みおいち@着物で日本語教師のワーママ

8歳男児の母です。自称28歳の自称USCB(ウルトラスーパー超絶美女)。 日本語教師&…

みおいち@着物で日本語教師のワーママ

8歳男児の母です。自称28歳の自称USCB(ウルトラスーパー超絶美女)。 日本語教師&着付講師(看板免許)。advanced marketer。TOEIC910点。霊感は今はお休み中。 専門学校で、着物で留学生に日本語やマーケティングなどのビジネス科目を教えています。

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【創作】オーガニックコットン 第1話

"You have a golden heart!" 英会話教師のジェームズは 額の皺を更に深くするように グレーの目を大きくし、 両腕を広げて大袈裟に言った。 職業を告げたときの 周りの反応が私は好きじゃない。 「何て良い人なんだ!」 少し声を高くして言われた後に 「私には出来ない」 と続く。 「他人の下の世話なんて」って。 どうしてだろう。 下の世話なら看護師だって 毎日行なっていることなのに、 あっちのイメージは「白衣の天使」で 私たちは、どんよりと

    • 【創作】ヘリオス 第2部 第5話

      3月1日。 晃輝さん、春が近づいて来たよ。今どこにいるの。私ね、あれから更新しない貴方のYouTubeを、今でも毎日見てる。私、知らなかった。涙って枯れないんだね。 「今日もお疲れ様でした」 ようやく仕事に復帰した私は、一番レベルの高いクラスをその日も教え終わり、片付けをしていた。 「山田君、今日これから少しいい?」 イチゴのソフトクリームみたいな佳奈ちゃんの声が聞こえる。 「あ、ごめん石原さん。俺ちょっと凪先生に用事があるから」 「佳奈ちゃん、優成のことは放っ

      • 【創作】ヘリオス 第2部 第4話

        2月8日。 心がめちゃくちゃに壊されたみたい。辛うじて残った心臓のかけらで生きている。昼も夜も曖昧だ。家元に言われて仕事を休んだ。食事もろくに取らずに、部屋にこもって呆然としている。 お箏の基礎練習だけは執念で続けた。だってこれを無くしたら、私にはもう何も残らない。ベッドにいるラッコが、素知らぬ顔で笑っている。貴方は何か知っていたの。 どうして。どうして何も相談してくれなかったの。話し合えば何か、解決策が見つかるかもしれないと思わなかったの。それとも演奏能力が無くなった

        • 【創作】ヘリオス 第2部 第3話

          12月は晃輝さんと万座温泉に行った。穢れをまるで知らないような深い純白の雪に、凶器にでもなりそうな太い氷柱がキラキラと光って幻想的だ。 「見て晃輝さん、ウサギ!」 「本当だ、凪みたいだな」 それは雪に隠れるように3匹もくっついて、鼻をヒクヒクさせている。背中を撫でていると、晃輝さんはいとも簡単に1匹を抱え上げた。 「かわいいな」 残りの2匹がきっと、嫉妬してる。 凍えるように寒いのに、心はポカポカと暖かいのは温泉の影響だろうか。 「Youtubeの撮影を1本して

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        【創作】オーガニックコットン 第1話

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          鎌倉リベンジ旅行

          約1年越しのリベンジ旅行です。 この三連休はダンナが トレイルランの大会に参加するため、 2泊3日でいませんでした。 山あいを110kmほど走るそうです。 私、祝日の今日、月曜日は 授業があったのですが、 チビの学校も学童保育もお休みで チビをみてくれる人がいない…。 ということで別の先生に 早々に1日代講をお願いしてありました。 さてと、 月曜お休みなら どこか行きたいよなぁ。 軽井沢? 母が「クマが出る」と言っていました。 (本当?) 日光? チビは小学

          【創作】ヘリオス 第2部 第2話

          トンテン、トテトテ......。 指がなまらないための練習曲だけは、弾くことを欠かさないようにしている。この際基本に立ち返り、基礎をしっかり身につけて骨太にしておきたい。家元は完全に箏から離れるように言ったけど、長年毎日弾いていたのにそんなことは出来ない。 晃輝さんはいろいろな所へ連れて行ってくれた。映画、花道展、歌舞伎やミュージカルを見て、M響も聴きに行った。 「凪は俺の演奏を聴いても大丈夫か?」 「どうして?YouTubeなら毎日聴いてるよ」 「毎日?」 そう

          【創作】ヘリオス 第2部 第2話

          【創作】ヘリオス 第2部 第1話

          「凪、大丈夫か」 晃輝さんが家に来てくれた。玄関まで迎えに行き、部屋に着くなり私は晃輝さんにしがみついて、子どもみたいに泣いてしまった。晃輝さんはその間ずっと、髪を撫でてくれていた。 「俺に出来ることがあるか分からないけど、何かアドバイス出来るかもしれないから、弾いてみてくれるか」 そこで私はお箏を弾いた。酷い演奏で苦しくなる。 「演奏が……俺に似てきていないか」 「似せようとしている訳じゃないの!むしろ、似ないようにしようと思って弾いているのに、引力が強くて、勝手

          【創作】ヘリオス 第2部 第1話

          ヘリオス第1部 あとがき

          これを書き始めてだいぶ 目が悪くなりました。 後ろの席にいる学生の顔が ボヤけます。 もう……何だかすみません。 完全なる自分の趣味の世界である 長ったらしい創作を投稿し続けて、 戸惑われた方もいらっしゃるかと思います。 「ヘリオス」は 長くてごめんなさい、と 確かに思い 少し描写を省きながら それでも自分の「好き」だけに忠実に 書いている作品です。 疲れ方が尋常じゃありません。 何の見返りもないのに どうしてこんなに頑張っているんだろう。 アドレナリンがドックド

          チビは小学3年生です。今朝の会話。 「きのう、係決めをしたんだけどね」 「うん、何係になったの?」 「おわらい係」 「......は?」 「毎週月曜日と金曜日の朝に、おわらいをするの」 先生ナイス!!見に行きたい!!!!

