令和2年、どうしようもなく愛しかった人
出逢ってから1年と10ヶ月、付き合ってから半年経った12月のことだった。「この人を守りたい」と強く強く思ったのは。歳上で、わたしよりずっと稼ぎがある彼は、端から見てなんの心配もない人間だったろう。実家の畳間、テレビから1メートルほどの場所、耳の遠い祖父のために大きな音を出すテレビの単語はひとつも頭の中に入らずに、手元のiPhoneで君とLINEをしていたことだけを覚えている。スマホはGoogleに乗り換える前で、君と同じようにAppleユーザーだった。それまで彼にどこか距離を