“シュ”の起源 #1
シューゲイザーの起源。シューゲイザーの意味するもの。
シューゲイザーを誰が始めたのかは誰にも解りません。その辺に居たインディーズバンドから自然発生したムーブメントかも知れませんし、それをメジャーが横取りをして形にしたのかも知れませんし、そもそもバーターを含めてレコード会社のプロモーション企画だったのかも知れませんし、真実は藪の中です。
ただ「シューゲイザー」と言う言葉が使われたのが90年代からと言う事は事実です。
所説ありますがムースと言うバンドのライブでムースのボーカル、ラッセル・イェーツが曲の歌詞を憶えられずステージの床に貼り付けた歌詞カードを見ながら歌唱・演奏していたところ、その光景はまるで靴を見つめているかのようであり、それを見た同紙の記者が前述の記事内で「シュー・ゲイザー(靴を見つめる人)」と表現したのが一番最初の事例とされています。
その後、一部のメディアが揶揄を込めてシューゲイザー(シューゲイジング)と呼ぶようになったのが始まりだそうです。
そう、シューゲイザーのシューはシューズのシューなのです。
その後、足元を見ると言う言葉にシューゲイザーバンドがエフェクター(ペダル)を多用する音楽であった事から、足元のペダルの操作のために靴ばかり見ていると言う意味も加わり、いつしかネガティブな意味では無くなっていきました。
余談ですが、シューゲイザー以前に発生したネオアコと呼ばれるジャンルは“アノラック”と呼ばれていました。
アノラックとは防寒用フード付きジャケットの事ですが、これを当時着てる人はダサいとされていて、“アノラック”と言う言葉はファッション・センスの無いオタクと言うスラングのように使われていた言葉だそうです。
つまりネオアコは“音楽オタク”の音楽(ジャンル)と言う意味になります。
女性ボーカルものが多いジャンルですが、有名なのはこちらのThe Pastels(ザ・パステルズ)です。
アノラックもシューゲイザーもイギリスから発生したものですがとにかくイギリスのメディアは悪口と皮肉が大好きと言う事でしょうかね(笑)
イギリスの音楽業界
さて、そのイギリスですが、どのような音楽的な歴史を辿ってきたのかと言うとかなり複雑です。
世界中で生まれる才能溢れるアーティストから影響を受け合って時代は進むものなので一部だけを抜き取るわけにはいかないのですが、輸出産業の1つに音楽を挙げていた国なので、商品のパッケージの歴史としてドライに見て下さい。
因みにイギリスや北欧は音楽に対する考え方が違う為か、無名なバンドでもマネージメント事務所に所属していますし、ライブをすれば出演料が発生します。
日本ではアマチュア、インディーズ・バンドはノルマと呼ばれる出演料を支払ってライブを行うそうですが、真逆と言う事ですね(苦笑)
しかしイギリスはその分競争率も高く、1stアルバム以降日本には情報が入って来ず消息不明になったり、2枚くらいリリースして解散するバンドが多いのは成功か失敗かの判断が厳しいためでもあります。
日本はイギリスの音楽はとても手に入り易い環境です。
新人バンドであっても何故かCDショップで大きく展開されるバンドも少なくありません。これは本国でのプロモーションの規模に比例するためです。
音楽産業に対するインフラが整っている国ですから、他国のレコード会社なんかに簡単に自国の新人バンドを発掘させるほど甘くないと言うわけです(笑)
推されているバンドはメディアでもガンガン記事になりますので目にする機会も多い事でしょう。
しかし、推されに推されてインディーズ・レーベルから期待の新人バンドとしてプロモーションのリリースを行い、日本でCDが買える状況になってもメジャーレーベルに行けなかった場合は解散、または思うようなセールスが無かった場合は解散となる非情な現実が待っています。
多くの場合は再結成ではなく別のバンドを組んで同じように高いクオリティで帰ってくるのでご安心を(笑)
また、イギリスのバンド、イギリスのレーベルからリリースされたCDはほぼ100%“輸入盤”として安く手に入ります。
しかも国が渡航費等を援助してる為か、日本でCDがあまり売れていなくても勝手にフジロックやサマーソニックと言ったフェスに出演したり、来日公演があったりします。
全てプロモーションの一環なのでしょうけど、これは音楽ファンにはありがたい事ですね!
