能力を活かせる分野はあるので、それを自分で見つけて邁進しなさい。"
な意味と解釈しましたが、そんな意味でも名作でしたよ!


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