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川柳

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2022年6月の記事一覧

ただいま

風船ふくらませ伏線を増やす

何度でも難なくなんとなく泣いた

読めるけど書けない漢字を書いている

誤解して後悔をして介護して

たった今「ただいま」を言うタイマー機能

龍と月

にまにまとカニカマとカニ、魔改造

童貞の瞳の中に住む天使

図書館で都市の予感を感じ取る

朧げに憶えていると思う月

手をふって 涼しい風が吹いている

走る足

この地には池の他には土がある

容疑者と陽気な記者が乗る夜汽車

窓の町 魔法使いを待っている

おばあちゃんだけが憶えている花火

メロディー

なにもないという豊かな夕だった

吹く風の青色だけを感じている

最低と最下位に再会咲いた

おもちゃみたいな草原の緑色

あなたが好きだったメロディー流れてる

夏の日

人間の頭蓋が世界地図になる

あの辺りで雨と出会ったのであった

若いから苦しい 若しくは苦いから

着飾って日傘を差してサーカスへ

教室にあの子の名前が残ってる

眠り秘め

人間の出来事からは遠い式

散らかった力が地下で戦った

曲聴くと刻々と記憶清くなる

音だけが聞こえる文章 眠った歌

上中下

その土手を上手く手中にした手下

身上の中身は下半身だった

下心 その中心にある心情

食べたかった

最初からサラダ食う気がさらさらない

俺はただ、焼き肉食べたいだけなのに

あずきバーじゃないアイスが食べたいよ

かき氷は夏の色をして光っている

浅瀬に残った

暗くなる写真 笑顔のまま揺れた

きみが鳴らしたその一音のことを想う

空が青くてあなたが笑っている

忘れても この目を閉じても残る風