豆腐料理専門店しば奴(しばやっこ)柴犬の着物女将がおもてなし
晩秋の古い街並みを
ひとりふらりと散策しながら
ふと見つけた薄い麻色の暖簾
柔らかい午後の日差しに洗われ、パリッとお出迎え
3連の暖簾には
しば奴の3文字がシンプルに
ガラッ
お店の引き戸を開けた
いらっしゃいませ
店のしば女将(柴犬)が、粋な着物姿でおもてなし
らっしゃい
カウンターの主人(中年男性)が、あとに続いて笑顔でお茶とおしぼりを用意している
私は空いたカウンター席に座った
当店は豆腐料理専門店でございます
この街の名水と国産厳選大豆のみで作られた豆腐で・・・
としば女将がメニューを渡してから、料理の説明をした
私はメニューをパッと見て
最初に目が止まった、豆腐グラタン定食を頼んだ
しば女将は、かしこまりましたと軽く会釈をし、一旦厨房に戻った
10分もしない内に、きのことネギの風味がたっぷりの、秋のフルコースを持ってきた
主食は豆腐グラタン、味噌汁は白味噌風味、ご飯は薄味の雑穀米、季節のデザートと漬物がちょこんと彩り添えて
グラタンを木目のスプーンで口に運んだ
ふわっとミルクとお出しが上品に混ざりあった口溶け風味
あっさりコクのある豆腐と秋野菜ときのこが絶妙なハーモニーを奏でる
雑穀米が弾けるダンスを添える
白味噌スープが優しく心を和ませる
箸休めの季節のお漬物がコリッと刺激をくれて
食後のデザートに、華やかなフルーツ・ポンチで幸せいっぱいな、私の秋のランチ日記の1ページ
また今度行こうかな
冬に行けば、湯豆腐が美味しいかな
そんな淡い期待を夢見ながら
ひとり家まで帰り道を歩んだ