          チビは小学3年生です。今朝の会話。 「きのう、係決めをしたんだけどね」 「うん、何係になったの?」 「おわらい係」 「......は?」 「毎週月曜日と金曜日の朝に、おわらいをするの」 先生ナイス!!見に行きたい!!!!

          【創作】ヘリオス 第12話

          太陽に近づいたらダメなんだ。どれほど憧れても、恋焦がれても。 「優成くんがそんなに緊張しているところ、初めて見た」 和装で髪も顔もヘアメイクさんに整えてもらった優成くんは、いつにも増して美しく見える。優成くんがMCデビューをする8月の演奏会は、もう始まる。 「当然ですよ、こんな大人数の前で話すことなんて、普通に生活していたらありません。仕事だって精々、50人程度です」 カッチカチの優成くんを見るのは面白い。 「YouTubeではもっと多くの人が見てるけど」 「あれ

          【創作】ヘリオス 第11話

          「は?鈴、何言って......」 いきなり実の妹に変なことを言われて、思考が追いつかない。 「あのうるとらすうぱあなイケメンを川崎流に入れたいなら、あたしが相手でも同じでしょ。それに、どうせお姉ちゃんなんて、幾つになってもお父さんの言いなりだし。お父さんがやれって言えばそれに従う、何でも言うことを聞くお人形でしょ」 「晃輝さんはモノじゃないの。変なこと言うのやめて」 私が反論すると、剥れた鈴が言った。 「分かった、お父さんに頼んでくる。お父さんからしたら、どっちとあ

          「ヘリオス」作中曲版 ミエハルカラオケバトン!

          ミエハルカラオケのバトンを 光栄にもいただきました! ドンドンパフパフ~ ありがとうございます! 詳細はこちらです 最近はいろんなnoterさんのところに コメントさえしに伺っていなくて 申し訳ない状態なのですが、 このカラオケバトン企画が盛り上がっているのは 存じておりました。 バトンを下さったのは チェーンナー先生です。 私、Beatlesも大好きです。 8歳チビはYellow Submarineがお気に入りで、 ときどき「かけて」とおねだりされます。 Joh

          「ヘリオス」作中曲版 ミエハルカラオケバトン!

          【創作】ヘリオス 第10話

          次の日の夕方、晃輝さんが予約してくれた銀座のイタリアンレストランに来た。高層階の窓際の席は、まだ明るい東京の空が美しく見える。 「昨日は本当に素晴らしかった。MCも堂々として分かりやすかったし......」 優しい笑みに、とろけてしまいそうになる。 「来てくれて、とても嬉しかったです」 拙いお礼を言った私に、微笑んで晃輝さんは続ける。 「演奏も、もちろん良かった。あの『龍歌』は不思議な表現だったな......。息ぴったりなのに、お互いが別の方を向いている。というより

          【創作】ヘリオス 第9話

          私が晃輝さんを好き?  彼は条件に見合う、私にはもったいないほどのお見合い相手だ。彼にとって、この結婚に恋愛感情は無いし、私もそれは家のことほど大切ではないと思っている。 晃輝さんに会うと心臓が高鳴る。電話やLINEを受けた時でさえそうなるけれど、それは出会って早々に寝てしまったことへの羞恥、または、まだ相手をよく知らないのにお見合い相手という境遇で、緊張しているからじゃないだろうか。 返事が出来ずに考え込んでいると、驚いた顔をして優成くんが言った。 「無自覚ですか」

          【創作】ヘリオス 第8話

          「お嬢は山田を贔屓しすぎじゃね?」 「ああ、お嬢の直弟子の?それはほら、顔だよ顔。いくら歴史の長い川崎流の跡取りと言っても、お嬢も年ごろだから」 「マジか。あいつ、顔だけは良いもんな。実力より顔かよ。俺ら頑張ってんのに、やってられないよな」 こんな妬みを廊下で耳にして、思わず声のした稽古場に入って行き口を挟んだ。 「山田君は何年も、休みの日でも自主練に来ていますが。あなた達はお稽古の日なのに、練習せずに無駄話ですか」 青くなって練習を始めた門下生を見て、ため息をつく

          【創作】ヘリオス 第7話

          ※この回には性的な表現が含まれています。  苦手な方はご遠慮下さい。 「人を守ってくれるのは常に、契約とそれを証明する契約書だ。結婚は契約の最たるものだ。細部まで契約書に記載し、互いがそれを守る。そうすれば問題は発生しにくい」 「......晃輝さん、動画の撮影を決めた時もすぐに契約書を送って来ましたが......もしかして契約マニアですか......」 私がそう言うと、晃輝さんは声を立てて嬉しそうに笑い豪語した。 「失礼なことを言うな。我が身を守ってくれるのは愛じゃ