かたちを変えても そばに置きたいもの
礼装の際に使用する「袋帯」
私には、ずっと気がかりな袋帯がある。その帯は、銀糸で織られた、袋帯のなかでも格の一番高い黒留袖用の帯だ。つまりは、人生の中でそうそう出番の来ない帯ということだ。
持ち主である母はもう他界しており、仮に自分が使用するとしても、何十年も先になるであろう息子の結婚式の時になるだろう。
さて、どうしたものか。
もう一つ私を困らせているのが、その帯の柄。一般的な正倉院文様や吉祥文様ならそのまま箪笥に眠らせて置くのも手だが、可愛らしい椿の文様なのだ。プ