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愛と祈りはカウンターで始まる、僕らは出逢う

出逢ったときには大抵のことが決まっていて、2度目にはその先の関係が見えている。君と飲むお酒がおいしいこと。それはお酒のお陰じゃないこと。ずっと笑い合っていた。

出逢ってしまった存在を愛する以外の術を僕は知らない。少しずつふたりの生活の中にふたりはお互いに少しずつ溶け込んでいって、景色はいつの間にか君と僕のものになっていく。夕焼けも朝焼けも世界のものではなくて、見つめる僕らのものだった。カメラのシャッターは時間を切り取らなくて、そこには遺したい思いだったり、ありえないくらい楽しい「今」だったりがあって、一枚のそれはエモさの集積になる。振り返って見るたびに脳裏に君の顔が焼き付いて、君に撮られた僕の顔が焼き付いて、もう写真をみなくてもその顔だけが思い出せてしまう。これを愛と呼ばずに何と呼ぼう。反復による記憶の定着、なんて言ったやつは殴ってやる。ああ、殴ってやるよ。

出逢った頃に戻れることはない。君と食べたおいしいもの、見た景色、柔らかな表情、肌の触れ合う温かな感覚。全てが優しそうな顔をして、辛い記憶を霞ませてるような、誤魔化されているような心地がする。でもそれでいいのかもしれない。

出逢う、僕たちはまた何度でも出逢う。それは別れの始まりになる。繰り返す。愛し合う。愛し合えなくても愛するよ。祈るよ。でも別れたあとも愛しているよ。それは祈り、愛は祈りだ、僕は祈る、ありがとう王太郎、さすがだ王太郎。愛は祈りだ。君が僕のもとからいなくなって、声も肌の感触も忘れてもなお、祈らずにはいられない。幸せでいてくれるかい?

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