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#小説
いろどり川。時代の流れに押し流されるように、古い昔からの産業はいつの間にか滅びてしまう。しかしその伝統をさまざまな思い出で守ろうとする人達もいる。
「自分にもっと力があれば・・・」 と奈月は心の底から思ったことがあった。 「でも、どうにもならない・・・」 そう思い返した時の歯がゆさが、 今の奈月の原動力かも知れない。 奈月の父が、家業の呉服屋を閉めたのは、奈月が 高校に上がったばかりの頃だった。着付けの面倒な 着物を女性が身につけなくなったのは、時代の流れ だろう。しかし、江戸時代から続いた暖簾をおろす ことは、生活の為とは言え、父にとっては命を引き さかれる思いだったに違いない。 「お父ちゃんの力になりたいんや」 そう