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友達がマルチにハマっていた

友達がマルチにハマっていた。
どっぷりハマっていた。

先日久しぶりに大学時代からの友達からLINEが来た。彼女とは、たまに食事に行ったり、いつも何気ない会話を交わす程度の仲ではあったが、とても素直で明るい子で、よく言えば素朴、悪く言えばどこにでも居そうな感じの女子であった。

正直、話してるといつもローテンションで控えめな感じなので、ぐいぐい寄ってきてくれる人間とばかり話している自分からするとちょっと退屈する瞬間もあったりした。でも、唯一僕と彼女が熱量を合わせて話すことができる話題がある。それがミスチル好き、という点だった。

実は彼女とはミスターチルドレンのライブで知り合い、そこから一気に仲良くなったという思い出がある。後からだいぶ近い場所に住んでいることを知って、一気に親近感を覚えたのだった。以来、ライブのたびに感想戦をしたり、時々会って飲んだり、そんな感じの関係をずっと続けてた。その関係が正直すごく心地よかったし、いつでも気軽に話せるいい友達っていう感じだと、少なくとも私は、そう思っていた。


そんな彼女から来た、誘いの言葉。
それはこんな感じの言葉だった。

「今副業やってて、めっちゃ楽しいから詳細だけシェアさせて~!」

はい。シェアさせません。


ていうかそんな軽い感じでシェアとか言ってごまかしてるけどマルチでしょ。一発ダウトでしょ。そういう系の社会問題に一切知識ない人ならその軽い感じで誤魔化せたろうけど、俺元マスコミ志望だし。マルチなんて今一番闇深い社会問題じゃん。

そっか、やっぱり君は、マルチにハマっていたんだね。そう思い、私は静かに彼女のラインをブロック削除した。

正直悲しすぎて、どうにかしてあげたいけどどうするべきなのか具体的な術も思いつかず、家に帰るまで死んだような顔をしてふらふら歩いていた。自分一人が動いて彼女を救えるとか、そんなドラマみたいな思考にはドラマを脚本を書いている自分でも到底なりっこなかった。

というか逆に言えば、所詮は金づるとしか見られていない関係だったのかな。最初から。思えば割と早い段階で「副業してるんだよね~」という話をにおわせていたり、どんな仕事してるの?と言ってもあまりはっきり中身を離さずごまかしていたり、そういう節はあった。

なぜみんな、楽して稼ぎたいと思うのだろうか。みんなそんなに副業が好きか、片手間で稼ぐことが好きか。自分の体力を削ることなく、犠牲を払うこともなく、働いて稼ぎたいのか。そんなの傲慢だよ。ましてや、そんな思いで生きている人間をだしにして金を荒稼ぎするような奴なんて根こそぎ遺伝子ごとこの世から消え去ってほしい。


でも、私が一番恐怖を抱いたのは

「もし近親や家族にマルチにハマった奴が出たとき」。

私は今回みたいに、ちゃんと縁を切り切れるのか。いわれるがままにずるずる金を払ったりしないのか。100パーセントできると言い切れなかった自分に、背筋が凍るような怖さと不安が襲ってきたのだった。

まあ結局友達関係なんて
お金の前では無力に等しいのかもしれない。
というか、無力で当たり前なのだと私は思った。



おしまい。



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