イギリスだけのロック年表
1964年-1969年
ブリティッシュ・インヴェイジョン
ビートルズ
ローリング・ストーンズ
ザ・フー
1966年-1969年
サイケデリックとロック
クリーム
ザ・ドアーズ
1969年-1975年
ハードロック
レッド・ツェッペリン
ディープ・パープル
クイーン
プログレッシブ・ロック
キング・クリムゾン
ピンク・フロイド
イエス
グラムロック
Tレックス
デヴィッド・ボウイ
ロキシー・ミュージック
1975年-1979年
パンク・ロック
セックス・ピストルズ
クラッシュ
ダムド
1979年-1983年
ニューウェイヴ&ポスト・パンク
スージー・アンド・ザ・バンシーズ
ジョイ・ディビジョン
ニュー・オーダー
デペッシュ・モード
U2(初期)
ニューロマンティック
ヂュラン・ヂュラン
カルチャー・クラブ
ソフト・セル
1980年-1990年
NWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル)
アイアン・メイデン
デフ・レパード
1990年~1995年
メインストリームロック(産業ロック)
ユーリズミックス
(米国ではヴァン・ヘイレン等です)
UKブリット・ポップ
オアシス
ブラー
パルプ
スウェード
エラスティカ
ザ・ヴァーヴ
レディオ・ヘッド
アッシュ
テクノ・デジタルロック・ビッグビート・ドラムンベース
ケミカル・ブラザーズ
アンダーワールド
ファットボーイ・スリム
プロディジー
ダフト・パンク
1994年-2000年以降
ダンス・ロック&インディ・ロック
ザ・ストロークス
アークティック・モンキーズ
フランツ・フェルディナンド
ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ
簡単ではありますが、このような年表になります。
ザ・スミスもザ・ジャムもザ・ラーズもクーラ・シェイカー書いてないですが、このブログはライトリスナー向けと謳っていますので、音楽マニアの方は大目に見てくださいね(笑)
あくまでもロックと言う非常に大きな視点で見た年表です
またニルヴァーナが起こしたグランジムーブメントはアメリカのものなので、イギリス勢は参加出来ていません。その後ブリットポップで巻き返しますが。
そもそも音楽を聴く人と言う大きな括りで考えるとイギリスのバンドとアメリカのバンドの区別も付かないと言う人の方が圧倒的に多いと思います。
これが木の幹だと思ってください。
この年表の隙間、つまり枝や葉っぱの部分にシューゲイザーやアノラック、マッドチェスターと言うインディ・ムーブメントが入ります。
それから最後にインディ・ロックと言うジャンルが登場しますが、近年のインディ・ロックと言うのはインディーズ(自主制作)と言う意味では無く、ちゃんと大手のレコード会社からリリースしています。
本来はインディと言う言葉は“メジャーとは違う新しい音楽性”と言う意味合いだったのだと思いますが、最近はそうでも無いので「インディ=お洒落な音楽」程度の意味だと理解しておいてもらえれば解り易いかと思います。
本当にインディー・レーベルからリリースしているアーティストも含まれるのでややこしいですが(苦笑)
最近のインディ・ロックでの注目株はやはりTHE 1975(ザ・ナインティーンセヴンティファイヴ)でしょう。
イギリス的にはザ・ストロークス、アデル以来の大ヒットでは無いでしょうか?
この歴史を踏まえて次回はシューゲイザーがどのように生まれ、盛り上がっていくかをお話したいと思います。
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